竜の国のご都合主義?

文字の大きさ
上 下
127 / 269
聖女と巡礼

聖女巡礼メンバーにされてしまったみたいです。

しおりを挟む
個々の部屋に案内されて、仕方なく休むことにした。
どう足掻いても手の甲に刻まれてしまっては拒否はできない様だった。

「皆んなどうしてるだろう…」

無理やり放されてしまった友人達。
多分大使館に戻り説明を受けただろうが…

それにディの事も心配だ。
番がこんな事で引き離されるなんて…

俯き悩んでいたら、ディから伝達魔法陣が届いた。

「カル。大丈夫か?巡礼メンバーに選ばれてしまって一緒に国に戻れない事は残念だ。だが心配はいらない。私も一緒に行動できる様交渉中だ。どんな理由であれ、番を引き離す事は出来ない。だから必ず側に行く。安心して今は休みなさい。愛しているよ」

「交渉中?どう言う事??」

思わず問いただしても、これはあくまでも一方通行のものだから、それに対しての返答があるはずがない。

「マスター、戻りました。」
アカリがなんとも言えない顔で戻ってきた。

「マスターが巡礼メンバーに選ばれるとは…まぁ、実力から言えばあり得る事でしたが…そのおかげで取り敢えずはこの地に留まり続ける事は回避できそうですよ。良かったのやら悪かったのやら…」
「どう言う事??」

留まり続ける可能性があったって事?

「失礼しますマスター。」

アルストとガラが姿を現した。

「アカリ殿が皇王及び大司教などに通達してくれていたようですが、一部の司教や司祭クラスからマスターをこの国に留めおいて、聖職者として引き込もうとしていたみたいですね。聖職者でも婚姻は可能ですからと…」
「マスターにはすでに婚姻相手が居られるのですが、諦めきれない様です。これもヒト族ならではですか…馬鹿げた考えでありますね。」

「そんな事まだ考えてる人たちがいるの?だってもう僕は…デ…ディの…だし…」

「ふふふっ、初々しいですね。ほんとマスターは可愛らしい。」

みんなの目がなんとも言えない。
恥ずかしい…


「まぁ、それは今は回避できたようで、ジャディール殿下自身が自分との番であることと、婚姻証明書なども提示して巡礼メンバーで同行するのであれば、自分も行く権利があると主張されている様子です。これは多分と言うか、絶対に通ります。通さないと言ったら私がお仕置きしておきますね。」

ふんすと鼻息荒くしているアカリ。
初代聖女かなりのお怒りのようです。
そこは、うん、頑張ってもらおう…


「ただいま~。」

今度はサヤカが戻ってきた。
「マスター、巡礼メンバーに選ばれたんだって?ならしばらくはアイツが行動する事はできないでしょう。まぁ、こっちも手は打ってきたけどね。巡礼の同行者としてとっておきが着いて行くことになったから。」
「とっておき?誰??」


「ふふふっ、会ってのお楽しみよ。本当は付いて来たがってたんんだけどね…ほら、私の旦那様が。でも、私の身体を守ってるから…今後かな?」

「良くわかんないけど、旦那様って、前回の巡礼のメンバーとか言っていた?」
「そう。まぁ今後も手助けは十分してくれるからそこの所は安心して。」

何を安心したらいいんだろうか…

思わず頭を抱えて悶絶してしまう僕がおかしいのか??

「マスター!マスター?大丈夫ですか?」

今戻ってきたシェリルが、不思議そうにしている。

「シェリル、お帰り。そっちはどうだった?」
「あぁ、例の扉の場所に行ってきたが、今はまだ大丈夫そうだ。だが油断できない状態だった。周りの地域で魔素がかなり増えてきているから、魔獣が凶暴化するだろう。かなり危険な地域もある。そこを抑えてから各地に行くと予想される。」
「そこって?」

ディアブロがテーブルに地図を置き、アルストがシェリルの報告に従って印をつけていった。
ガラも情報に関して参戦して細かく記載していく。

もうここで作戦会議か?
だから僕を選んだの?
ねぇ、神様??

思わずそう心で嘆きながら呟いてみた。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。

桜月夜
BL
 前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。  思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

新しい道を歩み始めた貴方へ

mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。 そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。 その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。 あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。 あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……? ※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。

博愛主義の成れの果て

135
BL
子宮持ちで子供が産める侯爵家嫡男の俺の婚約者は、博愛主義者だ。 俺と同じように子宮持ちの令息にだって優しくしてしまう男。 そんな婚約を白紙にしたところ、元婚約者がおかしくなりはじめた……。

俺は北国の王子の失脚を狙う悪の側近に転生したらしいが、寒いのは苦手なのでトンズラします

椿谷あずる
BL
ここはとある北の国。綺麗な金髪碧眼のイケメン王子様の側近に転生した俺は、どうやら彼を失脚させようと陰謀を張り巡らせていたらしい……。いやいや一切興味がないし!寒いところ嫌いだし!よし、やめよう! こうして俺は逃亡することに決めた。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

すべてを奪われた英雄は、

さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。 隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。 それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。 すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。

公爵家の五男坊はあきらめない

三矢由巳
BL
ローテンエルデ王国のレームブルック公爵の妾腹の五男グスタフは公爵領で領民と交流し、気ままに日々を過ごしていた。 生母と生き別れ、父に放任されて育った彼は誰にも期待なんかしない、将来のことはあきらめていると乳兄弟のエルンストに語っていた。 冬至の祭の夜に暴漢に襲われ二人の運命は急変する。 負傷し意識のないエルンストの枕元でグスタフは叫ぶ。 「俺はおまえなしでは生きていけないんだ」 都では次の王位をめぐる政争が繰り広げられていた。 知らぬ間に巻き込まれていたことを知るグスタフ。 生き延びるため、グスタフはエルンストとともに都へ向かう。 あきらめたら待つのは死のみ。

処理中です...