竜の国のご都合主義？

聖女と巡礼

聖女巡礼メンバーと別行動です。

馬車に乗り込んで、疲れが出てたのか、ついウトウトしてしまう。

「マスター、マスター。」

上着の裾をツンツンされて目を覚ます。

「ん？」

目が覚めて、周りを見回すと、注目されていたようだ。
そそくさと顔をそらされたり、俯いたり大忙しだ。
耳元が赤い人もいる。
もしかして、寝言でも言った？そうするとめちゃくちゃ恥ずかしいんだけど…

「何あの可愛いヒト族。無茶苦茶好みなんだけど。」
「どこまで行くんだろう。ついて行ったら怒られるかなぁ。」
「飲みに誘うか？そのまま付き合ってくれないかなぁ…」
「番になってくれないかなぁ。メチャクチャ可愛がる自信しかないんだけど」

何やら小声でぶつぶつ言っている。
時々チラチラ見てるなぁ。ディアが可愛いからか？
でも、まだ小さい子だからな。

「どうした？怖かった？」

小声でディアに呟く。ディアブロは威嚇するように鋭い視線を巡らせ、騒いでいた人達がしゅんとした。
うん、さすがだ。

「師匠。マスターが自分の事だと思ってないみたいだよ。心配だね。」
「私達がしっかりとお守りしないといけません。マスターは無自覚でいろんな方を引き寄せてしまいますからね。よく覚えていくように！」
「はい！」

何か良くわからないけど、ディアブロが指導している。
うん、可愛いから、『知らない人について行かないように！』みたいな事を言ってるんだろうな。
うん、さすがだ。頑張れ！！

ディアに心の中でエールを送る。

「マスター、そろそろ降りますよ。」

そう言って、次の乗り場で降ろしてもらった。

後ろから降りる場所を間違いかけた人たちが、一旦上げた腰を降ろして座り直してる。
まぁ、僕には関係ないか…

「マスター。早く。」

ディアに手を引かれて、急いで宿に向かう。
背後にいたディアブロが何かしたのには気が付かなかった…