190 / 269
聖女と巡礼
闇の先(セイクリオン家)
しおりを挟む
サヤカが持ってきた物は…うんノートだ。
少し古ぼけてはいるが…
「これは、あの子。カルロスが書いていた日記の様なものよ。」
そう言って、渡された物を丁寧にページを捲る。
書かれていた文字は初めの方は拙い物だった。
多分、幼少期のカルの文字だ。
この頃の文字で書かれたメッセージカードを今でも執務室の机の引き出しに大切に保管している。
他の子供達からもらった物と同じ様に保存魔法もかけてだ。
「お仕事頑張ってね。応援してる。大好き。」
そう書かれたメッセージカード。
『父の日』とか言っていたが…その様な日はこの国には無い。
そうか…
ペラペラとめくっていく。
内容に衝撃を受けた。
拙い文字で時系列の様に書かれており、その横には、その年代になって描き直したのだろう。実際に起こった事が書かれていた。
初めのページには、自分が他国に囚われて、奴隷や実験体の様に扱われる事。
他者に散々身体を…
最後には、心も壊されたのだろう。
まるで傀儡の様に扱われて、聖女メンバーに討伐される。
それも、斬り捨てたのは…
私の親友でもあり、我が国の王弟殿下。あの子にとっては運命の番…
切捨てられる場面も、今現在出現した扉の近く。
多分、洞窟内の通路の一つだろう。
今と重なるものも多く記載されているが、実際と全く違う事も多く修正として記載されていた。
何という事だ。
こんな事を、あの子は隠していたなんて。
父親として失格だ。
あの子の悲しみを…あぁ、どうしたら良いのだろうか…
プルプル震えながらページをめくって目で文字を追っていく。
「見てみるか?」
そう言って息子達に手渡した。
妻は私の横で一緒に呼んだから…
あぁ、涙に暮れてしまっている。
声をあげて泣き叫びたいのを堪えているのだろう。
腕の中に閉じ込めて、涙をシャツに吸わせていった。
そっとつむじや頬に唇を寄せて慰めるも、追いつかない。
全員が目を通して、何とも言えない雰囲気になった。
そこで口を開けたのは、自称家族と言い切る皇太子殿下だった。
「これに関しては、かなり衝撃的なものが記載されている。国に提出する必要性があるぐらいの予言書と言っても良いだろう。異なる事も多々あるがな。全てを鵜呑みにするのは危険ではあるが、多いに参考になるだろう。まぁ、あの叔父君が運命の番であり、それ以外にも溺愛しているカルロスを斬り捨てるなど、余程の理由がない限りあり得ないし、多分一人では逝かせないだろう。」
そうだな。あの子がこの世界から気配が消えたと同時にジャディール殿下が魔力暴走を起こして消えたのだ。
神が保護していると仰っているのだから、安心はしたが…
「面白い物を書いておるの。ふむ。やはりあの者は面白い。だからかのぉ~」
そう言って楽しそうに考え込む神にどう対処したら良いのか…
「まぁ、あの者達は時期がくれば戻ってこよう。それよりもじゃ。扉はもう少ししたら開くぞ。猶予はもう余りないであろう。あやつが既に次の手を打つ前にこちらも動かねばならん。彼奴の思い通りにさせてはならんからのぉ。」
そう言って楽しそうに微笑み、美味しくお茶を嗜む神に苛立ちを感じるが…抑えねば…
少し古ぼけてはいるが…
「これは、あの子。カルロスが書いていた日記の様なものよ。」
そう言って、渡された物を丁寧にページを捲る。
書かれていた文字は初めの方は拙い物だった。
多分、幼少期のカルの文字だ。
この頃の文字で書かれたメッセージカードを今でも執務室の机の引き出しに大切に保管している。
他の子供達からもらった物と同じ様に保存魔法もかけてだ。
「お仕事頑張ってね。応援してる。大好き。」
そう書かれたメッセージカード。
『父の日』とか言っていたが…その様な日はこの国には無い。
そうか…
ペラペラとめくっていく。
内容に衝撃を受けた。
拙い文字で時系列の様に書かれており、その横には、その年代になって描き直したのだろう。実際に起こった事が書かれていた。
初めのページには、自分が他国に囚われて、奴隷や実験体の様に扱われる事。
他者に散々身体を…
最後には、心も壊されたのだろう。
まるで傀儡の様に扱われて、聖女メンバーに討伐される。
それも、斬り捨てたのは…
私の親友でもあり、我が国の王弟殿下。あの子にとっては運命の番…
切捨てられる場面も、今現在出現した扉の近く。
多分、洞窟内の通路の一つだろう。
今と重なるものも多く記載されているが、実際と全く違う事も多く修正として記載されていた。
何という事だ。
こんな事を、あの子は隠していたなんて。
父親として失格だ。
あの子の悲しみを…あぁ、どうしたら良いのだろうか…
プルプル震えながらページをめくって目で文字を追っていく。
「見てみるか?」
そう言って息子達に手渡した。
妻は私の横で一緒に呼んだから…
あぁ、涙に暮れてしまっている。
声をあげて泣き叫びたいのを堪えているのだろう。
腕の中に閉じ込めて、涙をシャツに吸わせていった。
そっとつむじや頬に唇を寄せて慰めるも、追いつかない。
全員が目を通して、何とも言えない雰囲気になった。
そこで口を開けたのは、自称家族と言い切る皇太子殿下だった。
