211 / 269
扉
反撃?
しおりを挟む
背後から温かい温もりと包まれた匂いで、僕は一瞬危なかった。
安心して僕の僕自身がビクビクしそうになったのを何とか堪えた。
魔物の植物による媚薬効果でかなり危険状態で、しかも目の前にいた男のせいで…あれ?何処言ったのかな??
ふわふわした頭で考えるが…
「あった。やっぱり持っていたんだ。」
「そうですね。予想通りです。ではディア予定通りに。」
「うん。了解!」
僕の影に潜んでいて、さっきのピンチの時出てこなかった二人の声がする。
それに…
「カル…カルロス…」
僕に巻き付いていた蔓は既に燃えて灰になっていた。
僕を大きな服で包みこみ、そっと抱き上げられていた。
片腕で支えるようにして、魔物に更なる攻撃を与えて滅多切りにし燃やし尽くす。
黒い灰になると、何処から風が吹くのかサラサラと飛ばされるように消えていった。
消滅したけれども、媚薬効果が切れるわけではなく、思わずモゾモゾと動いてはゾクゾクと身震いさせる。
体の芯に更なる熱を感じて、もうヤバいかも……
「ディ…」
熱い吐息を吐きながら、愛しくて恋しかった僕を抱きしめてくれる男に擦り寄る。
「カル。可愛いね。もう少しだけ待ってほしい。直ぐに終わるから。」
『終わらす』ではなくて『終わる』の??
厚く鍛えられた身体に顔を寄せてクンクンと匂いを嗅いで安心してしまう僕もかなりおかしいけど…
「グワっ…グフ…ぐえ。」
なんとも言えない呻き声が聞こえてくるけれど、そちらには向けさせてもらえないから状況が見えない。
「じゃあ、ジャディール様、後の事はよろしくお願いします。そうそう、その奥を進みますと神の泉がございます。そこで愛を語らうと、永遠に添い遂げられるとか、神から大いなる祝福がもらえられるとか。私達はこの者はを他所に排除しにいってきますので…また後程皆様と合流させていただきます。我が君をよろしくお願いいたします。」
「よろしくお願いします。」
「あぁ、言いたい事はあるが…わかった。」
「では、我が君、少しの間側を離れることをお許しください。では。」
「お許しください。行ってきます。また…戻ってきます。」
「ディア?」
そう声をかけると、二人とさっきの男の気配が消えた。そう、感じ取れないから、転移した?
「カル、少し歩くぞ。」
そう言って抱き込み直してからゆっくりと歩き出した。
カツンカツンと靴音が洞窟内に反響する。
どのくらいその音を聞いていたのだろうか。
長い気もするし、短い??
身体はどんどん熱をもつ。
「ついたよ。少し冷たいかもしれないが…」
そう言って僕の服をスルスルと抱き上げたまま器用に脱がして行く。
彼の胸元の服の生地も感じられなくなったから脱いだんだろう。
そっと彼の顔を見上げてから、彼の進む方を見ると、エメラルドグリーンのような色をたたえた泉が見えた。
しかも、小さな泉の奥に岩壁には神の像が刻まれて浮き彫りされていた。
「綺麗…」
そう呟くと、ディはその泉に躊躇なく入って行く。
冷たくないのだろうか?
いきなり冷たい水に浸かったら身体に悪いよ。
そんなバカなことを考えていた。
安心して僕の僕自身がビクビクしそうになったのを何とか堪えた。
魔物の植物による媚薬効果でかなり危険状態で、しかも目の前にいた男のせいで…あれ?何処言ったのかな??
ふわふわした頭で考えるが…
「あった。やっぱり持っていたんだ。」
「そうですね。予想通りです。ではディア予定通りに。」
「うん。了解!」
僕の影に潜んでいて、さっきのピンチの時出てこなかった二人の声がする。
それに…
「カル…カルロス…」
僕に巻き付いていた蔓は既に燃えて灰になっていた。
僕を大きな服で包みこみ、そっと抱き上げられていた。
片腕で支えるようにして、魔物に更なる攻撃を与えて滅多切りにし燃やし尽くす。
黒い灰になると、何処から風が吹くのかサラサラと飛ばされるように消えていった。
消滅したけれども、媚薬効果が切れるわけではなく、思わずモゾモゾと動いてはゾクゾクと身震いさせる。
体の芯に更なる熱を感じて、もうヤバいかも……
「ディ…」
熱い吐息を吐きながら、愛しくて恋しかった僕を抱きしめてくれる男に擦り寄る。
「カル。可愛いね。もう少しだけ待ってほしい。直ぐに終わるから。」
『終わらす』ではなくて『終わる』の??
