竜の国のご都合主義?

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聖女と巡礼

聖女巡礼メンバーにされてしまったみたいです。

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「来た来た~っ!待ってたのよ~」

そう言ってアイが教会から飛び出して来て、ディに飛びつこうとして立ち止まる。

「何で抱き抱えられてるの?」

僕の姿を見て、『チッ!』っと舌打ちしてそう言っていた。
一瞬睨みつけられながらも、ディの側に近寄って来た。

「あぁ、今着きました。ルディウス殿下はどちらに?」

そっと僕を下ろして、側にいた騎士にそう聞きながら、僕をエスコートするようにスタスタと聖女の横を通り過ぎる。

「ジャディール殿下。こちらです。」

案内する騎士について行くが、良いんだろうか?
チラッと背後を覗くと、アイが何とも言えない表情だ。

スレインが適当にあしらって、他のメンバーの元に行くからなのか?
ディに適当にあしらわれたせい???

「カイに舌打ちするような者に、敬意は必要ない。」

ディが小声でそう呟いているが、うん、怒ってるよ。
アイは多分、僕がディに大切にされているのと、自分に対しての対応が気に食わないのだろうけれど、ディと僕は…その…何だ。うん、『運命の番』であるし、『夫夫』。だから、僕に対して彼女が取った対応に怒るのはね…。仕方ないと思うよ。竜人族だし…。
他の人達も、何か感じているのか、少し距離を空けていた。

教会内に入って行くと、ルディことルディウス殿下が待っていた。

「ジャディール殿下。来てくださり有難うございます。スレインも合流してくれたか。カルは体調はもう良いのか?無理せず…」
「ルディウス殿下、カルの体調はもう大丈夫だ。今後はこの前のような事がないように、しっかりと配慮をしていただこう。わかっているとは思うが?」

ディがルディに威圧している。
うん、理由はわかってるよ。
あの時、聖女を止められなじゃったからね。おかげで僕の魔力はごっそりよ。
ディの心配が半端でなかったからね…

「あぁ、あの時は申し訳ない。カルも済まなかった。光魔法保持者で聖職者として国に貢献していた私なのに、まさか…まぁ、今回は父上や兄上からこれを渡されているから、多分大丈夫だと思うが…彼女の力は強いから、絶対とは言い切れない。彼女の力が全て悪いわけではないがね。良い方に作用してくれれば…あの時は…うん、言い訳はしない。すまない。」

この前、アカリから聞いていた。
聖女には多少の『魅了』の力もあるらしい。
力の強さは色々で、浄化においては、その力が良いように使われる事もあるらしい。
前回は…うん、最悪だったよ。

さっきも、嫌な感じだったし…
実は、アイがディに魅了を使おうともしていたんだ。
僕にも何となく察知できた。
ディには効かなかったけどね。
スレインにも行使しようとしてたけど、スレインは既に対策済みだと言っていたから、多分大丈夫だったと思う。

「そうそう、多分、アイは…殿下に常に側にいてほしいと懇願すると思う。そして、言いにくいが…カルに対しての対応が…」

何とも言えない表情だ。
僕を排除しようとするのかもしれない。
聖女なのに?
モテる夫を持つため…って言いたいのかもしれないなぁ…


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