竜の国のご都合主義?

文字の大きさ
上 下
99 / 269
聖女がやって来るみたいです

聖女がやって来るみたいです(サヤカ)

しおりを挟む
霊道を出て、教会の中を移動する。
多分、あそこに居るだろう目的の人に会いに…

自分にとって、運命の人。ずっと側にいると約束した人。
神からいきなりのメッセージを受け取って、離れた…
あの人はきっと…

ゆっくりと進み、奥の重厚な扉に閉ざされたドアをゆっくりと開ける。
不思議なもので、生きた肉体と同じように触れて感じれる。
他の者達とは少し異なるが…

ギィーツと軋む金属音。そして、目的の人はそこにいた。

氷のような棺を抱き込むようにしている男性。
思わずフッと笑みが漏れた。

「お久しぶり。元気にしてた?」

ゆっくりとこちらに振り向いた男性が、驚きと喜びを顔に表していて。
いつもはそんな器用な表情を見せないのにね…

「やっと帰ってきた?」

そう言うと、いきなり抱きしめられた。
ぎゅーっと抱きしめてきた男性。
出会った時は、黒いローブをいつも身につけていた。
いつもても綺麗な顔だ。この世界の人は、どうしてこんなに綺麗なのだろうか…
この人も、魔人族であるからか、ある一定の年齢から成長が止まっている。
寿命となるこの世をさる前に、急に老いだすんだったか…
出会った時と変わらない。でも、多少は疲れてるようだ…

「ごめん。まだ帰れない。でも、少しだけ戻ってきた。お願いがあってね」

抱きしめていた力が少し抜けて、残念そうにしている。
そっと抜け出し、棺の前に移動する。
毎日丁寧にされているのだろう。
棺の周りには、季節の花が飾られていた。私の好きな花だ。
横たわっているのは…そう、私だ。
私の抜け出た肉体。まるで眠っているようだ。
魂はここにいるんだけどね…

「いつもありがとう。守ってくれてて」
「君が戻って来てくれると約束したから…」

そう言って、悲しそうにまた私を抱きしめた。
そう、この男はこの国の前皇帝。
出会った当時は、この国、『魔人の国』ディール帝国の魔術師・魔導士であったエドワード・ディール。
彼は、『魔人の国』ディール帝国第三皇子。人見知りで、陰気な感じだが、かなり優しく心配性で、私と共に旅をした浄化巡礼のメンバーの一員で一番強い人だった。
いろいろな事があり、皇帝に即位したんだ。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

Promised Happiness

春夏
BL
【完結しました】 没入型ゲームの世界で知り合った理久(ティエラ)と海未(マール)。2人の想いの行方は…。 Rは13章から。※つけます。 このところ短期完結の話でしたが、この話はわりと長めになりました。

Switch!〜僕とイケメンな地獄の裁判官様の溺愛異世界冒険記〜

天咲 琴葉
BL
幼い頃から精霊や神々の姿が見えていた悠理。 彼は美しい神社で、家族や仲間達に愛され、幸せに暮らしていた。 しかし、ある日、『燃える様な真紅の瞳』をした男と出逢ったことで、彼の運命は大きく変化していく。 幾重にも襲い掛かる運命の荒波の果て、悠理は一度解けてしまった絆を結び直せるのか――。 運命に翻弄されても尚、出逢い続ける――宿命と絆の和風ファンタジー。

すべてを奪われた英雄は、

さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。 隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。 それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。 すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。

側妻になった男の僕。

selen
BL
国王と平民による禁断の主従らぶ。。を書くつもりです(⌒▽⌒)よかったらみてね☆☆

悪役令嬢と同じ名前だけど、僕は男です。

みあき
BL
名前はティータイムがテーマ。主人公と婚約者の王子がいちゃいちゃする話。 男女共に子どもを産める世界です。容姿についての描写は敢えてしていません。 メインカプが男性同士のためBLジャンルに設定していますが、周辺は異性のカプも多いです。 奇数話が主人公視点、偶数話が婚約者の王子視点です。 pixivでは既に最終回まで投稿しています。

さよならの合図は、

15
BL
君の声。

見ぃつけた。

茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは… 他サイトにも公開しています

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

処理中です...