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聖女と巡礼
聖女巡礼メンバーにされてしまったみたいです。(スレイン)
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カルと別れて、すぐに国の叔父に伝達魔法陣で報告した。
叔父から渡されたバングルのおかげで回避できたが、今回この世界に降り立った聖女には違和感を感じる事。
そして、『魅了』の力を使うようだとも。
ただ、それが、無自覚で使用したのか、それとも好意的使用したのか分からない事も添えておいた。
直ぐに叔父からの返信。
新たなバングルを用意してくれる事。
『魅了』の能力に関しては、どんな理由であれ、要注意して行動するように。
そして、気をつけるようにとも…
直ぐに火魔法で燃やす。
どこでどう繋がるか分からない。
不用意な事が起こる可能性もあるから、気をつける事は大切だ。
常々叔父から教えられて来た事だ。
こう言う対応は、父よりも叔父の方が上手だしな…
そう考えて、その日は就寝し、翌日。
聖女達巡礼メンバーと探索及び討伐予定の時間となり、集合場所でカルと合流した。
うん?ジャディール先生の魔力がカルから感じられる。
もしかしたら、不安に思っているカルの気持ちを感じ取って、直ぐに側に来たのかもしれない。
さすが竜人族と言うべきか?
まぁ、その方が安心できていいと思う。
赴く人々が揃ったようだ。
今回赴く場所は、この城から近い場所であり、とりあえず練習みたいだ。
この城の近くだからと、今回だけメンバー以外の同行者は、この国の第一騎士団の者達だと説明された。
次回からは、各国から集められた精鋭部隊と行く予定なんだとか。
精鋭部隊の調整を、今現在やってしまうんだと騎士団の団長が言っていた。
団長は精鋭部隊には選抜されていないらしい。この国で何かあれば必要な中心的人物なのだろう。
副団長と他数名。この国の各騎士団から選ばれた者が、この国からの代表として精鋭部隊に入っているらしい。
その者達は、今は抜けて精鋭部隊の方に参加中だとか。
騎士団に連れられて来た場所は、遠くに城が見えるぐらいの距離だった。
城から言うと、やや南東に位置する場所。
少しだけ小高い感じがする平原から更に南側に林が見えた。
かつては、もっと自然豊かであったと思われた。
精霊や妖精の気配がしない。
「この向こう側が予定された場所となります。従来は住民の憩いの場である美しい湖があり、ピクニックやボート遊びなどで楽しんでいた場所です。残念ながら、各地の瘴気による魔獣被害の影響で、ここにも小さな魔素溜まりが頻繁に発生し、小柄ではありますが、魔獣が発生しています。多少、魔物の生息も確認されております。」
そう団長が説明した。
聖女であるアイが、『魔獣と魔物、一緒じゃないの?凶暴な方が魔獣だよね?』って呟いていたから、それに関しては、ルディが説明していた。
「なるほどね。うん、ありがとう。ルディ。」
そう言って飛びついて、礼を言っていた。
本来なら不敬に当たる行為であるが、相手は聖女。誰もその行為を咎める者は居なかった。
逆に、微笑ましい者を見るような感じで見守っていた。
あり得ない!!!
私とカル以外がだ。
そっとカルに耳打ちする。
「やっぱり、『魅了』の力を使っている。無自覚かどうかは分からないけどね。僕にはとりあえずこれがあるから…」
そう言ってチラッとカルにバングルを触れて見せた。
妖精国のオリクサ王国の特製品だと説明してだ。
賢いカルは何か悟ったようだ。
あえて追求しない事にしてくれたようだ。
「カルは竜人族特有のモノを贈られてるから大丈夫なんだね。ホント、すごい効果だ。」
そう言いながら、ほんの少し冷やかさしてしまった。
「では、行きましょう。」
そう言って、二人一組で必ず行動するようにと注意されてから、カルと道を歩き始めた。
元々が憩いの場であった場所であるし、定期的に騎士や魔法師達が討伐や浄化などをしている場所であるから、倒木などで道が塞がれるなどはなかったが、やはりいない…
本来ならいたであろうに…
少し寂しさを感じた。
自分達の国では、ありふれたようにいる存在。
緑豊かな場所で飛び交う存在だ。
目的地に向かうごとに、どんよりとした何とも言えない空気感となる。
空もその場所だけを雲で覆い隠そうとしているようだった。
湖の近く。そう、大きな岩陰のところに黒い澱んだものが見えた。
そこから、小さな黒い生き物が這いずるように出て来ていた。
小型の魔獣か…
「何あれ、気持ち悪~~~~」
うげぇ~っと言いながら舌を出す聖女。
何とも下品だ。
こんなチャラチャラした感じのが聖女だとは…
騎士やメンバー達が、聖女であるアイが側まで行けるように、這い出てくる魔獣を排除しながら道を開ける。
イヤイヤしながら、ルディにわざとらしくしがみつき歩いて行っていた。
「何これ、臭~い。」
そう言って、ポケットからハンカチを取り出して鼻を塞いでいる。
それを苦笑いしながらも見守っているようだ。
何なんだ?あの女。あれが聖女?
