竜の国のご都合主義?

文字の大きさ
上 下
103 / 269
聖女がやって来るみたいです

聖女がやって来るみたいです(アカリ)

しおりを挟む
しばしの間の沈黙。
教会からしたら、彼の方は喉から手が出るほどの欲しい人材でしょう。
この世界は向こうの世界と違って男女問わず子を儲ける事ができる。
教会からしたら、神聖視されている姿の者を上に立たし象徴とし、その伴侶を神官職の誰かから選び方子をもうけさせたいのだろう。そうすれば、神殿の価値はさらに上げられる。

多分、皇室もそれを狙い、皇族の誰かと婚姻を結ばせようと考えているのだろう。
一度自分の懐に入れて仕舞えば、囲って懐柔する手段はいくらでもあるのだから…

それを実際に行うかどうかは…考えたくはない。
だから、私がここに出向いてきたのだ。

「アカリの名を継いでいるのなら、私がどんな事を願い国家やその他と契約したかも継承されているはず。それを考慮して最善の策を尽くしなさい」

一瞬ピクっとした目の前のアカリは、私の足元に跪き、裾をそっと両手に取って口づけし、『承りました』と恭しく答えてくれた。

これでここは大丈夫だろう。次は…

「もう行かれるのですか?」

寂しそうに呟くアカリ。

「えぇ、急ぎ次に赴く必要性が有りますからね。そうだ…」

そう言って、彼女に近づきそっと目の当たりのレースに触れる。
彼女の瞳が見えていない事には気がついていた。
多分白く濁っているのだろう…

そっと呟き癒しの力を発動させる。
彼女が白い光の粒子に包まれて、ひらりと目元のレースが解け落ちた。
ぱらりと落ちたレースをそっと拾い見つめているアカリ…

頬に涙が伝流れていた。

「これからもよろしくね。」

そう言って、もう一度ドアの方に向かう。

背後には履き崩れている気配。
「ありがとうございます。ありがとうございます。ありがとう…」

そう言っている声を聞きながら、次の目的地に向かった。
多分、すぐに行動してくれるだろう。
あの場には、彼女の護衛の気配もあった。
彼女を助け、身を護っているのだろう。
その者からの感情も伝わってきた。だから、ここはもうあの者達に任せて大丈夫だと…

神の像からあたたかい光も感じられる。

「よし、次」

そう言って、霊道の扉を開けて、次に向かった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

そばにいてほしい。

15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。 そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。 ──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。 幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け 安心してください、ハピエンです。

イケメン王子四兄弟に捕まって、女にされました。

天災
BL
 イケメン王子四兄弟に捕まりました。  僕は、女にされました。

職業寵妃の薬膳茶

なか
BL
大国のむちゃぶりは小国には断れない。 俺は帝国に求められ、人質として輿入れすることになる。

成長を見守っていた王子様が結婚するので大人になったなとしみじみしていたら結婚相手が自分だった

みたこ
BL
年の離れた友人として接していた王子様となぜか結婚することになったおじさんの話です。

魔法学園の悪役令息ー替え玉を務めさせていただきます

オカメ颯記
BL
田舎の王国出身のランドルフ・コンラートは、小さいころに自分を養子に出した実家に呼び戻される。行方不明になった兄弟の身代わりとなって、魔道学園に通ってほしいというのだ。 魔法なんて全く使えない抗議したものの、丸め込まれたランドルフはデリン大公家の公子ローレンスとして学園に復学することになる。無口でおとなしいという触れ込みの兄弟は、学園では悪役令息としてわがままにふるまっていた。顔も名前も知らない知人たちに囲まれて、因縁をつけられたり、王族を殴り倒したり。同室の相棒には偽物であることをすぐに看破されてしまうし、どうやって学園生活をおくればいいのか。混乱の中で、何の情報もないまま、王子たちの勢力争いに巻き込まれていく。

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします。……やっぱり狙われちゃう感じ?

み馬
BL
※ 完結しました。お読みくださった方々、誠にありがとうございました! 志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、とある加護を受けた8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 独自設定、造語、下ネタあり。出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。 ★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

【完】僕の弟と僕の護衛騎士は、赤い糸で繋がっている

たまとら
BL
赤い糸が見えるキリルは、自分には糸が無いのでやさぐれ気味です

【完結】足手まといの俺が「史上最強パーティを離脱したい」と言い出したら、なぜか国の至宝と呼ばれる剣聖とその親友の大魔道士に囲い込まれる話

.mizutama.
BL
※完結しました!ありがとうございます! 「もう潮時だろう? いい加減に目を覚ませ! お前はあの二人に遊ばれているだけなんだ!」  勇敢な冒険者を目指すティト・アスティは、魔法学園の下男として働きながら、いつか難攻不落と言われる国内最大のダンジョン攻略の旅に出ることを夢見ていた。  そんなある日、魔法学園の最上級生で国の至宝とよばれる最強の魔剣士・ファビオが、その親友の魔導士・オルランドとともに、ダンジョン攻略のための旅に出るための仲間の選定を行うことになった。  皆が固唾を飲んで見守る中、どんなめぐりあわせかそこにたまたま居合わせただけのティトが、ファビオにパーティのメンバーとして指名されてしまった。    半ば強引にパーティに引き入れられ冒険の旅へ出る羽目になったティトだったが、行く先々での嘲笑や嫉妬、嫌がらせ、そして己の力のなさに絶望し、ついにはファビオとオルランドにパーティ離脱を申し出る。  ――だが、ファビオとオルランドの反応は、ティトの予想だにしなかったものだった……。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ タイトルそのまま。ありがちな設定と展開。タイプの違う美形攻め二人×鈍感庶民受け 溺愛系を目指しています! ※注1 一対一嗜好の方には激しくオススメできない内容です!! ※注2 作者は基本的に総受け・総愛されを好む人間です。固定カプにこだわりがある方には不向きです。 作者の歪んだ嗜好そのままに書かれる物語です。ご理解の上、閲覧ください。 複数攻め・総受けが好きな人のために書きました! 同じ嗜好の人を求めています!!

処理中です...