竜の国のご都合主義?

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聖女と巡礼

聖女巡礼メンバーにされてしまったみたいです。

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「スレイン。どうした?」

スレインの客室に入り、そう尋ねてみた。

「ちょっと待って。」

そう言うと、侍女達がいない事を確認してドアに鍵をかけた。
ガチャリとかけられて、どうしたのかと思う。
さらに、器用に多重の結界を張りめぐたせた。

「この部屋だけかけましたから、誰にも聞こえませんし、見えません。でだ…」

『とりあえず、そこに座って』と言うと、器用に飲み物を準備してくれた。

よく冷えたお茶。いわゆるハーブティーの冷たい物だ。

「さっきの聖女だけど、どうも…」
「ん?何かあったか?」

先程の聖女の姿や話し方などの行動を思い出す。
別に…うん、女子高生って感じがしたけれど、まぁ、アカリやサヤカとは感じが違ったな。言えないけど…

「カルには感じなかった?若しくは影響されなかったかも知れないが…あれは『魅了』だと思う。」
「『魅了』って、あの禁忌とされるあの『魅了』?」
「あぁ、そうだ。他の者達にもかけられたと思う。僕には少し影響された感じだった。すぐに対応したけど…何と言うか、『庇護欲』みたいな強い気持ちがした。聖女として接していかないといけないけれど…注意は必要だ。何か問題が起こるかも知れない。」


『魅了』の力が悪い訳ではないけれど、場合によっては危険が有るからと、自国はもちろん、他国でも禁止されている。
知られたら、それなりの措置をされるものだ。

「既に何人もかけられているし、それによっての影響もあるだろう。」
「そうだな。うん、気をつけるよ。」
「ほら、彼の方、ジャディール先生?殿下?にもお伝えしておいた方が良いかも知れないよ。」
「うん、わかった。じゃ、部屋に戻ったらすぐに伝えておく。」

「あと…この城内。今、多くの来賓客が来てるせいかも知れないけれど、カルをずっと見ている不審な人物がいたから注意して。顔は見えなかった。フードを被っていたから、魔術師やそう言う関連の者かも知れない。」

もしかして、あの例の…

思わず背筋が冷える。
常に僕を狙っているあの男関連かも知れない。

巡礼メンバーに選出されなければ、今頃国に戻って、守られているはずなんだけど、実際は…

あらゆる危険性を考える。
あの男関連。魔獣を討伐しながら、浄化の為に目的地に同行しないといけないんだから…

自分はヒト族である。竜人族の人達のような武術に秀でている訳でもないし、魔人族の人達ほど魔法に特化してもいないから…


「まぁ、お互い気をつけて行動しよう。」
「そうだね…」

そう言うと、結界を解き、何気ない会話をしてその部屋を出た。
でも、『魅了』か…
皆んなに相談するか…

僕にはとっておきの味方がいるんだから。

そう強く思い、自室に戻った。
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