192 / 269
聖女と巡礼
闇の先(アイ)
しおりを挟む
ロザリアン神聖国に一旦戻った私達。
巡礼のメンバーとして神より選ばれたのに、役に立たなかったあの男は、旅のメンバーから離脱した。
まぁ、媒体として使ったんだけどね。それの何処が気に食わなかったのだろうか。
初めの頃は、この国の皇子の一人であり、メンバーの一人であるルディから注意された。
その時は…まぁ、悪かったなと思ったけど、今は私に思った通りに動き発言してくれているから、私は決して悪くない。
気に食わないのは、向こうで楽しんだゲームや人気が出ての小説、アニメ化された時の推しジャディール•アステードが巡礼のメンバーでなかった事だ。あの中ではメンバーであり、ゲームの選択肢ではよくパートナーとして設定して楽しんだ。『運命の番』は別にいたんだけどね。そう、今回離脱したあの役立たずの男だ。他国に拉致されていたために、番である事がわからなかった。扉の近くで邪魔してきた時には心も身体も闇に染まって、切捨てたんだよね。それ以上の悲惨な運命に翻弄されない様に。そして、心が壊れかけ、魔力暴走しかけた時に、私が持つ聖女の力と心で癒して番になるのよ。扉の脅威も二人を中心にしてサクッと解決してハッピーエンド。
て、番となる運命のはずだった。なのに彼はメンバーの一員でなくて、しかもあの男がって。
あの邪魔な男が離脱したとの報告を、一緒についてきてくれていた騎士団から受けた。
一瞬喜んだのも束の間、私の推しであるジャディールが一緒に離脱ってどういう事よ!
ゲームの強制力がやっと働いたと喜んだのに、ぬか喜びの最悪。
ほんと、信じられない。
時々私に直接神の声が聴こえてきて、私の望み通りにしてくれてた。
もちろん、浄化も討伐の頑張ったよ。できる範囲でね。
現代っ子である私だから、そんなに真剣に『自分を犠牲に奮闘する聖女』というものにはなれなかった。
ゲームを楽しむって感じでね。
鬱々としながら城の庭園を散歩していたら、突然目の前に映像が見えた。
多分これは私の神が直接見せてくれたものだろう。
あのクズが消えた後に、私の推しが…
イベントの魔力暴走を起こしている。
すぐに側に行かなくては…
そう思い、神に祈る。
「あの者を手に入れるが良い。させれば…」
そう聞こえてきて、ふっと目の前が変わった。
目の前には見えた建物。
急いで中に入る。
彼が、私のジャディールが…
急いで力を出して彼に手を伸ばし…
抱きしめようとしたら…爆発と共に姿が消えた。
私の周りには結界が張られており、怪我などない。
建物は悲惨な事になっているが…
呆然とただずむ。
えっと、どういう事?
手を伸ばして…もう少しで手が届いて抱きしめて暴走を抑えて…
私のものになるはずだったのに。
貴重なイベントだったのに、一体何処に??
呆然と座り込む。
そんな私を浄化巡礼メンバーの一人であるルディが魔力行使の転移で迎えにきてくれた。
「帰ろう…」
そう言って、呆然としている私を抱きしめて、再度の転移で城に戻ったんだ。
どういう事よ。
神は私のために動いてくれたけれど、時間が足りなかったの?
間の合わなかった?どうして??
嘘だと言って?
部屋のベットに上がり、思いっきりクッションを投げつける。
ルディはその時部屋には居なかったけれど…
悔しくて悔しくて…
最後泣き崩れてしまっていた。
せっかくのチャンスだったのに。
もっと早く啓示してくれたら…
そしたら…
沸々としていたら、ルディがノックして入って来た。
そっと私にココアを渡してくれた。
彼なりにの慰めだろう。
あの時どうして私のいる場所がわかり駆けつけてくれたのかはわからないけれど…
「温かい…」
むしゃくしゃした心が落ち着いてきた。
「どうしてあそこに居たのかは聞かない。でも、心配したよ。」
それだけ言ってそっと抱きしめてくれた。
私はルディのルートに入ってしまったのかもしれない。
ルディは二番目の推しだ。
実際に接しても…
「もう大丈夫。明日…扉が発見されたところに行きたい。」
それだけ小声で訴え、『わかった』と了承されたのだった。
巡礼のメンバーとして神より選ばれたのに、役に立たなかったあの男は、旅のメンバーから離脱した。
まぁ、媒体として使ったんだけどね。それの何処が気に食わなかったのだろうか。
初めの頃は、この国の皇子の一人であり、メンバーの一人であるルディから注意された。
その時は…まぁ、悪かったなと思ったけど、今は私に思った通りに動き発言してくれているから、私は決して悪くない。
気に食わないのは、向こうで楽しんだゲームや人気が出ての小説、アニメ化された時の推しジャディール•アステードが巡礼のメンバーでなかった事だ。あの中ではメンバーであり、ゲームの選択肢ではよくパートナーとして設定して楽しんだ。『運命の番』は別にいたんだけどね。そう、今回離脱したあの役立たずの男だ。他国に拉致されていたために、番である事がわからなかった。扉の近くで邪魔してきた時には心も身体も闇に染まって、切捨てたんだよね。それ以上の悲惨な運命に翻弄されない様に。そして、心が壊れかけ、魔力暴走しかけた時に、私が持つ聖女の力と心で癒して番になるのよ。扉の脅威も二人を中心にしてサクッと解決してハッピーエンド。
て、番となる運命のはずだった。なのに彼はメンバーの一員でなくて、しかもあの男がって。
あの邪魔な男が離脱したとの報告を、一緒についてきてくれていた騎士団から受けた。
一瞬喜んだのも束の間、私の推しであるジャディールが一緒に離脱ってどういう事よ!
