竜の国のご都合主義？

扉

扉

あたり一面が真っ白な空間に無数のフイルムのような物が浮かび上がる。
そして、それらが動き出し、多くの映像が…

音声はない。
色はカラーであるが、まるで昔の白黒動画のように音声なしで動き出す映像の数々。
それが不思議と頭の中に整理されて、しかも理解できている。
ある映像は過去のもの。
そして、現在と未来。

それにおいてもかなり多くに分岐点があるようだ。
この通りに行けばこの未来が…
そんな感じで流れていった。

その中に、ついさっきまでの自分が体験した映像がある。
その続きで一部画像が途絶えて、しばらくしたらまた流れ出した。
この途絶えた場面が今のこの場所。この現状である事が何故か理解できた。
何故映っていないのかは…
多分、ここが神の領域だからなのだろう。

映像の中で、ゲームで構想とされていたストーリーも勿論あった。
最後は僕が切り捨てられて…聖女である愛と僕の大切な人…ディとのハッピーエンド。
僕にとってはバッドエンドだけれど…

それ以外のは…
僕がディアブロに拉致されるように連れ去られて、ディが…ディが魔力暴走していた。
そこに聖女である愛の姿が見えたけれど…

思わず嫌だ。見たくないと思ったけれど、たとえ見なくても頭の中に映像が浮かび上がって…

「えっ？ディが消えた…」

ゲームでの、ディとのルートでは、洞窟で僕を切り捨てた後、ディは魔力暴走を起こし、聖女の癒しで正気を取り戻して二人が番になった。
その後、仲間の手助けもあり扉まで行き、二人で力を合わして扉に鍵をかけて消失。ハッピーエンドで終わるんだ。
さっき見た映像もそうだった。実際はディのルートに入ってもいないし、ゲームと全く違う。
だけど、僕が関係してディが魔力暴走して、その場に聖女の愛の姿が見えたから…
もしかしたらって思って…胸が動悸が酷くなって…
でも、ディの姿が消えて、呆然としてしる聖女の愛を、ルディウス•ロザリアンが迎えにきていた。
そこから胸を押さえながらじっと見つめてしまっていた。