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聖女と巡礼
闇の先(セイクリオン家)
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「沙也加はいつ目が覚めたの?もう呪いが…」
「ん?実はね。この肉体に戻ったのはつい最近なの。それまでは霊体だけでウロウロしてたのよ。」
「霊体?」
「ふふっ、気がつかなかったかも知れないけどね。あなたの旦那様はご存知よ。ね。」
そう言って笑いながら答えていた。
確かに彼女の事は知っていた。
末っ子の側にいてくれていたという事を。
ただ、妻である優里には伝えていなかったんだ。
沙也加からの口止めもあって…
「アル、どういう事なの?」
可愛い妻がジーッと見つめてくる。
うん、見つめる意図が違うのは理解できるが…これはこれで可愛いと思ってしまう。
うん、いかんな…
「優里、私がお願いしておいたのよ。ほら私、未来視で色々なルートを見てたの知ってるでしょ。その加減でね。ごめんね。」
沙也加が両手を合わせて謝っていた。
本気では…謝ってないなぁ~
「わかった。でも、私だけ仲間外れは嫌よ。」
そう言ってぶつぶつ文句を言っている。
可愛すぎるので、前に置かれているクッキーを一つ取り、愛しい妻の口元に運んだ。
竜人族は、愛しい番に餌付け行為をしてしまうのは、世の常識だ。
『人前だと恥ずかしい』と常日頃言われ続けていてもしてしまう。
可愛いからね…
ジト目で仕方ないと口とを開けてくれて咀嚼してくれた。
子供達は何とも言えない目でこちらを見るが、お前達もこうなるんだからね。
皇太子殿下は羨ましそうに見入っていた。
我が息子を長年求めてきて、逃げ回っていたからね。
用意周到に周りから囲っていたのも知っていたが、最後は自分から懐に入ってくれる事を願っていたなぁ~。
ついつい昔を思い出してしまっていた。
「この子達も大きくなったわね。もう何年会ってなかったかしら。末っ子ちゃんが生まれる前だったものね~」
沙也加がしみじみとそう言っていた。
彼女には呪いのようなものがかかっていた。
はっきり呪いとは言い切れないのだが…
前回の封印時にかかったものらしく、発動したのは我が家の末っ子が生まれる三年ぐらい前か?
彼女の左腕にそのアザが刻まれている。
夫であるエドワードが魔力で押さえ込んでいたが、最終的には発動に至り、眠りについた。
まるで死んだように全てを停止させていたらしい。
その肉体を守るべく彼は皇帝の座を娘に渡して、墓守の如く彼女の身体の側に居たんだ。
「そうそう、この子達は、この世界の神の事、どこまで理解しているのかしら?優里は教えていたの?」
「いいえ、残念ながら伝えることが出来なかったのよ。この世界の二神以外の神の事は…」
「制限がかかっていたせいだろう。今は伝えられそうな気がする。ただし、これもどこまで伝えられるかはわからないが…」
そう脚を組み直して思案する。
「ちょっと待て、この世界は光と闇の神のみだ。それ以外は眷属とされているはずだが?他にも実在するのか?」
この国の皇太子であるから、勿論この世界の宗教関係も熟知している。
教会ではお姿が男性であったり女性であったりと色入りだが…
これは、神には性別が本来なく、現れた場所でのお姿をそのまま像にして祀っているのだ。
その側には基本初代聖女の像のみ設置されているが、教会によっては歴代の聖女の像もある。勿論、その中には沙也加の像も…
今回の聖女はまだ全てを成し遂げていないから作られてはいないが、後には作られるだろう。
本当の聖女であればだ。
