竜の国のご都合主義?

文字の大きさ
上 下
226 / 269

驚きの真実

しおりを挟む
驚きの真実を聞かされて、呆然としてしまうが、話はまだ続くようだ。

「神ラミアの神玉の核の部分はそなたが持っている物。そうそれじゃ。」

僕がペンダントに触れ、短剣に嵌め込まれた魔石に触れるとそう言われた。どっちだろう?

「短剣の方は神ラミアの神力が凝縮されたモノじゃ。そなたの胸元のが神玉の核。それは奪われてはならぬからな。神力の方は、いざという時には、まぁ、またどうにでもなるが、核の方はの…この世界に渡って来た聖女達にはそれ以外のカケラを持っていた。そのカケラを通して、向こうの神の助力もありこの世界に召喚されて来たのじぁ。召喚されれば、そのカケラは徐々に核の元に戻ってくる。目には見えぬがの。聖女の力は、向こうの神とこの世界の二神からのギフトじゃ。そしてラミアのカケラも多少関与してはいるが…カケラが聖女から無くなっても、それは大して変わらぬ。


「それでは、僕が持つこのネックレスは奪われないようにしたら良いのですね。で、扉の鍵となるとこちらは鍵穴に刺しても大丈夫だと?」

「あぁ、そう言うことじゃ。」

なら、今のうちに扉に近づいて閉めてしまったらいい。
ディに手伝ってもらって…
あの重厚そうな扉。僕一人では閉めれなかったらと思うんだ。

「ディ!」
「あぁ。」

僕が言わんとすることを理解して、僕と一緒に駆けて行く…行く予定だったんだ。そのつもりで手を繋いだんだから。
だけど繋いだ手を引き寄せられて、そのまま抱き上げられた。
ディの左手に僕のお尻を乗せた形で抱き上げられて、扉まで駆けて行った。

もう良いよ。竜人族は過保護だから…

「これを閉めれば良い。」
「すぐ閉まるかなぁ…」
「あぁ、あの神バルマスのおかげか、悪魔や小悪魔達は押さえ込まれて出てこれない状態だから大丈夫そうだ。」

そう言って、『ふん!!』と息を吐き、ギギギギッと何とも言えない音を響かせながら少しづつ閉めて行った。
ディの筋肉が結構パンパンになりそうな感じだから、結構重いのだろう。
僕一人では無理だな。

僕も一緒に扉を閉めようとしたら

「扉を閉める時、魔力が扉の方に抜けて行く感じがするから、今は触らない方がいい。鍵を刺す時にも魔力が必要かもしれないからな。」

そう言われてしまえば、見守って応援するしかなかった。

ガチャンと大きな音が洞窟内に響き渡って

「カル!」
「わかった!」

僕は直ぐに短剣を胸元から出して、鍵穴と思われる場所に差し込んだ。
剣先が鍵穴に触れるとスルスルと入って行く。
そして…ガチャンとしまった感触がした。

はぁ…………、やったよ。

ホッとして、みんなの方を見る。

聖女の方に視線が行くと…

「私がする事だったのに…」

そう呟いているのがわかった。
だが、その声は、『代わりにしてもらって申し訳ない…』そんなふうに聞こえてきた。
何故だかわからないけれど…
元々の彼女は僕を道具のように使ったあの時の彼女とは違うのだろう。
アレは多分、あの神のせい…

鍵閉まると、扉が徐々に霞んでいくように消えて行った。

「終わった?」
「あぁ、終わったな…」

鍵を閉める時、胸元の石と剣に嵌め込まれていた石が同調するように輝いていた。
今は…
扉があった場所に…は何も残っていなかった。

鍵である短剣と共に、あの石も向こうの世界に行ってしまったのかもしれない。
僕にはもうわからない。

胸元の石は…少しだけ輝きが増した気がしたし、ほんわかと温かい気がした。
そっと撫でてまた胸元に戻す。
出したままは良くない気がしたのだ。


さて、ゲームとかでは、扉が閉まると、次は場面が変わり、褒賞を授与されて、聖女達には幸せが待っているとされたが…どうなるのだろうか…


ふとそんな事を考えながら、喜んでいるみんなの元に急いだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺

福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。 目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。 でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい… ……あれ…? …やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ… 前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。 1万2000字前後です。 攻めのキャラがブレるし若干変態です。 無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形) おまけ完結済み

新しい道を歩み始めた貴方へ

mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。 そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。 その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。 あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。 あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……? ※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

僕はお別れしたつもりでした

まと
BL
遠距離恋愛中だった恋人との関係が自然消滅した。どこか心にぽっかりと穴が空いたまま毎日を過ごしていた藍(あい)。大晦日の夜、寂しがり屋の親友と二人で年越しを楽しむことになり、ハメを外して酔いつぶれてしまう。目が覚めたら「ここどこ」状態!! 親友と仲良すぎな主人公と、別れたはずの恋人とのお話。 ⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。 大晦日あたりに出そうと思ったお話です。

精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる

風見鶏ーKazamidoriー
BL
 秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。  ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。 ※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。

そばかす糸目はのんびりしたい

楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。 母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。 ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。 ユージンは、のんびりするのが好きだった。 いつでも、のんびりしたいと思っている。 でも何故か忙しい。 ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。 いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。 果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。 懐かれ体質が好きな方向けです。今のところ主人公は、のんびり重視の恋愛未満です。 全17話、約6万文字。

弟のために悪役になる!~ヒロインに会うまで可愛がった結果~

荷居人(にいと)
BL
BL大賞20位。読者様ありがとうございました。 弟が生まれた日、足を滑らせ、階段から落ち、頭を打った俺は、前世の記憶を思い出す。 そして知る。今の自分は乙女ゲーム『王座の証』で平凡な顔、平凡な頭、平凡な運動能力、全てに置いて普通、全てに置いて完璧で優秀な弟はどんなに後に生まれようと次期王の継承権がいく、王にふさわしい赤の瞳と黒髪を持ち、親の愛さえ奪った弟に恨みを覚える悪役の兄であると。 でも今の俺はそんな弟の苦労を知っているし、生まれたばかりの弟は可愛い。 そんな可愛い弟が幸せになるためにはヒロインと結婚して王になることだろう。悪役になれば死ぬ。わかってはいるが、前世の後悔を繰り返さないため、将来処刑されるとわかっていたとしても、弟の幸せを願います! ・・・でもヒロインに会うまでは可愛がってもいいよね? 本編は完結。番外編が本編越えたのでタイトルも変えた。ある意味間違ってはいない。可愛がらなければ番外編もないのだから。 そしてまさかのモブの恋愛まで始まったようだ。 お気に入り1000突破は私の作品の中で初作品でございます!ありがとうございます! 2018/10/10より章の整理を致しました。ご迷惑おかけします。 2018/10/7.23時25分確認。BLランキング1位だと・・・? 2018/10/24.話がワンパターン化してきた気がするのでまた意欲が湧き、書きたいネタができるまでとりあえず完結といたします。 2018/11/3.久々の更新。BL小説大賞応募したので思い付きを更新してみました。

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。 ★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

処理中です...