「これに関しては、かなり衝撃的なものが記載されている。国に提出する必要性があるぐらいの予言書と言っても良いだろう。異なる事も多々あるがな。全てを鵜呑みにするのは危険ではあるが、多いに参考になるだろう。まぁ、あの叔父君が運命の番であり、それ以外にも溺愛しているカルロスを斬り捨てるなど、余程の理由がない限りあり得ないし、多分一人では逝かせないだろう。」
そうだな。あの子がこの世界から気配が消えたと同時にジャディール殿下が魔力暴走を起こして消えたのだ。
神が保護していると仰っているのだから、安心はしたが…
「面白い物を書いておるの。ふむ。やはりあの者は面白い。だからかのぉ~」
そう言って楽しそうに考え込む神にどう対処したら良いのか…
「まぁ、あの者達は時期がくれば戻ってこよう。それよりもじゃ。扉はもう少ししたら開くぞ。猶予はもう余りないであろう。あやつが既に次の手を打つ前にこちらも動かねばならん。彼奴の思い通りにさせてはならんからのぉ。」
そう言って楽しそうに微笑み、美味しくお茶を嗜む神に苛立ちを感じるが…抑えねば…
31
お気に入りに追加
138
あなたにおすすめの小説
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
【完結】白い塔の、小さな世界。〜監禁から自由になったら、溺愛されるなんて聞いてません〜
N2O
BL
溺愛が止まらない騎士団長(虎獣人)×浄化ができる黒髪少年(人間)
ハーレム要素あります。
苦手な方はご注意ください。
※タイトルの ◎ は視点が変わります
※ヒト→獣人、人→人間、で表記してます
※ご都合主義です、あしからず
大好きなBLゲームの世界に転生したので、最推しの隣に居座り続けます。 〜名も無き君への献身〜
7ズ
BL
異世界BLゲーム『救済のマリアージュ』。通称:Qマリには、普通のBLゲームには無い闇堕ちルートと言うものが存在していた。
攻略対象の為に手を汚す事さえ厭わない主人公闇堕ちルートは、闇の腐女子の心を掴み、大ヒットした。
そして、そのゲームにハートを打ち抜かれた光の腐女子の中にも闇堕ちルートに最推しを持つ者が居た。
しかし、大規模なファンコミュニティであっても彼女の推しについて好意的に話す者は居ない。
彼女の推しは、攻略対象の養父。ろくでなしで飲んだくれ。表ルートでは事故で命を落とし、闇堕ちルートで主人公によって殺されてしまう。
どのルートでも死の運命が確約されている名も無きキャラクターへ異常な執着と愛情をたった一人で注いでいる孤独な彼女。
ある日、眠りから目覚めたら、彼女はQマリの世界へ幼い少年の姿で転生してしまった。
異常な執着と愛情を現実へと持ち出した彼女は、最推しである養父の設定に秘められた真実を知る事となった。
果たして彼女は、死の運命から彼を救い出す事が出来るのか──?
ーーーーーーーーーーーー
狂気的なまでに一途な男(in腐女子)×名無しの訳あり飲兵衛
【R18】息子とすることになりました♡
みんくす
BL
【完結】イケメン息子×ガタイのいい父親が、オナニーをきっかけにセックスして恋人同士になる話。
近親相姦(息子×父)・ハート喘ぎ・濁点喘ぎあり。
章ごとに話を区切っている、短編シリーズとなっています。
最初から読んでいただけると、分かりやすいかと思います。
攻め:優人(ゆうと) 19歳
父親より小柄なものの、整った顔立ちをしているイケメンで周囲からの人気も高い。
だが父である和志に対して恋心と劣情を抱いているため、そんな周囲のことには興味がない。
受け:和志(かずし) 43歳
学生時代から筋トレが趣味で、ガタイがよく体毛も濃い。
元妻とは15年ほど前に離婚し、それ以来息子の優人と2人暮らし。
pixivにも投稿しています。
専属【ガイド】になりませんか?!〜異世界で溺愛されました
sora
BL
会社員の佐久間 秋都(さくま あきと)は、気がつくと異世界憑依転生していた。名前はアルフィ。その世界には【エスパー】という能力を持った者たちが魔物と戦い、世界を守っていた。エスパーを癒し助けるのが【ガイド】。アルフィにもガイド能力が…!?
《第一幕》テンプレ転移した世界で全裸から目指す騎士ライフ
ぽむぽむ
BL
交通事故死により中世ヨーロッパベースの世界に転移してしまった主人公。
セオリー通りの神のスキル授与がない? 性別が現世では女性だったのに男性に?
しかも転移先の時代は空前の騎士ブーム。
ジャンと名を貰い転移先の体の持ち前の運動神経を役立て、晴れて騎士になれたけど、旅先で知り合った男、リシャールとの出会いが人生を思わぬ方向へと動かしてゆく。
最終的に成り行きで目指すは騎士達の目標、聖地!!
【完結】マジで滅びるんで、俺の為に怒らないで下さい
白井のわ
BL
人外✕人間(人外攻め)体格差有り、人外溺愛もの、基本受け視点です。
村長一家に奴隷扱いされていた受けが、村の為に生贄に捧げられたのをきっかけに、双子の龍の神様に見初められ結婚するお話です。
攻めの二人はひたすら受けを可愛がり、受けは二人の為に立派なお嫁さんになろうと奮闘します。全編全年齢、少し受けが可哀想な描写がありますが基本的にはほのぼのイチャイチャしています。
すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる