竜の国のご都合主義?

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聖女がやって来るみたいです

聖女がやって来るみたいです

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ディも衝撃の事実を教えられて驚いている僕は、ただ茫然とディを見つめていた。
彼の瞳の中に映る自分の姿を見つめている。

「竜人族は『番』に対してマーキングを施し、婚姻したらそこに上書きする事は知っているだろう?」

それは知っている。父が母に贈ったモノを見た事があるし、義理の兄が姉に。兄が義理の姉に贈ったのも教えてもらった。家庭教師からも、各種族間でそのような行為をする事も習っていた。
自分がヒト族であるから、尚更知っておく必要があると言う事で…
だから、その質問に対しては素直に頷いた。
実際にも僕に贈られているし…マーキングの方だけど…

「婚姻証明書は国に届ける書類。これにもそれなりの効力があるが、絶対では無い。我が国では基本離縁はない。死別で再婚する事は稀にはあるがな…」

そうだ、貴族間で子孫は必要なものだ。王族も然り。
結婚で寿命が相手と同じになったとしても、事故や病気で死別しない事はないんだ。

「婚姻証明書が必ずしも効力が有るとは言い切れない理由。それは何か知っているか?」

「それは…知らない…」

「王族や貴族間では、初婚の場合は初めての相手とされている。それは基本だ。相手が初婚でない場合。そう、初めて出ない場合は、その相手の初めての相手が死別した場合とされているんだ。」

「と言う事は…」
「そう、お前がもし他の者に奪われてしまった場合、その相手がお前の初めてを奪った場合は…殺す。お前の夫は私だ。私がお前の初めてをもらう権利がある。だが、今の状態でお前が他国に行き奪われたら…奪った相手が死なない限り婚姻は成立しなくなる」

ディの表情が怖い。
僕が他の相手に抱かれている事を想像しているんだろうか…
そんな事はあり得ないと言い切りたいけれど…

あの時、その可能性があったんだ…
僕が屋敷から…

「お前は俺のモノだ。俺の愛しい…誰にも渡さない。逃しもしない。」

そっと頬に優しいキスを贈られる。

「だから、今からお前を抱く」

そう言うと、喰らいつくようなキスをいきなり贈られた。


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