竜の国のご都合主義？

聖女と巡礼

聖女巡礼メンバーと別行動です。

アカリとサヤカが浄化の力を降り注ぐ。
二人同時に行ったためか、一瞬で光り輝き、湧き水は清涼に。そして心地よい風が吹いた。

そうなると、シルフィーネとアイリーナが飛び回り、緑豊かな自然へとかえっていった。

魔獣の姿も消え去り、魔石が辺り一面に転がっている。

隠れていたであろう動物達が、いつの間にか集まり始め、湧水から近い水辺で水を飲み出した。
鳥達もちらほらと現れる。

「綺麗ね。」
「本当綺麗。これがこの場所の本来の姿なんでしょうね。」

そう言って、二人が喜んで微笑んでいた。

僕の方は、以前のような感じで魔力が身体から奪われることもない。
まぁ、ほんの少しは流れ出たけれど、でもそれは気にするほどではない。

「浄化の後はこんなに気持ちがいいんだね。二回とも意識がぶっ飛んだから、今回しっかりと体験できてよかった。」
「マスター。次も頑張りますね。」
「私も頑張るわ。あの聖女なんかには負けないからね。」

「う～ん。浄化で勝敗というのもどうかと思うのですがね…まぁ、あの者達と我らとは全然違いますから、お任せください。」

そう言って、アルストがニコニコして機嫌がいい。
余程、あの時僕が使われたのが気に食わなかったんだろう。

自分達が活躍してなかったのも、まぁ…あるだろうけれどね。
彼らの事が公になれば、僕は後々どこかの国に囚われて、酷使される恐れがあるしね。
あの例の男のように捕えられて、研究材料にされるのもお断りだ。

この世界を守ることに協力はするけれどね、それとこれとは大違いだ。

「では、次に向かいましょうか。私達は一旦姿を消しますね。では…」


そう言うと、アルスト達が姿を消し、僕とディだけになった。

「じゃあ、行こうか。」

少し広い場所に行き、ディが綺麗な竜体に変じる。
身体を低くしてもらい、その背に乗ると、魔法を展開してくれて、一気に飛び立った。

『とりあえずは、近くの街で宿をとろう。』

そう言って、夕陽を背にして次の目的地に向かった。