竜の国のご都合主義?

文字の大きさ
上 下
164 / 269
聖女と巡礼

聖女巡礼メンバーと別行動です。

しおりを挟む
さらに奥に進んでいくと、足元の土はぬかるみ始め、滑るやすくなっていく。
ジメジメした、肌に絡みつくような鬱陶しさを感じる。
そして、気分的にもどんより。
このさらに先には、この世界の者達には近づき辛い強い瘴気が漏れ出しているんだろう。

聖女しか近づき辛い場所。
だけど、嫌な感覚はあるが、二度ほどの経験で、僕は意外と近づいていける事がわかった。

ディはこの世界での住人の竜人族であり騎士でもあるから、数分なら近くでも持ち堪えれるらしい。
その後はポーションとお友達になるんだけどね…
英霊達はどうなんだろうか??
あと、ディアは?

そんな事を考えながらチラッと下を見る。
ディアはスキップでもしそうな感じでついて来ている。
このぬかるんだ場所で?器用だな。
僕なら転ぶ自信があるよ。

「あそこにいますね。」

そうアカリが言うと、二人が向こうで手を振ってくれていた。

「マスター、この辺りで一旦休憩をいたしましょう。」

ディアブロがそう言って、休憩の準備をしようとすると、『任せて』と言ってアイリーナが飛び出して来た。
緑色の髪に青い目をした優しい女の子の姿の彼女が、両手を指揮者のようにくるくりゃ動かすと、地面から蔓が伸びてテーブルと椅子の形になった。ついでに地面の水分を吸収してか、ぬかるんだ場所が一部固い地面になった。耳元に白い花が飾られている。さすがは緑の精霊王。
次にシルフィーネが姿を現し、風を起こして鬱陶しかったこの空間の空気を快適にしてくれる。
さすがは風の精霊王って感じだ。可愛らしい姿で僕の右肩に座っている。
本来の姿ではないんだろうけどね…

「では。」

ディアブロがそう言うと、ディアと一緒にお茶の準備をしていく。
ディアブロの指示のもとディアが空間から食器やお菓子などを出していく。
いつの間にそんな高等魔法を覚えたんだろうか?

「凄いね。」

全ての準備が整い、テーブルにつくと、カップお茶が注がれていった。

「ディアブロもディアも一緒に。」
「いぇいぇ、私達は執事ですから、マスターと同席など、とんでもない。」
「僕が許すから。ね。一緒に休もう。この後奥に歩いていくんだ。大丈夫かもしれないけど、一緒に休んで欲しいな。」

そう言って頼んでみた。そう、お願いだ。

「あぁ、マスターが私たちにお願い…なんと甘美何でしょう。」

うん、相変わらずのオーバーリアクションだ。
ものすごくより混んでいるよ。


「では、お言葉に甘えて、ディアこちらに座らせていただきましょう。」
「うん。」

そう言って、全員テーブルにつき、各々のペースで休むことにした。
僕の横というか、僕を膝の上に座らせてお世話をし出すディ。
もう、みんな見慣れた雰囲気ではあるけれど、僕的には恥ずかしい。
だって、ものすご~く温かい目で見守られてるんだからね…
いたたまれない。

「カル、これも美味しいよ。ほら。」

そう言って口元にクッキーを運ばれてしまえば、開けてるしかないじゃないか…
いわゆる『あ~ん』だよ。
竜人族は、どの種族よりも番に対して、餌付けしたがると習ったよ。
実際に、父や兄、姉で見て来たからね。

「うん、相変わらず凄いね。甘々だ。」
「そう言えば、ガラも竜人族でしょ。相手にマスター達みたいな事してたの?想像できないんだけど…」
「そう言えば、私、見た事ないですね。会わせてももらっていないし…ガラ、相手いたの?」

思わず振られて、ガラがお茶を勢いよく横に向いて吹いた。
被害はないよ。うん、顔にかけられたら最悪だもんね。
まぁ、アルスト達は密かに防護結界を個々にかけて、予防対策してたみたいだけど。

「ゴボゴボ…我輩…私にも番はおります。」
「そうなの~?で、マスター達と同じ事したりしてたの?」
「それは…秘密だ。」

そう言ってアカリの追求を無視し出した。
うん、ほのぼのとして良いよね。
気を緩めすぎるのは危険な場所ではあるけれど、緊張感を持ち続けてしまうのも実際よくなかったりする。
こう言う配慮をしてくれる仲間達がいて良かったと思えた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

僕はお別れしたつもりでした

まと
BL
遠距離恋愛中だった恋人との関係が自然消滅した。どこか心にぽっかりと穴が空いたまま毎日を過ごしていた藍(あい)。大晦日の夜、寂しがり屋の親友と二人で年越しを楽しむことになり、ハメを外して酔いつぶれてしまう。目が覚めたら「ここどこ」状態!! 親友と仲良すぎな主人公と、別れたはずの恋人とのお話。 ⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。 大晦日あたりに出そうと思ったお話です。

悪役令嬢と同じ名前だけど、僕は男です。

みあき
BL
名前はティータイムがテーマ。主人公と婚約者の王子がいちゃいちゃする話。 男女共に子どもを産める世界です。容姿についての描写は敢えてしていません。 メインカプが男性同士のためBLジャンルに設定していますが、周辺は異性のカプも多いです。 奇数話が主人公視点、偶数話が婚約者の王子視点です。 pixivでは既に最終回まで投稿しています。

愛されない皇妃~最強の母になります!~

椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』 やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。 夫も子どもも――そして、皇妃の地位。 最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。 けれど、そこからが問題だ。 皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。 そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど…… 皇帝一家を倒した大魔女。 大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!? ※表紙は作成者様からお借りしてます。 ※他サイト様に掲載しております。

ブレスレットが運んできたもの

mahiro
BL
第一王子が15歳を迎える日、お祝いとは別に未来の妃を探すことを目的としたパーティーが開催することが発表された。 そのパーティーには身分関係なく未婚である女性や歳の近い女性全員に招待状が配られたのだという。 血の繋がりはないが訳あって一緒に住むことになった妹ーーーミシェルも例外ではなく招待されていた。 これまた俺ーーーアレットとは血の繋がりのない兄ーーーベルナールは妹大好きなだけあって大いに喜んでいたのだと思う。 俺はといえば会場のウェイターが足りないため人材募集が貼り出されていたので応募してみたらたまたま通った。 そして迎えた当日、グラスを片付けるため会場から出た所、廊下のすみに光輝く何かを発見し………?

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった

cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。 一途なシオンと、皇帝のお話。 ※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

婚約破棄された婚活オメガの憂鬱な日々

月歌(ツキウタ)
BL
運命の番と巡り合う確率はとても低い。なのに、俺の婚約者のアルファが運命の番と巡り合ってしまった。運命の番が出逢った場合、二人が結ばれる措置として婚約破棄や離婚することが認められている。これは国の法律で、婚約破棄または離婚された人物には一生一人で生きていけるだけの年金が支給される。ただし、運命の番となった二人に関わることは一生禁じられ、破れば投獄されることも。 俺は年金をもらい実家暮らししている。だが、一人で暮らすのは辛いので婚活を始めることにした。

処理中です...