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聖女と巡礼
闇の先(セイクリオン家)
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サヤカが持ってきた物は…うんノートだ。
少し古ぼけてはいるが…
「これは、あの子。カルロスが書いていた日記の様なものよ。」
そう言って、渡された物を丁寧にページを捲る。
書かれていた文字は初めの方は拙い物だった。
多分、幼少期のカルの文字だ。
この頃の文字で書かれたメッセージカードを今でも執務室の机の引き出しに大切に保管している。
他の子供達からもらった物と同じ様に保存魔法もかけてだ。
「お仕事頑張ってね。応援してる。大好き。」
そう書かれたメッセージカード。
『父の日』とか言っていたが…その様な日はこの国には無い。
そうか…
ペラペラとめくっていく。
内容に衝撃を受けた。
拙い文字で時系列の様に書かれており、その横には、その年代になって描き直したのだろう。実際に起こった事が書かれていた。
初めのページには、自分が他国に囚われて、奴隷や実験体の様に扱われる事。
他者に散々身体を…
最後には、心も壊されたのだろう。
まるで傀儡の様に扱われて、聖女メンバーに討伐される。
それも、斬り捨てたのは…
私の親友でもあり、我が国の王弟殿下。あの子にとっては運命の番…
切捨てられる場面も、今現在出現した扉の近く。
多分、洞窟内の通路の一つだろう。
今と重なるものも多く記載されているが、実際と全く違う事も多く修正として記載されていた。
何という事だ。
こんな事を、あの子は隠していたなんて。
父親として失格だ。
あの子の悲しみを…あぁ、どうしたら良いのだろうか…
プルプル震えながらページをめくって目で文字を追っていく。
「見てみるか?」
そう言って息子達に手渡した。
妻は私の横で一緒に呼んだから…
あぁ、涙に暮れてしまっている。
声をあげて泣き叫びたいのを堪えているのだろう。
腕の中に閉じ込めて、涙をシャツに吸わせていった。
そっとつむじや頬に唇を寄せて慰めるも、追いつかない。
全員が目を通して、何とも言えない雰囲気になった。
そこで口を開けたのは、自称家族と言い切る皇太子殿下だった。
「これに関しては、かなり衝撃的なものが記載されている。国に提出する必要性があるぐらいの予言書と言っても良いだろう。異なる事も多々あるがな。全てを鵜呑みにするのは危険ではあるが、多いに参考になるだろう。まぁ、あの叔父君が運命の番であり、それ以外にも溺愛しているカルロスを斬り捨てるなど、余程の理由がない限りあり得ないし、多分一人では逝かせないだろう。」
そうだな。あの子がこの世界から気配が消えたと同時にジャディール殿下が魔力暴走を起こして消えたのだ。
神が保護していると仰っているのだから、安心はしたが…
「面白い物を書いておるの。ふむ。やはりあの者は面白い。だからかのぉ~」
そう言って楽しそうに考え込む神にどう対処したら良いのか…
「まぁ、あの者達は時期がくれば戻ってこよう。それよりもじゃ。扉はもう少ししたら開くぞ。猶予はもう余りないであろう。あやつが既に次の手を打つ前にこちらも動かねばならん。彼奴の思い通りにさせてはならんからのぉ。」
そう言って楽しそうに微笑み、美味しくお茶を嗜む神に苛立ちを感じるが…抑えねば…
少し古ぼけてはいるが…
「これは、あの子。カルロスが書いていた日記の様なものよ。」
そう言って、渡された物を丁寧にページを捲る。
書かれていた文字は初めの方は拙い物だった。
多分、幼少期のカルの文字だ。
この頃の文字で書かれたメッセージカードを今でも執務室の机の引き出しに大切に保管している。
他の子供達からもらった物と同じ様に保存魔法もかけてだ。
「お仕事頑張ってね。応援してる。大好き。」
そう書かれたメッセージカード。
『父の日』とか言っていたが…その様な日はこの国には無い。
そうか…
ペラペラとめくっていく。
内容に衝撃を受けた。
拙い文字で時系列の様に書かれており、その横には、その年代になって描き直したのだろう。実際に起こった事が書かれていた。
初めのページには、自分が他国に囚われて、奴隷や実験体の様に扱われる事。
他者に散々身体を…
最後には、心も壊されたのだろう。
まるで傀儡の様に扱われて、聖女メンバーに討伐される。
それも、斬り捨てたのは…
私の親友でもあり、我が国の王弟殿下。あの子にとっては運命の番…
切捨てられる場面も、今現在出現した扉の近く。
多分、洞窟内の通路の一つだろう。
今と重なるものも多く記載されているが、実際と全く違う事も多く修正として記載されていた。
何という事だ。
こんな事を、あの子は隠していたなんて。
父親として失格だ。
あの子の悲しみを…あぁ、どうしたら良いのだろうか…
プルプル震えながらページをめくって目で文字を追っていく。
「見てみるか?」
そう言って息子達に手渡した。
妻は私の横で一緒に呼んだから…
あぁ、涙に暮れてしまっている。
声をあげて泣き叫びたいのを堪えているのだろう。
腕の中に閉じ込めて、涙をシャツに吸わせていった。
そっとつむじや頬に唇を寄せて慰めるも、追いつかない。
全員が目を通して、何とも言えない雰囲気になった。
そこで口を開けたのは、自称家族と言い切る皇太子殿下だった。
「これに関しては、かなり衝撃的なものが記載されている。国に提出する必要性があるぐらいの予言書と言っても良いだろう。異なる事も多々あるがな。全てを鵜呑みにするのは危険ではあるが、多いに参考になるだろう。まぁ、あの叔父君が運命の番であり、それ以外にも溺愛しているカルロスを斬り捨てるなど、余程の理由がない限りあり得ないし、多分一人では逝かせないだろう。」
そうだな。あの子がこの世界から気配が消えたと同時にジャディール殿下が魔力暴走を起こして消えたのだ。
神が保護していると仰っているのだから、安心はしたが…
「面白い物を書いておるの。ふむ。やはりあの者は面白い。だからかのぉ~」
そう言って楽しそうに考え込む神にどう対処したら良いのか…
「まぁ、あの者達は時期がくれば戻ってこよう。それよりもじゃ。扉はもう少ししたら開くぞ。猶予はもう余りないであろう。あやつが既に次の手を打つ前にこちらも動かねばならん。彼奴の思い通りにさせてはならんからのぉ。」
そう言って楽しそうに微笑み、美味しくお茶を嗜む神に苛立ちを感じるが…抑えねば…
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