竜の国のご都合主義?

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聖女と巡礼

聖女巡礼メンバーにされてしまったみたいです。

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そんな話の後、本題といって、今の状況を説明してくれた。
今回も、前回の聖女巡礼の旅の時とほぼ同じ場所に魔素溜まりが発生しているらしい。
地図に記載された場所を順に説明していた。

「前回と同じか…」

ディが何か考えて…そうか、サヤカが言っていた。
前回は自分が聖女として旅していて、この地にも訪れていたと。
母は確か隣。そう、この地はロザリアン神聖国のシュタルク領に近く、母はその地にいたらしい。
父と確かディも…
なら、ディが知っていてもおかしくないのか…

種族によって寿命が違うらしいから、そこの辺りは混乱しそうだ。
竜人族は長寿であるし、その番も長寿。
その子供達もヒト族であっても、ロザリアン神聖国のヒト族よりは長寿。
うん、ややこしい。

「だいたい把握した。」

そう言って、あらかたの情報交換を終えて部屋を出た。

案内役の騎士の人が二人待っており、一人は僕にあてがえられた部屋に案内しようとした。
もう一人はディにだ。
だが、ディは僕を呼んで、腰に手を伸ばして来た。

「自分達は婚姻を済ませているから、同室で。」
「それはできません。ジャディール殿下は王族の竜人族。そちらは婚姻を済まされているとしても浄化メンバーであるため別室です。しかも人族ですから…」
「人族であるからこそ、夫である私と共にいる必要性があるのでは?まさか、竜人族の番をどうこうしようと思ってはいないだろうな!?」
「滅相もない。ただ、聖女様から…」
「聖女が私とカルを引き離すように言ったのか?」

ビクッとして口ごもり出す。
そういう事なんだろう…
だって、この人、しっかり魅了がかけられている。
何でわかるかって?実は魔力が強い者には見えたりするんだ。
かかっているモノの瞳の中に小さなハートマークが。
それがある者は、魅了にかけられている。

で、この二人にはしっかりと…うん、見える。

対策してるって言っていたけれど…
実害が無いぐらいのものは、対処できないのかも知れない。
単に引き離すぐらいならね。
同じ敷地内で…そのぐらいの距離ならって感じかもしれない。
まぁ、巡礼メンバーと同行者との部屋が別れているのも事実だと思うし…

「ディ、大丈夫だよ。僕行くね。」

そう言って、一人について行こうとした。
揉め事は困るしね…
騎士さん、少し顔色悪いよ。

「ダメだ。」

ガンとしてディは譲らない。

「どうした?」

廊下が騒がしかったのが中にも聞こえたのであろう。殿下が出て来た。

「はっ、聖女様より、お二人のお部屋を案内するよう言われましたが…」

ルディの眉がピクピク動く。
うん、眉間に渓谷ができてるよ。

「アイの部屋の側には我が国の護衛がついているはず。アイにも他の者達にも通達していたはずだが、アイが護衛にジャディール殿下を希望されているが、それは却下だ。父上からもその旨通達がある。殿下はご自身の番であるカルロスがメンバーに選ばれたために、特別参加となっている。主には番の護衛だ。これは特別に申請されて、許可を出しているものであり、覆すことはできない。君達は一旦下がりなさい。」

そう言うと、側にいた騎士に部屋を案内するように命じてくれた。

「申し訳ない。準備が間に合わず、既にかかっている者もいるが、今までは特に害がなかったからね…この者に準備させているから、そちらを使って欲しい。入り口が一つだが続きのふた部屋だ。今後に支障がきたしたらいけないからね。」

「了解した。」

そう言って、案内役の騎士の後をディに手を引かれながらついて行く。
うん、その方がきっとゆっくりできるからだよ…

廊下の窓が少し開けられて、風が舞い込む。

緑豊かな風。心地良い。
ラベンダーのような香りも微かに感じた。

『妖精の国』と言われるオリクサ王国。

巡礼の旅でこの地に来た者以外。そう、教会の人達には確かに耳がとんがっている人を見かける。
あの人達はエルフ族なのだろう。
窓から外の景色を覗くと、緑の中。樹々や薬草と思われる物の茂みにふわふわと浮かんでいるものが見えた。

「あれは妖精です。この国はもともと緑豊かで妖精や精霊が多くいたのですよ。前回同様、今はかなり数が減ったか、隠れているのか見かけるのが減ったようです。一時期は増えてたらしいのですが…」

案内してくれている騎士がそう説明してくれた。

確か、アカデミーでも習ったが、妖精にも種類があり、ふわふわと光りながら浮かぶのは低級なのだとか。
力を貸してくれることもあるが、気をつけないと自分の魔力を奪われるだけの事もあるから注意がいるそうだ。
基本、力を貸してくれる時、魔力を代価に渡す必要があるらしい。

魔力だけ奪われるのは嫌だなと、習った時に思った。確か領地でもそんな風景が見られる場所があったはずだ。
兄達も言っていた。一つの光のふわふわからは少しだけ魔力を奪われるとしても、多く集まると場合によっては命の危険にさらされると。
だから、そのような地域の人達は、ポーションをいつも持ち歩いているらしい。
僕も兄に持たされていた。
ネックレスやブローチ。ブレスレットとして、見た目は小さな輝石のようでも、空間収納の応用を施して、ポーションを入れて持ち歩くのが主流なんだと言って。
あと、薬とかも持ち歩く事が多いから、それ用にも色々な物が有るのだとか。
そう言えば、この国の特産品でもあったと記憶する。
我が国にも似たようなものを特産品にしていた。特に僕の両親が治める領だ。

ポーションや薬草などを多く作っている地域ならではのものなんだろう。
母がポーションをよく作っていたからね…

兄達が、中級の妖精は動物などの姿で、上級の妖精は人の姿に近いのだと言っていたように思う。
『小さな人の形で、羽が生えている感じ?』と聞いたら、そうだと言っていた。

精霊は万物に宿る物で、基本容姿など無いのだとか。ただ、精霊王のような上級の精霊になると、女神のような神々しいお姿をしているとも言っていた。ここはアカデミーでも習った。

上級は精霊王だけ?ときいたら、そうとは限らないらしい。
ただ、若い上位精霊と古参の上位精霊だと、姿は同じように見えても力が違うのだとか。
うん。ファンタジーだと思ったよ。
自分達がそう設定してたんだけどね…
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