厚く鍛えられた身体に顔を寄せてクンクンと匂いを嗅いで安心してしまう僕もかなりおかしいけど…
「グワっ…グフ…ぐえ。」
なんとも言えない呻き声が聞こえてくるけれど、そちらには向けさせてもらえないから状況が見えない。
「じゃあ、ジャディール様、後の事はよろしくお願いします。そうそう、その奥を進みますと神の泉がございます。そこで愛を語らうと、永遠に添い遂げられるとか、神から大いなる祝福がもらえられるとか。私達はこの者はを他所に排除しにいってきますので…また後程皆様と合流させていただきます。我が君をよろしくお願いいたします。」
「よろしくお願いします。」
「あぁ、言いたい事はあるが…わかった。」
「では、我が君、少しの間側を離れることをお許しください。では。」
「お許しください。行ってきます。また…戻ってきます。」
「ディア?」
そう声をかけると、二人とさっきの男の気配が消えた。そう、感じ取れないから、転移した?
「カル、少し歩くぞ。」
そう言って抱き込み直してからゆっくりと歩き出した。
カツンカツンと靴音が洞窟内に反響する。
どのくらいその音を聞いていたのだろうか。
長い気もするし、短い??
身体はどんどん熱をもつ。
「ついたよ。少し冷たいかもしれないが…」
そう言って僕の服をスルスルと抱き上げたまま器用に脱がして行く。
彼の胸元の服の生地も感じられなくなったから脱いだんだろう。
そっと彼の顔を見上げてから、彼の進む方を見ると、エメラルドグリーンのような色をたたえた泉が見えた。
しかも、小さな泉の奥に岩壁には神の像が刻まれて浮き彫りされていた。
「綺麗…」
そう呟くと、ディはその泉に躊躇なく入って行く。
冷たくないのだろうか?
いきなり冷たい水に浸かったら身体に悪いよ。
そんなバカなことを考えていた。
31
お気に入りに追加
155
あなたにおすすめの小説
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
【奨励賞】恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する
SKYTRICK
BL
☆11/28完結しました。
☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます!
冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫
——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」
元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。
ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。
その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。
ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、
——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」
噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。
誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。
しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。
サラが未だにロイを愛しているという事実だ。
仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——……
☆描写はありませんが、受けがモブに抱かれている示唆はあります(男娼なので)
☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!
某国の皇子、冒険者となる
くー
BL
俺が転生したのは、とある帝国という国の皇子だった。
転生してから10年、19歳になった俺は、兄の反対を無視して従者とともに城を抜け出すことにした。
俺の本当の望み、冒険者になる夢を叶えるために……
異世界転生主人公がみんなから愛され、冒険を繰り広げ、成長していく物語です。
主人公は魔法使いとして、仲間と力をあわせて魔物や敵と戦います。
※ BL要素は控えめです。
2020年1月30日(木)完結しました。
悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。
三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。
何度も断罪を回避しようとしたのに!
では、こんな国など出ていきます!
婚約破棄されて捨てられた精霊の愛し子は二度目の人生を謳歌する
135
BL
春波湯江には前世の記憶がある。といっても、日本とはまったく違う異世界の記憶。そこで湯江はその国の王子である婚約者を救世主の少女に奪われ捨てられた。
現代日本に転生した湯江は日々を謳歌して過ごしていた。しかし、ハロウィンの日、ゾンビの仮装をしていた湯江の足元に見覚えのある魔法陣が現れ、見覚えのある世界に召喚されてしまった。ゾンビの格好をした自分と、救世主の少女が隣に居て―…。
最後まで書き終わっているので、確認ができ次第更新していきます。7万字程の読み物です。
今世はメシウマ召喚獣
片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。
最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。
※女の子もゴリゴリ出てきます。
※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。
※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。
※なるべくさくさく更新したい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる