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聖女がやって来るみたいです
聖女がやって来るみたいです(レイナルド)
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「いゃ、やはりお前にも行てもらうべきだろう」
「兄上!?」
弟の魔力が膨大に膨れ上がる。
怒りで魔力が抑えれなくなっているようだ。
室温が少し下がり、部屋の隅は少し凍ったような…書記官数名は非難したな。
「息子、皇太子に随行してもらう。そうすれば、あの国の者達の動きがわかり、抑え込みやすいだろう。多分、あの男も現れる」
「奴が…」
確か、あの男の『聖女の力』『異世界の力』『異世界人』を求める熱意は尋常じゃない。
それで問題を起こしたのだから。現在進行形で…
今狙われているのは、弟の相手。
前回の聖女と共に現れた異世界女性の末の息子だ。
「魔塔の者達も、魔力提供で駆り出されるだろう。それに紛れて現れる可能性が高い。」
「だが、私が彼から離れている間に、もしもの事があれば…」
確か、一度攫い損ねたのか…弟の力で防御したは良いが、探しに…
そう、神の石碑の近くで発見したのだったか…
「なら、その者も連れていくが良い。確かアカデミーで好成績保持者であっただろ?留学という形で」
「そんな事をすれば、向こうに取り込まれる可能性が出てくるではないか!」
「神聖国の神殿内にか?それほどの力を?」
「私の番は、前聖女の甥。聖女の妹の息子。しかも人族であり、黒髪の黒い瞳保持者だ。神殿内の者達に囲われたらどうしてくれる」
まぁ、欲しがるだろうな…
人族であるなら神職につけるし…同姓でも子ができるのであるから、そちらの可能性も…
「だが…」
「兄上の言いたい事も理解している。考えさせてくれ…」
事が事だけに、私情で物事を進めるわけにも行かない。
「明日の会議で決まる。多分お前の事はでるぞ。他の者達もそれなりの情報を得て意見してくるからな」
それだけ言い、席を外させた。
弟も息子も私にとっては大切だ。
その伴侶となる者達も。だが、国民の事も国として考える必要がある。
きれるカードはしっかりと出していかねば、国家間の争いの元になる。しかも、それが引き金で世界が混沌に陥っても意味がない。例の扉以前の問題になりかねない。
「はぁ…………」
大きなため息をついて、もう一つの問題の手紙に目を通す。
神聖国から送られてきた手紙。
弟には伝えていないが、弟の愛しい者は『ロザリアン神聖国に在るべきであるから、我が国に返還を要求する』と記載されていた。
弟が懸念していた事が現実味を帯びる内容。
返還要求されている者は、聖女と一緒に渡ってきた女性の末の子供であり、神聖視される黒髪で黒い瞳の者。
女性であれば、確実に連れていかれる可能性が高い。王族に囲われる方でだ。だがあの者は男子。だから半強制的な対応で迫ってくるのだろう。王族もしくは神殿内に囲うつもりでだ。
一度向こうに行かせて、すぐに連れ帰れば取り敢えずは我が国としての対面も保たれかもしれないが…
書いてきたのは…あの国の皇太子だ。
竜人族の番に関しての知識を持っているはずなのに、どうしたもんだか…
「あり得ませんね」
「そうだな…」
頭が痛い…
「兄上!?」
弟の魔力が膨大に膨れ上がる。
怒りで魔力が抑えれなくなっているようだ。
室温が少し下がり、部屋の隅は少し凍ったような…書記官数名は非難したな。
「息子、皇太子に随行してもらう。そうすれば、あの国の者達の動きがわかり、抑え込みやすいだろう。多分、あの男も現れる」
「奴が…」
確か、あの男の『聖女の力』『異世界の力』『異世界人』を求める熱意は尋常じゃない。
それで問題を起こしたのだから。現在進行形で…
今狙われているのは、弟の相手。
前回の聖女と共に現れた異世界女性の末の息子だ。
「魔塔の者達も、魔力提供で駆り出されるだろう。それに紛れて現れる可能性が高い。」
「だが、私が彼から離れている間に、もしもの事があれば…」
確か、一度攫い損ねたのか…弟の力で防御したは良いが、探しに…
そう、神の石碑の近くで発見したのだったか…
「なら、その者も連れていくが良い。確かアカデミーで好成績保持者であっただろ?留学という形で」
「そんな事をすれば、向こうに取り込まれる可能性が出てくるではないか!」
「神聖国の神殿内にか?それほどの力を?」
「私の番は、前聖女の甥。聖女の妹の息子。しかも人族であり、黒髪の黒い瞳保持者だ。神殿内の者達に囲われたらどうしてくれる」
まぁ、欲しがるだろうな…
人族であるなら神職につけるし…同姓でも子ができるのであるから、そちらの可能性も…
「だが…」
「兄上の言いたい事も理解している。考えさせてくれ…」
事が事だけに、私情で物事を進めるわけにも行かない。
「明日の会議で決まる。多分お前の事はでるぞ。他の者達もそれなりの情報を得て意見してくるからな」
それだけ言い、席を外させた。
弟も息子も私にとっては大切だ。
その伴侶となる者達も。だが、国民の事も国として考える必要がある。
きれるカードはしっかりと出していかねば、国家間の争いの元になる。しかも、それが引き金で世界が混沌に陥っても意味がない。例の扉以前の問題になりかねない。
「はぁ…………」
大きなため息をついて、もう一つの問題の手紙に目を通す。
神聖国から送られてきた手紙。
弟には伝えていないが、弟の愛しい者は『ロザリアン神聖国に在るべきであるから、我が国に返還を要求する』と記載されていた。
弟が懸念していた事が現実味を帯びる内容。
返還要求されている者は、聖女と一緒に渡ってきた女性の末の子供であり、神聖視される黒髪で黒い瞳の者。
女性であれば、確実に連れていかれる可能性が高い。王族に囲われる方でだ。だがあの者は男子。だから半強制的な対応で迫ってくるのだろう。王族もしくは神殿内に囲うつもりでだ。
一度向こうに行かせて、すぐに連れ帰れば取り敢えずは我が国としての対面も保たれかもしれないが…
書いてきたのは…あの国の皇太子だ。
竜人族の番に関しての知識を持っているはずなのに、どうしたもんだか…
「あり得ませんね」
「そうだな…」
頭が痛い…
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