竜の国のご都合主義?

文字の大きさ
上 下
152 / 269
聖女と巡礼

聖女巡礼メンバーにされてしまったみたいです。

しおりを挟む
そのまま軽く食事も摂ろうと言うことになり、アイテムボックスやアイテムバックからパンと飲み物を取り出して配り出した。
マルクスとグランはさっさと食事を終えて、先に偵察に行くと言って元気に駆けて行った。
ここまで来た時と同じように、また魔獣をある程度刈り取っていくのだろうか…
相変わらずすごいな…

数人の騎士達もついて駆けて行った。

「本当、元気ね。私はもう少し休みたいな…」
「そうしてあげたいのはやまやまですが、日が暮れてしまうと危険度が上がりますので、そろそろ出発しましょう。」

そう言うと、皆んなに号令をかけてまた移動を開始となる。
アイは嫌な顔をしたが、『まぁ、仕方ないか』と立ち上がっていた。

ディの方を見つめて、側に来て欲しそうにするが、ディは相変わらずのスルーだ。
スレインが『仕方ないですね。』と言って側についていた。


途中から鳥の声も聴こえなくなり、何とも言えない雰囲気だ。
おどろおどろしいと言う表現がぴったりだと思う。

切り開かれた道の端には倒れた木や血の跡。
魔獣の遺体は今のところ見えていない。
草陰に魔石らしき物が転がっており、数名の騎士達が拾い集めていた。
先行した二人が刈り取って行ったのだろう。相変わらず本当にすごい腕前だ。

「あれか…」

見えて来たのは、大きな木の根元あたりにぽっかりと開いた穴。
洞窟?何だろう??
じっと見つめると、そこから黒いモノがここから見えた。
確か、サヤカが言っていたのと同じだ。
何とも言えないよ~~~。

カキーンカーンキーン。

金属音の音が飛び交う。
二人が熊のような魔獣と狼のような魔獣と交戦中だ。その側には、大きな大蛇のような物まで見えた。


洞窟からは、獣のような魔獣だよね?が、這い出ている。
しかも、あんなに??

「後!!」

黒い大きな蜥蜴が二匹。いきなり口を開けて火を吹いた。
前衛にいた騎士が火に包まれ、急いで水魔法をかけられている。

「こちらは自分達が抑えるので、アイは向こうを!!」

そう大きな声で叫ばれる。が、アイは動こうとはしない。

「行きましょう!」

そう叫ぶように、ルディがアイを引っ張って、魔法攻撃と保護魔法で守りながら洞窟の側に行行としたが、振り払っていた。
そして、ルディの膝がガクンと折れた。
冷や汗をかき、眉間に皺がよって、苦しそうにしているのを呆然と眺めているアイ。

どうするべきだ??

「カイを連れて来て!!」

アイが大声で叫ぶ。
声が辺りをこだまして、数名の騎士に腕を取られた、ディから引き離されてアイの元に引きずられる。
嘘だろ!!また?

ディが僕に手を伸ばすも、数人がかりで押さえ込まれているのと、魔獣の攻撃で身動きが取れない。

バンと押されて、大きな木の根元あたりにぽっかりと開いた穴に落とされるように体が崩れた。
黒くてどろりとした物がふれ、不快感が全身を這う。
その背中にアイがまた両手を置いて僕を通して力を注いだ。
確か、媒体用にアイテムもらったよね。それ、どうしたんだよ!!

「ぐっ……」

周り一面光り輝き、魔獣達が砂のように崩れて消えた。
僕の中も魔力の、前回と同様にごっそりと抜けて行く。

くらっとして、さらに倒れかけた時。

「まずい。とりあえず。」

僕の背中から手をのけて、背中に彼女のアイテムを押し付けられた。
少しだけ魔力が戻るが…

「全部じゃないからいいでしょ。ごめんね。テヘペロ。」

その声を聞きながら、『嘘だろ…』と心の中で叫び意識が飛んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!

めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。 ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。 兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。 義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!? このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。 ※タイトル変更(2024/11/27)

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

一人の騎士に群がる飢えた(性的)エルフ達

ミクリ21
BL
エルフ達が一人の騎士に群がってえちえちする話。

大嫌いだったアイツの子なんか絶対に身籠りません!

みづき
BL
国王の妾の子として、宮廷の片隅で母親とひっそりと暮らしていたユズハ。宮廷ではオメガの子だからと『下層の子』と蔑まれ、次期国王の子であるアサギからはしょっちゅういたずらをされていて、ユズハは大嫌いだった。 そんなある日、国王交代のタイミングで宮廷を追い出されたユズハ。娼館のスタッフとして働いていたが、十八歳になり、男娼となる。 初めての夜、客として現れたのは、幼い頃大嫌いだったアサギ、しかも「俺の子を孕め」なんて言ってきて――絶対に嫌! と思うユズハだが…… 架空の近未来世界を舞台にした、再会から始まるオメガバースです。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

リンドグレーン大佐の提案

高菜あやめ
BL
◾️第四部連載中◾️軍事国家ロイシュベルタの下級士官テオドアは、軍司令部の上級士官リンドグレーン大佐から持ちかけられた『提案』に応じて、その身を一晩ゆだねることに。一夜限りの関係かと思いきや、その後も大佐はなにかとテオドアに構うようになり、いつしか激しい執着をみせるようになっていく……カリスマ軍師と叩き上げ下級士の、甘辛い攻防戦です【支配系美形攻×出世欲強い流され系受】

処理中です...