「アイ。お願いします。」
そう言って促されるも、触るのも嫌なのか、なかなか動こうとはしなかった。
そして…
「ちょっと、カル、こっち来て!!」
そう言って隣にいるカルを呼ぶ。
私はカルは一緒に魔獣を退かせていたところだった。
「呼んでるよ。」
「呼んでるね。」
二人で目を合わせて、カルは仕方なく側に行った。
行かないという選択肢がないからだ。
大丈夫だろうか…あの女、何をする気だ?!
「どうされましたか?」
カルは呼ばれて側に行き、そう声かけると、あの女にぐいっと肩を掴まれて押された。
顔面から倒れ込まないように、思わず両手が出たのだろう。
淀んだ中に突き入れて倒れ込んでいた。
直ぐに近づいて助け起こしたかったけれど、動けない。
どういう事だ!?
すると、あの女がカルの背中に両手で押し付けるように触れた。
カルを魔法の杖のように媒介にして浄化の力を流し込んだんだ。
一気に流れこまされたのか、カルの身体がぐわっと反応した。
そして、カルが触れている場所から光輝きだし、一挙に淀みが消えた。
「成功です。さすがだ。」
「聖女様。素晴らしい!!」
周囲からの歓喜が信じられない。
あの女は、カルを道具のように使ったんだぞ。
いくら浄化が上手くできたとはいえ、あり得ない行為だ。
カルを押しのけるようにして立ち上がり、クルッと他の者達方を見てから、ルディに飛びついた。
その後は、ルディとこちらに歩いて来た。
意気揚々とした感じだ。
拘束が解けてか、急ぎカルの元にかける。
カルはその場に倒れ込むようにぐったりし、急ぎ支えた。
「大丈夫か?」
「あぁ、まるで魔法の杖のように媒介にされた…」
それだけ言って、視線が合わなくなり、意識が途絶えた。
急ぎ抱き上げる。
他の者には任せられない。
急足で城に戻る事に…
そう思うと、上空から竜体が見え、それは人の姿に変わっていった。
そう、ジャディール先生が駆けつけたのだ。
周りは動揺していたが、直ぐにことの成り行きを説明し、先生と共にカルを連れて城に戻ったんだった。
叔父から渡されたバングルのおかげで回避できたが、今回この世界に降り立った聖女には違和感を感じる事。
そして、『魅了』の力を使うようだとも。
ただ、それが、無自覚で使用したのか、それとも好意的使用したのか分からない事も添えておいた。
直ぐに叔父からの返信。
新たなバングルを用意してくれる事。
『魅了』の能力に関しては、どんな理由であれ、要注意して行動するように。
そして、気をつけるようにとも…
直ぐに火魔法で燃やす。
どこでどう繋がるか分からない。
不用意な事が起こる可能性もあるから、気をつける事は大切だ。
常々叔父から教えられて来た事だ。
こう言う対応は、父よりも叔父の方が上手だしな…
そう考えて、その日は就寝し、翌日。
聖女達巡礼メンバーと探索及び討伐予定の時間となり、集合場所でカルと合流した。
うん?ジャディール先生の魔力がカルから感じられる。
もしかしたら、不安に思っているカルの気持ちを感じ取って、直ぐに側に来たのかもしれない。
さすが竜人族と言うべきか?
まぁ、その方が安心できていいと思う。
赴く人々が揃ったようだ。
今回赴く場所は、この城から近い場所であり、とりあえず練習みたいだ。
この城の近くだからと、今回だけメンバー以外の同行者は、この国の第一騎士団の者達だと説明された。
次回からは、各国から集められた精鋭部隊と行く予定なんだとか。
精鋭部隊の調整を、今現在やってしまうんだと騎士団の団長が言っていた。
団長は精鋭部隊には選抜されていないらしい。この国で何かあれば必要な中心的人物なのだろう。
副団長と他数名。この国の各騎士団から選ばれた者が、この国からの代表として精鋭部隊に入っているらしい。
その者達は、今は抜けて精鋭部隊の方に参加中だとか。
騎士団に連れられて来た場所は、遠くに城が見えるぐらいの距離だった。
城から言うと、やや南東に位置する場所。
少しだけ小高い感じがする平原から更に南側に林が見えた。
かつては、もっと自然豊かであったと思われた。
精霊や妖精の気配がしない。
「この向こう側が予定された場所となります。従来は住民の憩いの場である美しい湖があり、ピクニックやボート遊びなどで楽しんでいた場所です。残念ながら、各地の瘴気による魔獣被害の影響で、ここにも小さな魔素溜まりが頻繁に発生し、小柄ではありますが、魔獣が発生しています。多少、魔物の生息も確認されております。」
そう団長が説明した。
聖女であるアイが、『魔獣と魔物、一緒じゃないの?凶暴な方が魔獣だよね?』って呟いていたから、それに関しては、ルディが説明していた。
「なるほどね。うん、ありがとう。ルディ。」
そう言って飛びついて、礼を言っていた。
本来なら不敬に当たる行為であるが、相手は聖女。誰もその行為を咎める者は居なかった。
逆に、微笑ましい者を見るような感じで見守っていた。
あり得ない!!!
私とカル以外がだ。
そっとカルに耳打ちする。
「やっぱり、『魅了』の力を使っている。無自覚かどうかは分からないけどね。僕にはとりあえずこれがあるから…」
そう言ってチラッとカルにバングルを触れて見せた。
妖精国のオリクサ王国の特製品だと説明してだ。
賢いカルは何か悟ったようだ。
あえて追求しない事にしてくれたようだ。
「カルは竜人族特有のモノを贈られてるから大丈夫なんだね。ホント、すごい効果だ。」
そう言いながら、ほんの少し冷やかさしてしまった。
「では、行きましょう。」
そう言って、二人一組で必ず行動するようにと注意されてから、カルと道を歩き始めた。
元々が憩いの場であった場所であるし、定期的に騎士や魔法師達が討伐や浄化などをしている場所であるから、倒木などで道が塞がれるなどはなかったが、やはりいない…
本来ならいたであろうに…
少し寂しさを感じた。
自分達の国では、ありふれたようにいる存在。
緑豊かな場所で飛び交う存在だ。
目的地に向かうごとに、どんよりとした何とも言えない空気感となる。
空もその場所だけを雲で覆い隠そうとしているようだった。
湖の近く。そう、大きな岩陰のところに黒い澱んだものが見えた。
そこから、小さな黒い生き物が這いずるように出て来ていた。
小型の魔獣か…
「何あれ、気持ち悪~~~~」
うげぇ~っと言いながら舌を出す聖女。
何とも下品だ。
こんなチャラチャラした感じのが聖女だとは…
騎士やメンバー達が、聖女であるアイが側まで行けるように、這い出てくる魔獣を排除しながら道を開ける。
イヤイヤしながら、ルディにわざとらしくしがみつき歩いて行っていた。
「何これ、臭~い。」
そう言って、ポケットからハンカチを取り出して鼻を塞いでいる。
それを苦笑いしながらも見守っているようだ。
何なんだ?あの女。あれが聖女?
「アイ。お願いします。」
そう言って促されるも、触るのも嫌なのか、なかなか動こうとはしなかった。
そして…
「ちょっと、カル、こっち来て!!」
そう言って隣にいるカルを呼ぶ。
私はカルは一緒に魔獣を退かせていたところだった。
「呼んでるよ。」
「呼んでるね。」
二人で目を合わせて、カルは仕方なく側に行った。
行かないという選択肢がないからだ。
大丈夫だろうか…あの女、何をする気だ?!
「どうされましたか?」
カルは呼ばれて側に行き、そう声かけると、あの女にぐいっと肩を掴まれて押された。
顔面から倒れ込まないように、思わず両手が出たのだろう。
淀んだ中に突き入れて倒れ込んでいた。
直ぐに近づいて助け起こしたかったけれど、動けない。
どういう事だ!?
すると、あの女がカルの背中に両手で押し付けるように触れた。
カルを魔法の杖のように媒介にして浄化の力を流し込んだんだ。
一気に流れこまされたのか、カルの身体がぐわっと反応した。
そして、カルが触れている場所から光輝きだし、一挙に淀みが消えた。
「成功です。さすがだ。」
「聖女様。素晴らしい!!」
周囲からの歓喜が信じられない。
あの女は、カルを道具のように使ったんだぞ。
いくら浄化が上手くできたとはいえ、あり得ない行為だ。
カルを押しのけるようにして立ち上がり、クルッと他の者達方を見てから、ルディに飛びついた。
その後は、ルディとこちらに歩いて来た。
意気揚々とした感じだ。
拘束が解けてか、急ぎカルの元にかける。
カルはその場に倒れ込むようにぐったりし、急ぎ支えた。
「大丈夫か?」
「あぁ、まるで魔法の杖のように媒介にされた…」
それだけ言って、視線が合わなくなり、意識が途絶えた。
急ぎ抱き上げる。
他の者には任せられない。
急足で城に戻る事に…
そう思うと、上空から竜体が見え、それは人の姿に変わっていった。
そう、ジャディール先生が駆けつけたのだ。
周りは動揺していたが、直ぐにことの成り行きを説明し、先生と共にカルを連れて城に戻ったんだった。
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