竜の国のご都合主義?

文字の大きさ
上 下
135 / 269
聖女と巡礼

聖女巡礼メンバーにされてしまったみたいです。

しおりを挟む
心の中が吹雪が吹き荒れるように寒い。
どうしたら良い。僕は…

「カル…」

温かく包み込んでくれる。そして、低く落ち着いた優しい声が僕の耳元でつぶやかれた。

「そんなに強く握りしめてはダメだ。傷がつく。」

背後から抱きしめられたまま、そっと握りしめていた手をゆっくりと開かれた。

「どうした?大丈夫か?」

そう心配そうに呟くのは、僕の…

ゆっくりと振り向けば、僕にとっての大切な人がいた。

「ディ…どうして?」

僕はアルストに教わった特殊な結界を張ったはずだ。
僕たち以外、入って来られないと思ったのに、なぜ?

来てくれて嬉しいけれど、でも…

「ふふっ…私が君の側にこれないと思った?いかなる場合でも、側にいるよ。僕達は竜人族特有の特殊な絆が出来ているし、他にもね。」

クルッと体の向きを変えられて抱き込まれる。そっと撫でられる背中もゾクゾクするが、耳につけられたピアスを甘噛みされるとなおさら…


「えっと…」
「私達は、一旦退散しますね。」
「では、マスターをよろしく。」
「私の甥っ子に無理させないでよ!」
「……」

それぞれ小声で呟いて気配が消えた。
多分、それぞれが散らばって行ったのであろう。
いつも影に潜むディアブロも、今は別の場所に行ったようだ。

「さて、どうした?」

そう言うと、額と額をくっつけられた。
瞳を閉じて何かを…

僕の考えた事や見た事、聞いた事を探っている…
思わず突っぱねて拒否しようとしたが、体格差と力の差がものを言うのか、びくともしない。

「ディ…」
「しっ、黙って…」

ものの数分だろうが、僕にとっては長時間に感じる。
思わず瞳が熱く濡れてきた。

「なるほどね…」

そう言うと、額を離し、唇が流れ落ちる涙を拭う。

「夫である私に隠し事はダメだよ。もっと頼って欲しい。」
「ディ…」
「大丈夫だ。私も…そう、俺も浄化巡礼にはついて行く。聖女の護衛ではなく、巡礼メンバーに抜擢されてしまった妻を心配した夫としてだ。竜人族であり、アステード王国、王弟である俺の妻であるからな。しかも、武術に秀でていないヒト族とならば、特にと言い切ってきたから、大丈夫だ。そうそう、『魅了』だったか?竜人族の番に関しては、あれは効きにくいとされている。特に、運命の番で儀式を取り交わした者同士に関しては。だから、俺には効かん。効いたふりはしても良いがな?」

「それはダメです。絶対に嫌…」

いきなり唇を奪われ、言葉を最後まで言わせてもらえない。
全てを貪り尽くさんと、わずかに開いたところから、ディの肉厚な舌が入り込み蹂躙して行く。

口角からわずかに流れ出る。

「あうう…ん~~」

何度も角度を変えて貪られ、力が抜ける。
カクンと落ちそうになる身体をしっかりと受け止められ、抱き上げられた。
唇は離されず、息が切れそうになる。

抱き上げられたまま運ばれ、そっと柔らかい場所に降ろされた。
黒い僕の髪が広がるのを横目にし…

ベットに運ばれたんだ…


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

イケメン王子四兄弟に捕まって、女にされました。

天災
BL
 イケメン王子四兄弟に捕まりました。  僕は、女にされました。

【完結】もっと、孕ませて

ナツキ
BL
3Pのえちえち話です。

職業寵妃の薬膳茶

なか
BL
大国のむちゃぶりは小国には断れない。 俺は帝国に求められ、人質として輿入れすることになる。

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします。……やっぱり狙われちゃう感じ?

み馬
BL
※ 完結しました。お読みくださった方々、誠にありがとうございました! 志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、とある加護を受けた8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 独自設定、造語、下ネタあり。出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。 ★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

成長を見守っていた王子様が結婚するので大人になったなとしみじみしていたら結婚相手が自分だった

みたこ
BL
年の離れた友人として接していた王子様となぜか結婚することになったおじさんの話です。

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。 そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。 2023/04/06 後日談追加

転生皇子の新生活

𝐍 𝐢 𝐚🐾
BL
日本に住む青年九条 翠 (くじょう すい)はナサニエル帝国第3皇子 ルーカスとして、第2の生を受ける。 前世は家族とも疎遠で、あまり良い思い出もない。そんな翠がルーカスとして生き、様々な人に愛され恋をして新しい人生を歩んでいく話。  恋愛はルーカスが学園に入ってから主に進めていこうと思います。 初めて書いたので語彙も少なく、拙いですが、暖かい目で見ていただけると嬉しいです。誤字脱字があれば教えて頂けると嬉しいです!定期的に投稿出来るように頑張ります。 ※強姦表現や虐待表現があります。 ⚠️注意⚠️ この世界の赤子が話し出すのは1歳程ですごく早く、現実とは異なります。 人物紹介の瞳の色の後ろにある( )は、宝石✨️の名前で️す。良ければ調べてみてください!色のイメージがつきやすくなるかも?しれないです!

謎の死を遂げる予定の我儘悪役令息ですが、義兄が離してくれません

柴傘
BL
ミーシャ・ルリアン、4歳。 父が連れてきた僕の義兄になる人を見た瞬間、突然前世の記憶を思い出した。 あれ、僕ってばBL小説の悪役令息じゃない? 前世での愛読書だったBL小説の悪役令息であるミーシャは、義兄である主人公を出会った頃から蛇蝎のように嫌いイジメを繰り返し最終的には謎の死を遂げる。 そんなの絶対に嫌だ!そう思ったけれど、なぜか僕は理性が非常によわよわで直ぐにキレてしまう困った体質だった。 「おまえもクビ!おまえもだ!あしたから顔をみせるなー!」 今日も今日とて理不尽な理由で使用人を解雇しまくり。けれどそんな僕を見ても、主人公はずっとニコニコしている。 「おはようミーシャ、今日も元気だね」 あまつさえ僕を抱き上げ頬擦りして、可愛い可愛いと連呼する。あれれ?お兄様、全然キャラ違くない? 義弟が色々な意味で可愛くて仕方ない溺愛執着攻め×怒りの沸点ド底辺理性よわよわショタ受け 9/2以降不定期更新

処理中です...