竜の国のご都合主義?

文字の大きさ
上 下
116 / 269
聖女がやって来るみたいです

聖女がやって来るみたいです

しおりを挟む


「お前は俺のモノだ。俺のただ一人の大切な愛しい…」

何とも言えない悲しそうな顔を一瞬だけみさたかと思うと、両膝の裏と脇に腕を差し込み抱き上げられた。
苛立つように連れて行かれたのは…

嘘だろ…
部屋の奥に設けられている寝室だ。

この世界のお貴族様の部屋や客室などに設けられているベットは向こうのより大きめだ。
向こうでダブルサイズよりも大きいのがこっちではシングルサイズ扱いだ。
アカデミーに準備されているのもそうだった。
庶民のは知らないけれど…

で、三、四人寝れそうな大きいベッドが向こうにある。
僕はそこに連れ込まれる??

ディと仲良くするのは…嫌じゃ無いとは思うんだけど…でも、まだ早いと思っているし、恥ずかしい。
この前の散々された時だって…

腕の中から逃れようともがいてみるも、さすがは軍人。竜人族だ。びくともしない…

ベットの上に投げ落とされると思ったが、そこは優しく下された。
ギシッと軋む音をさせながらディも上にあがって彼の身体で囲われる。

「あの時書いたあの書類…」

そう言いながら僕の耳元に呟いてくる。
ディの男らしい色気のボイスは今はやめて欲しい…
ぞくぞくしてくる。
さっきのゾクゾクとは別の感じだ。

「あの書類は、一つは婚約届けの書類。もう一つは…」

「聴きたくない!」

両手で自分の耳を塞ぐ。
自分でさっき想像した事を、ディに直接言われるのは…やっぱり辛い。
僕は…ディの事が…

目も閉じて、嫌だと拒否をするが、僕の両手を耳から外さされ、一つにまとめて頭上で拘束された。
そして、彼の手のひらを頬で感じ、頬に流れる涙を唇で受け止められる。

ふっと優しく笑った感じがする。
そっと目を開けると、そこには…

僕を愛おしく見つめてくる瞳が…

「もう一つの書類は結婚証明書だ。もう、書類上はお前は俺の妻。だから俺以外の誰にも渡さない。」

思わず呆けてしまう。
今、『妻』って言った?
書類上はとも言っていたようだけど、僕はもうディの…ディが夫…

「そうだ。お前はもう俺のモノだ。だがまだ完全とは言い難い。それはなぜか知っているか?」
「どっ…どう言う…意味?」

結婚証明書を国の指定保管場所に保管されたら、夫婦って事で無かったんだろうか??
向こうでも、婚姻届が受理されれば婚姻したとみなされる。
この世界でもそうではないのか?
っていうか、あれって婚姻届件証明書だったの??
知らなかった……

思わずの驚きで涙が引っ込んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

侯爵令息セドリックの憂鬱な日

めちゅう
BL
 第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける——— ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。

僕はお別れしたつもりでした

まと
BL
遠距離恋愛中だった恋人との関係が自然消滅した。どこか心にぽっかりと穴が空いたまま毎日を過ごしていた藍(あい)。大晦日の夜、寂しがり屋の親友と二人で年越しを楽しむことになり、ハメを外して酔いつぶれてしまう。目が覚めたら「ここどこ」状態!! 親友と仲良すぎな主人公と、別れたはずの恋人とのお話。 ⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。 大晦日あたりに出そうと思ったお話です。

悪役令嬢と同じ名前だけど、僕は男です。

みあき
BL
名前はティータイムがテーマ。主人公と婚約者の王子がいちゃいちゃする話。 男女共に子どもを産める世界です。容姿についての描写は敢えてしていません。 メインカプが男性同士のためBLジャンルに設定していますが、周辺は異性のカプも多いです。 奇数話が主人公視点、偶数話が婚約者の王子視点です。 pixivでは既に最終回まで投稿しています。

愛されない皇妃~最強の母になります!~

椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』 やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。 夫も子どもも――そして、皇妃の地位。 最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。 けれど、そこからが問題だ。 皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。 そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど…… 皇帝一家を倒した大魔女。 大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!? ※表紙は作成者様からお借りしてます。 ※他サイト様に掲載しております。

ブレスレットが運んできたもの

mahiro
BL
第一王子が15歳を迎える日、お祝いとは別に未来の妃を探すことを目的としたパーティーが開催することが発表された。 そのパーティーには身分関係なく未婚である女性や歳の近い女性全員に招待状が配られたのだという。 血の繋がりはないが訳あって一緒に住むことになった妹ーーーミシェルも例外ではなく招待されていた。 これまた俺ーーーアレットとは血の繋がりのない兄ーーーベルナールは妹大好きなだけあって大いに喜んでいたのだと思う。 俺はといえば会場のウェイターが足りないため人材募集が貼り出されていたので応募してみたらたまたま通った。 そして迎えた当日、グラスを片付けるため会場から出た所、廊下のすみに光輝く何かを発見し………?

俺は北国の王子の失脚を狙う悪の側近に転生したらしいが、寒いのは苦手なのでトンズラします

椿谷あずる
BL
ここはとある北の国。綺麗な金髪碧眼のイケメン王子様の側近に転生した俺は、どうやら彼を失脚させようと陰謀を張り巡らせていたらしい……。いやいや一切興味がないし!寒いところ嫌いだし!よし、やめよう! こうして俺は逃亡することに決めた。

【完結】婚約破棄された僕はギルドのドSリーダー様に溺愛されています

八神紫音
BL
 魔道士はひ弱そうだからいらない。  そういう理由で国の姫から婚約破棄されて追放された僕は、隣国のギルドの町へとたどり着く。  そこでドSなギルドリーダー様に拾われて、  ギルドのみんなに可愛いとちやほやされることに……。

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった

cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。 一途なシオンと、皇帝のお話。 ※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。

処理中です...