「そうね、この世界を創られたのは光と闇の二神。黄金の髪にオパールの様な瞳の神が光の神リーミエであり、銀色の髪にオパールの瞳の神が闇の神カーミエなの。そして、神にも色々とランクがあるらしくて、この世界以外、そう異世界と呼ばれる多くの世界にそれぞれ創造神がおられるの。大概二神らしいんだけどね。世界によってはこの世界と違い、二神以外もおられるのよ。ちなみに、私が居た世界には多くの神がいたの。国のによって姿や名前が違ったりして、考え方も…まぁよく似ているようで微妙に違っていたりしてね。ちなみに私の国も他国の神も祀っていたけど、神社と呼ばれる所では八百万の神様、多種多様な多くの神様がいると考えられていたの。会った事はないけどね。神社はこっちで言うと神殿かな?詳しくは知らないんだけどね~。まぁそれは横に置いといて、創造神がいるのなら、勿論、破壊神もいるのよ。作った世界が良い方向でいけば良いけれど、やはり負の感情に押されてね。で、場合によってはその破壊神が異世界から来られて破壊。また新たに創るって感じかなぁ。極端に言えば。」
そう言って、一旦紅茶を飲んで喉を潤して、続きを説明し出す。
「神は基本身勝手な所もあるみたいで、退屈で破壊したり、引っ掻き回して楽しむ神も存在するらしいの。この世界では、それがよく伝承される『異世界の扉』なのよね。あれは負の感情が多くなり、魔素が増え、魔素溜まりが増加。魔獣の凶暴化などでさらに魔力が扉に向かうの。結果開いて異世界から干渉される。力が強い神であれば、扉も関係なしで現れる事もあると言ってたわね。実際に現れたんだけどね…」
「それが前回と言うわけですか?」
「そうよ。世界を創った神自身は自分が創った世界を守りたいからと自分の力を使うなんていう干渉があまり出来ないらしくてね。守りたいがために異世界から聖女として、世界を守りうる存在を召喚してきたの。この世界のいわゆる神殿にいる者にその秘技を伝えてね。その国がロザリアン神聖国。で、前回は今までとは違う神が異世界から干渉してきたの。この神も二神でね。一人は破壊を楽しんで、一人はそれを止めに来たの。必要で破壊する分には止める事はあまりしないらしいんだけど、遊びのように楽しむための破壊行為はとね…」
大きくため息を吐く沙也加。
私達がこの事を前回知って唖然としながらも、足掻くように頑張った事を思い出していた。
「ん?実はね。この肉体に戻ったのはつい最近なの。それまでは霊体だけでウロウロしてたのよ。」
「霊体?」
「ふふっ、気がつかなかったかも知れないけどね。あなたの旦那様はご存知よ。ね。」
そう言って笑いながら答えていた。
確かに彼女の事は知っていた。
末っ子の側にいてくれていたという事を。
ただ、妻である優里には伝えていなかったんだ。
沙也加からの口止めもあって…
「アル、どういう事なの?」
可愛い妻がジーッと見つめてくる。
うん、見つめる意図が違うのは理解できるが…これはこれで可愛いと思ってしまう。
うん、いかんな…
「優里、私がお願いしておいたのよ。ほら私、未来視で色々なルートを見てたの知ってるでしょ。その加減でね。ごめんね。」
沙也加が両手を合わせて謝っていた。
本気では…謝ってないなぁ~
「わかった。でも、私だけ仲間外れは嫌よ。」
そう言ってぶつぶつ文句を言っている。
可愛すぎるので、前に置かれているクッキーを一つ取り、愛しい妻の口元に運んだ。
竜人族は、愛しい番に餌付け行為をしてしまうのは、世の常識だ。
『人前だと恥ずかしい』と常日頃言われ続けていてもしてしまう。
可愛いからね…
ジト目で仕方ないと口とを開けてくれて咀嚼してくれた。
子供達は何とも言えない目でこちらを見るが、お前達もこうなるんだからね。
皇太子殿下は羨ましそうに見入っていた。
我が息子を長年求めてきて、逃げ回っていたからね。
用意周到に周りから囲っていたのも知っていたが、最後は自分から懐に入ってくれる事を願っていたなぁ~。
ついつい昔を思い出してしまっていた。
「この子達も大きくなったわね。もう何年会ってなかったかしら。末っ子ちゃんが生まれる前だったものね~」
沙也加がしみじみとそう言っていた。
彼女には呪いのようなものがかかっていた。
はっきり呪いとは言い切れないのだが…
前回の封印時にかかったものらしく、発動したのは我が家の末っ子が生まれる三年ぐらい前か?
彼女の左腕にそのアザが刻まれている。
夫であるエドワードが魔力で押さえ込んでいたが、最終的には発動に至り、眠りについた。
まるで死んだように全てを停止させていたらしい。
その肉体を守るべく彼は皇帝の座を娘に渡して、墓守の如く彼女の身体の側に居たんだ。
「そうそう、この子達は、この世界の神の事、どこまで理解しているのかしら?優里は教えていたの?」
「いいえ、残念ながら伝えることが出来なかったのよ。この世界の二神以外の神の事は…」
「制限がかかっていたせいだろう。今は伝えられそうな気がする。ただし、これもどこまで伝えられるかはわからないが…」
そう脚を組み直して思案する。
「ちょっと待て、この世界は光と闇の神のみだ。それ以外は眷属とされているはずだが?他にも実在するのか?」
この国の皇太子であるから、勿論この世界の宗教関係も熟知している。
教会ではお姿が男性であったり女性であったりと色入りだが…
これは、神には性別が本来なく、現れた場所でのお姿をそのまま像にして祀っているのだ。
その側には基本初代聖女の像のみ設置されているが、教会によっては歴代の聖女の像もある。勿論、その中には沙也加の像も…
今回の聖女はまだ全てを成し遂げていないから作られてはいないが、後には作られるだろう。
本当の聖女であればだ。
「そうね、この世界を創られたのは光と闇の二神。黄金の髪にオパールの様な瞳の神が光の神リーミエであり、銀色の髪にオパールの瞳の神が闇の神カーミエなの。そして、神にも色々とランクがあるらしくて、この世界以外、そう異世界と呼ばれる多くの世界にそれぞれ創造神がおられるの。大概二神らしいんだけどね。世界によってはこの世界と違い、二神以外もおられるのよ。ちなみに、私が居た世界には多くの神がいたの。国のによって姿や名前が違ったりして、考え方も…まぁよく似ているようで微妙に違っていたりしてね。ちなみに私の国も他国の神も祀っていたけど、神社と呼ばれる所では八百万の神様、多種多様な多くの神様がいると考えられていたの。会った事はないけどね。神社はこっちで言うと神殿かな?詳しくは知らないんだけどね~。まぁそれは横に置いといて、創造神がいるのなら、勿論、破壊神もいるのよ。作った世界が良い方向でいけば良いけれど、やはり負の感情に押されてね。で、場合によってはその破壊神が異世界から来られて破壊。また新たに創るって感じかなぁ。極端に言えば。」
そう言って、一旦紅茶を飲んで喉を潤して、続きを説明し出す。
「神は基本身勝手な所もあるみたいで、退屈で破壊したり、引っ掻き回して楽しむ神も存在するらしいの。この世界では、それがよく伝承される『異世界の扉』なのよね。あれは負の感情が多くなり、魔素が増え、魔素溜まりが増加。魔獣の凶暴化などでさらに魔力が扉に向かうの。結果開いて異世界から干渉される。力が強い神であれば、扉も関係なしで現れる事もあると言ってたわね。実際に現れたんだけどね…」
「それが前回と言うわけですか?」
「そうよ。世界を創った神自身は自分が創った世界を守りたいからと自分の力を使うなんていう干渉があまり出来ないらしくてね。守りたいがために異世界から聖女として、世界を守りうる存在を召喚してきたの。この世界のいわゆる神殿にいる者にその秘技を伝えてね。その国がロザリアン神聖国。で、前回は今までとは違う神が異世界から干渉してきたの。この神も二神でね。一人は破壊を楽しんで、一人はそれを止めに来たの。必要で破壊する分には止める事はあまりしないらしいんだけど、遊びのように楽しむための破壊行為はとね…」
大きくため息を吐く沙也加。
私達がこの事を前回知って唖然としながらも、足掻くように頑張った事を思い出していた。
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