97 / 269
聖女がやって来るみたいです
聖女がやって来るみたいです(レイナルド)
しおりを挟む
「いゃ、やはりお前にも行てもらうべきだろう」
「兄上!?」
弟の魔力が膨大に膨れ上がる。
怒りで魔力が抑えれなくなっているようだ。
室温が少し下がり、部屋の隅は少し凍ったような…書記官数名は非難したな。
「息子、皇太子に随行してもらう。そうすれば、あの国の者達の動きがわかり、抑え込みやすいだろう。多分、あの男も現れる」
「奴が…」
確か、あの男の『聖女の力』『異世界の力』『異世界人』を求める熱意は尋常じゃない。
それで問題を起こしたのだから。現在進行形で…
今狙われているのは、弟の相手。
前回の聖女と共に現れた異世界女性の末の息子だ。
「魔塔の者達も、魔力提供で駆り出されるだろう。それに紛れて現れる可能性が高い。」
「だが、私が彼から離れている間に、もしもの事があれば…」
確か、一度攫い損ねたのか…弟の力で防御したは良いが、探しに…
そう、神の石碑の近くで発見したのだったか…
「なら、その者も連れていくが良い。確かアカデミーで好成績保持者であっただろ?留学という形で」
「そんな事をすれば、向こうに取り込まれる可能性が出てくるではないか!」
「神聖国の神殿内にか?それほどの力を?」
「私の番は、前聖女の甥。聖女の妹の息子。しかも人族であり、黒髪の黒い瞳保持者だ。神殿内の者達に囲われたらどうしてくれる」
まぁ、欲しがるだろうな…
人族であるなら神職につけるし…同姓でも子ができるのであるから、そちらの可能性も…
「だが…」
「兄上の言いたい事も理解している。考えさせてくれ…」
事が事だけに、私情で物事を進めるわけにも行かない。
「明日の会議で決まる。多分お前の事はでるぞ。他の者達もそれなりの情報を得て意見してくるからな」
それだけ言い、席を外させた。
弟も息子も私にとっては大切だ。
その伴侶となる者達も。だが、国民の事も国として考える必要がある。
きれるカードはしっかりと出していかねば、国家間の争いの元になる。しかも、それが引き金で世界が混沌に陥っても意味がない。例の扉以前の問題になりかねない。
「はぁ…………」
大きなため息をついて、もう一つの問題の手紙に目を通す。
神聖国から送られてきた手紙。
弟には伝えていないが、弟の愛しい者は『ロザリアン神聖国に在るべきであるから、我が国に返還を要求する』と記載されていた。
弟が懸念していた事が現実味を帯びる内容。
返還要求されている者は、聖女と一緒に渡ってきた女性の末の子供であり、神聖視される黒髪で黒い瞳の者。
女性であれば、確実に連れていかれる可能性が高い。王族に囲われる方でだ。だがあの者は男子。だから半強制的な対応で迫ってくるのだろう。王族もしくは神殿内に囲うつもりでだ。
一度向こうに行かせて、すぐに連れ帰れば取り敢えずは我が国としての対面も保たれかもしれないが…
書いてきたのは…あの国の皇太子だ。
竜人族の番に関しての知識を持っているはずなのに、どうしたもんだか…
「あり得ませんね」
「そうだな…」
頭が痛い…
「兄上!?」
弟の魔力が膨大に膨れ上がる。
怒りで魔力が抑えれなくなっているようだ。
室温が少し下がり、部屋の隅は少し凍ったような…書記官数名は非難したな。
「息子、皇太子に随行してもらう。そうすれば、あの国の者達の動きがわかり、抑え込みやすいだろう。多分、あの男も現れる」
「奴が…」
確か、あの男の『聖女の力』『異世界の力』『異世界人』を求める熱意は尋常じゃない。
それで問題を起こしたのだから。現在進行形で…
今狙われているのは、弟の相手。
前回の聖女と共に現れた異世界女性の末の息子だ。
「魔塔の者達も、魔力提供で駆り出されるだろう。それに紛れて現れる可能性が高い。」
「だが、私が彼から離れている間に、もしもの事があれば…」
確か、一度攫い損ねたのか…弟の力で防御したは良いが、探しに…
そう、神の石碑の近くで発見したのだったか…
「なら、その者も連れていくが良い。確かアカデミーで好成績保持者であっただろ?留学という形で」
「そんな事をすれば、向こうに取り込まれる可能性が出てくるではないか!」
「神聖国の神殿内にか?それほどの力を?」
「私の番は、前聖女の甥。聖女の妹の息子。しかも人族であり、黒髪の黒い瞳保持者だ。神殿内の者達に囲われたらどうしてくれる」
まぁ、欲しがるだろうな…
人族であるなら神職につけるし…同姓でも子ができるのであるから、そちらの可能性も…
「だが…」
「兄上の言いたい事も理解している。考えさせてくれ…」
事が事だけに、私情で物事を進めるわけにも行かない。
「明日の会議で決まる。多分お前の事はでるぞ。他の者達もそれなりの情報を得て意見してくるからな」
それだけ言い、席を外させた。
弟も息子も私にとっては大切だ。
その伴侶となる者達も。だが、国民の事も国として考える必要がある。
きれるカードはしっかりと出していかねば、国家間の争いの元になる。しかも、それが引き金で世界が混沌に陥っても意味がない。例の扉以前の問題になりかねない。
「はぁ…………」
大きなため息をついて、もう一つの問題の手紙に目を通す。
神聖国から送られてきた手紙。
弟には伝えていないが、弟の愛しい者は『ロザリアン神聖国に在るべきであるから、我が国に返還を要求する』と記載されていた。
弟が懸念していた事が現実味を帯びる内容。
返還要求されている者は、聖女と一緒に渡ってきた女性の末の子供であり、神聖視される黒髪で黒い瞳の者。
女性であれば、確実に連れていかれる可能性が高い。王族に囲われる方でだ。だがあの者は男子。だから半強制的な対応で迫ってくるのだろう。王族もしくは神殿内に囲うつもりでだ。
一度向こうに行かせて、すぐに連れ帰れば取り敢えずは我が国としての対面も保たれかもしれないが…
書いてきたのは…あの国の皇太子だ。
竜人族の番に関しての知識を持っているはずなのに、どうしたもんだか…
「あり得ませんね」
「そうだな…」
頭が痛い…
1
お気に入りに追加
136
あなたにおすすめの小説
そばにいてほしい。
15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。
そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。
──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。
幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け
安心してください、ハピエンです。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします。……やっぱり狙われちゃう感じ?
み馬
BL
※ 完結しました。お読みくださった方々、誠にありがとうございました!
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、とある加護を受けた8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 独自設定、造語、下ネタあり。出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。
★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
身代わりになって推しの思い出の中で永遠になりたいんです!
冨士原のもち
BL
桜舞う王立学院の入学式、ヤマトはカイユー王子を見てここが前世でやったゲームの世界だと気付く。ヤマトが一番好きなキャラであるカイユー王子は、ゲーム内では非業の死を遂げる。
「そうだ!カイユーを助けて死んだら、忘れられない恩人として永遠になれるんじゃないか?」
前世の死に際のせいで人間不信と恋愛不信を拗らせていたヤマトは、推しの心の中で永遠になるために身代わりになろうと決意した。しかし、カイユー王子はゲームの時の印象と違っていて……
演技チャラ男攻め×美人人間不信受け
※最終的にはハッピーエンドです
※何かしら地雷のある方にはお勧めしません
※ムーンライトノベルズにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる