竜の国のご都合主義?

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反撃?

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あの休憩の後は、思ったよりも早く目的地についた。
目の前に広がる空間。
空気がもっと重苦しくて、息苦しい…そんなイメージを勝手に持っていたんだけれども、それはなかった。
周りには鉱物がゴロゴロと光り輝いていて、それのおかげ、洞窟内とは思えない明るさだった。

「あれは魔鉱石です。このアルングスト山脈には多くの鉱物が眠っているとされています。この洞窟には魔鉱石が多く埋蔵されているのでしょう。魔鉱石が多いと言う事は、このちが魔素を多く保有しやすいと言う事。よって、扉が出現しやすかったのかと推定されます。が、私が知る限りは初めてですが…」

目の前に見える巨大な扉を目にしてアルストがそう教えてくれた。

過去の大賢者であるが、僕がこの世界に召喚したことにより、独自で多くの書物を読み漁り、情報を得ているんだと思うよ。他の英霊達からの情報からも推測してると思うけど…

それにしてもだ。扉の何とも凶々しい雰囲気。
こちらに向かっての両開き。しかもかなりの重厚感。
高さも結構あると思う。ブロンズの色に、所々の装飾がえげつない。
蔓と薔薇の装飾はまぁ良いとしよう。所々に悪魔っぽい装飾が伺える。
見ようによっては睨まれているようにも思えるのは気のせい??

「前回のと全然違うわね。」
「そうね。前回は引き戸みたいな感じだった?」
「その辺りは少しあやふやだけど、あんなグロテスクな装飾はなかったと思うんだけど…」
「私の時は、あんな感じでしたよ。でも、あそこまで重厚感はなかったと思うんだけど…」

元聖女の二人と母がそう呟く。
ゲームでの挿絵では…そこまで感じなかったけど、実際に見たらこれ程なのかと思った。
それは聖女である愛も同じようだ。

時折扉の向こうから蠢き合いを感じる。
そして、何とも言えない咆哮が…

「結構危ない感じ?」
「そうですね。既に僅かな隙間が…小さな羽虫共が。」

そうディアブロが指差す先には、蝙蝠の羽が付いた感じの小さな痩せっぽっちの悪魔が這い出て来出す。
一匹…二匹…

ディアブロがひょいひょいと手を振って…消し炭にしていた。
うん、凄いね。

「愛、僕達が取り敢えず抑え込むから、きみは聖女の祈りをあげて!」
「わっ、わかった。なら…」

愛が僕の方を見る。また僕を使おうと考えてる?
使われるつもりはないよ。冗談じゃない。自分の力で頑張って。

「カル、お願い。」
「断る!」

僕が断りを入れる前に、ディが即座に断った。
そして僕を抱きしめて

「協力はする。だが、カルロスを媒体に使用するのは許せない。」
「そんな事言ってる暇ないじゃない。犠牲が少ないことに越した事ないもの。この世界の事だから、犠牲になるのはこの世界の者で当たり前でしょ。どうせモブで本来なら死んでるんだから!カルロス!さっさとこっちに来なさいよ!それぐらいしか使い道ないくせに!」

またとんでもないことを言い出したよ。
確かに僕はモブで、ここに来る前の分岐点で死んでたよ。ゲームとか小説とかでだけど、でも、僕はこの世界で生きてる。確かに異世界からこちらに召喚された愛に全てを押し付けるのは良くないと思うけど、僕を犠牲にして当たり前と言う考えも可笑しいと思う。

「聖女様。確かに召喚された貴女に全てを押し付けるのはどうかと思うけれど、だからと言って僕を使い捨ての駒のようにするのはどうかと思う。貴女にとって僕はどうでも良い存在かもしれないけれどね。」
「カル、どうでも良いわけない。私にとっては大切な存在だ。」
「そうよ、私達にとって大切な存在。いくら聖女とは言え、その言い方は許せない。」
「そうよ、私も妹もこの世界に無理やり召喚されたけど、だからと言ってこの世界の者達を自分の都合で適当に使おうなって思ってもいないわよ。」

「えっ?あなた達も召喚者?」
「そうよ。過去の聖女録読まなかったの?」
「確か、姿絵付きだったわよね。あれ見た時、ものすごく恥ずかしい思いをしたもの。」

愛の呟きに叔母達がそう答えた。母は頷いている。

「そう言えば…」
「もしやと思ったが、貴方様方は初代聖女とそのメンバー?そして…」

今度はルディウス達が反応した。
僕のスキルで召喚した英霊達。
このスキルは彼等にはずっと隠していた。今は隠していないけどね。
英霊達…そう、過去の英雄達はこの世界で絶大な人気がある。
伝説級の物語も有るぐらいだ。
実際にそれを偉業として行ったかどうかは別としてだけど…
ほら、過去の事は色々と着色されるから…

「マスター。あまり時間はないかと。急ぎましょう。」

そっと側に来たディアブロにそう促される。
それもそうだ。

「アカリ、私達は向こうから」
「そうね。マスター、向こうから祈りを捧げますので…」

作戦会議の時に、叔母と叔父が見た未来視から計画を立てていた。
二人がそんな物を見ていたのには驚いたんだけどね…
父と母は多少知っていたようだけど…。


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