竜の国のご都合主義?

文字の大きさ
上 下
146 / 269
聖女と巡礼

聖女巡礼メンバーにされてしまったみたいです。

しおりを挟む
「どっ、どう言う事?」

訳がわからず、そう問いただす中、ディアは僕のキズを舐めて癒していた。
えっと…

「う~ん、何とも羨ましい…ではなくてですね。マスターはそのディアに私と同じ名前を与え、しかも血を与えてしまってます。ディア自身もディアブロの名前とディアの呼称を受け入れて、マスターの名前を教えていただき、呼ぶ許可をいただいた。よって、繋がりが出来たようですよ。そういえば、過去のとある文献で、異世界の生態で、親が子を捨てる事があるとか。その子もそうなのでは?どう見ても、この世界の者と違いますしね…(ディア。翼仕舞いなさい。他の者に見られたら不味いだろ。)」

最後の言葉は聞き取れなかったが、ディアブロとディアとでは理解ができたのだろう。ディアが何かゴソゴソしている。

「マスター、その者の面倒は私が見させてもらいます。同じディアブロ同士ですからね。スレインも良いですね。」

ディアブロの威圧で、スレインは弓をしまい、顔色を一瞬悪くしながらも頷いた。

「ディアも、マスターの事は、皆と同じくマスターと。まぁ、場合によっては…マスターの許可もあるし良いでしょう。」

「うん、ありがとう。」

見えていた擦り傷が全て消えて、可愛い膝小僧が見える。
うん、やっぱり小さなディアブロだ。

「でも、僕の傷も消えたけど、ディアの傷は?」
「僕、自分で治した。」
「そっか。自分で…治せるんだね。」

「聖女様とは少し違う治癒魔法って感じですね。」
「ディア、君、何処から来たの?」

とりあえず、確認はしておこう。

「ん~、わかんない。いらないってポイされて、黒いドロドロから出て来た犬に噛まれた。もう消えちゃってるけど、怖かったの。」

そう言って、うるうるした瞳で見つめられて、足にしがみつかれた。
どう見ても三歳から四歳あたりの子供だ。
ドロドロはさっき見つけた魔素溜まり。そこら犬の魔獣に襲われて倒したけど、怖くて隠れていたと言うことか?

「言語は契約時に習得したんでしょうね。すごいですね~。」

そう言って、ニコニコのディアブロと、何ともいえない顔のスレイン。
拾ってしまったもの…しかも、契約してしまっては捨てる事もできないし、こんな小さな子供、うん、無理だ。
ディアブロが世話してくれるなら、まぁいっか。
怒られるのは覚悟しておこう。

「なら、みんなの所に戻ろうか。」
「はぁ…………分かりました。マスターの意向に添いましょう。」
「うん、ありがとう。」

「ディア、こちらに来なさい。」
「ぼく、マスターの………は~い。」

僕の手をギュッと握りしめたが、ディアブロの顔色を伺って、しぶしぶ彼の側についていった。
さて、向こうはどうなってるかな?
こっちは他の気配は無さそうだから、多分大丈夫だろう。
ディアブロが警戒していないしな…

そう思い、みんなの元に戻った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

[離婚宣告]平凡オメガは結婚式当日にアルファから離婚されたのに反撃できません

月歌(ツキウタ)
BL
結婚式の当日に平凡オメガはアルファから離婚を切り出された。お色直しの衣装係がアルファの運命の番だったから、離婚してくれって酷くない? ☆表紙絵 AIピカソとAIイラストメーカーで作成しました。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!

音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに! え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!! 調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。

ゆい
BL
涙が落ちる。 涙は彼に届くことはない。 彼を想うことは、これでやめよう。 何をどうしても、彼の気持ちは僕に向くことはない。 僕は、その場から音を立てずに立ち去った。 僕はアシェル=オルスト。 侯爵家の嫡男として生まれ、10歳の時にエドガー=ハルミトンと婚約した。 彼には、他に愛する人がいた。 世界観は、【夜空と暁と】と同じです。 アルサス達がでます。 【夜空と暁と】を知らなくても、これだけで読めます。 随時更新です。

第十王子は天然侍従には敵わない。

きっせつ
BL
「婚約破棄させて頂きます。」 学園の卒業パーティーで始まった九人の令嬢による兄王子達の断罪を頭が痛くなる思いで第十王子ツェーンは見ていた。突如、その断罪により九人の王子が失脚し、ツェーンは王太子へと位が引き上げになったが……。どうしても王になりたくない王子とそんな王子を慕うド天然ワンコな侍従の偽装婚約から始まる勘違いとすれ違い(考え方の)のボーイズラブコメディ…の予定。※R 15。本番なし。

博愛主義の成れの果て

135
BL
子宮持ちで子供が産める侯爵家嫡男の俺の婚約者は、博愛主義者だ。 俺と同じように子宮持ちの令息にだって優しくしてしまう男。 そんな婚約を白紙にしたところ、元婚約者がおかしくなりはじめた……。

愛などもう求めない

白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。 「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」 「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」 目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。 本当に自分を愛してくれる人と生きたい。 ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。  ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。 最後まで読んでいただけると嬉しいです。

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

処理中です...