ゲームの強制力がやっと働いたと喜んだのに、ぬか喜びの最悪。
ほんと、信じられない。
時々私に直接神の声が聴こえてきて、私の望み通りにしてくれてた。
もちろん、浄化も討伐の頑張ったよ。できる範囲でね。
現代っ子である私だから、そんなに真剣に『自分を犠牲に奮闘する聖女』というものにはなれなかった。
ゲームを楽しむって感じでね。
鬱々としながら城の庭園を散歩していたら、突然目の前に映像が見えた。
多分これは私の神が直接見せてくれたものだろう。
あのクズが消えた後に、私の推しが…
イベントの魔力暴走を起こしている。
すぐに側に行かなくては…
そう思い、神に祈る。
「あの者を手に入れるが良い。させれば…」
そう聞こえてきて、ふっと目の前が変わった。
目の前には見えた建物。
急いで中に入る。
彼が、私のジャディールが…
急いで力を出して彼に手を伸ばし…
抱きしめようとしたら…爆発と共に姿が消えた。
私の周りには結界が張られており、怪我などない。
建物は悲惨な事になっているが…
呆然とただずむ。
えっと、どういう事?
手を伸ばして…もう少しで手が届いて抱きしめて暴走を抑えて…
私のものになるはずだったのに。
貴重なイベントだったのに、一体何処に??
呆然と座り込む。
そんな私を浄化巡礼メンバーの一人であるルディが魔力行使の転移で迎えにきてくれた。
「帰ろう…」
そう言って、呆然としている私を抱きしめて、再度の転移で城に戻ったんだ。
どういう事よ。
神は私のために動いてくれたけれど、時間が足りなかったの?
間の合わなかった?どうして??
嘘だと言って?
部屋のベットに上がり、思いっきりクッションを投げつける。
ルディはその時部屋には居なかったけれど…
悔しくて悔しくて…
最後泣き崩れてしまっていた。
せっかくのチャンスだったのに。
もっと早く啓示してくれたら…
そしたら…
沸々としていたら、ルディがノックして入って来た。
そっと私にココアを渡してくれた。
彼なりにの慰めだろう。
あの時どうして私のいる場所がわかり駆けつけてくれたのかはわからないけれど…
「温かい…」
むしゃくしゃした心が落ち着いてきた。
「どうしてあそこに居たのかは聞かない。でも、心配したよ。」
それだけ言ってそっと抱きしめてくれた。
私はルディのルートに入ってしまったのかもしれない。
ルディは二番目の推しだ。
実際に接しても…
「もう大丈夫。明日…扉が発見されたところに行きたい。」
それだけ小声で訴え、『わかった』と了承されたのだった。
11
お気に入りに追加
156
あなたにおすすめの小説
すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…

オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
大嫌いだったアイツの子なんか絶対に身籠りません!
みづき(藤吉めぐみ)
BL
国王の妾の子として、宮廷の片隅で母親とひっそりと暮らしていたユズハ。宮廷ではオメガの子だからと『下層の子』と蔑まれ、次期国王の子であるアサギからはしょっちゅういたずらをされていて、ユズハは大嫌いだった。
そんなある日、国王交代のタイミングで宮廷を追い出されたユズハ。娼館のスタッフとして働いていたが、十八歳になり、男娼となる。
初めての夜、客として現れたのは、幼い頃大嫌いだったアサギ、しかも「俺の子を孕め」なんて言ってきて――絶対に嫌! と思うユズハだが……
架空の近未来世界を舞台にした、再会から始まるオメガバースです。
博愛主義の成れの果て
135
BL
子宮持ちで子供が産める侯爵家嫡男の俺の婚約者は、博愛主義者だ。
俺と同じように子宮持ちの令息にだって優しくしてしまう男。
そんな婚約を白紙にしたところ、元婚約者がおかしくなりはじめた……。

釣った魚、逃した魚
円玉
BL
瘴気や魔獣の発生に対応するため定期的に行われる召喚の儀で、浄化と治癒の力を持つ神子として召喚された三倉貴史。
王の寵愛を受け後宮に迎え入れられたかに見えたが、後宮入りした後は「釣った魚」状態。
王には放置され、妃達には嫌がらせを受け、使用人達にも蔑ろにされる中、何とか穏便に後宮を去ろうとするが放置していながら縛り付けようとする王。
護衛騎士マクミランと共に逃亡計画を練る。
騎士×神子 攻目線
一見、神子が腹黒そうにみえるかもだけど、実際には全く悪くないです。
どうしても文字数が多くなってしまう癖が有るので『一話2500文字以下!』を目標にした練習作として書いてきたもの。
ムーンライト様でもアップしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる