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アカデミー
アカデミー生活中です(アルスト)
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マスターが、番であるあの者に連れて行かれた後、しばし我らはマスターの部屋で会合していた。
『戦闘執事』と称したあの男、ディアブロは現在マスターの影の中に潜んでいる。かなり特殊であるが、マスターに害を与える事はないから、敢えて追求はしていない。今、マスターの影に入ったまま、多分歯軋りしながら待機しているだろう。危機的状態にマスターが陥ったら、何も考えず飛び出てお助けするだろうが。
『運命の番』の相手に関しては、いくらこちらが強くても、束になっても敵わない時がる。
今回もそうだ。
まぁ、愛し愛されている時に邪魔するようなバカはいないがな…
「今後は彼の方、マスターの番である現王弟殿下。ジャディール•アステード殿に協力してマスターをお守りし、お護りするのだが、例の奴はどうだったか?」
「あぁ、結構ヤバイものに手を出したようだ。また混乱が起こりそうだ。」
「そうそう、瘴気が極端に増え出して、あの時みたいに魔獣が凶暴化してるんでしょ?結構頑張ったんだけどね…」
「扉が?」
「今回は、上空ではないようだ。チッ…こんな事は初めてだったから見逃した。まさかあんな所に出現するとは思わないだろう!!」
「場所は?」
「前回と同じディール帝国。エステバン王国との国境近くのアルングスト山脈の洞窟の中だ。」
「洞窟の中って、今までなかったよね?だって全て上空って、私の時もそうだったし、過去の記録が記載されたどの本にもそう載っていたのよ!」
「そうよ、私が聖女で活躍していた時に過去の書物とか類似の書物も頑張って全部読んだから間違いない。初めてよ。」
「まだ扉は開かれてない。まだ…」
「超ヤバイ状態…」
自分自身も調べた。確かに異例の事態だ。
奴が関与しているしか考えられない。
「被害が拡大して、今回特例と言ってもいい。『聖女召喚』の儀式を急ぎ執り行うと決定したらしい。今各国に伝達魔法陣を飛ばしているようだ」
ガラの分身体からの情報だろう。
マスターから魔力を分けてもらい、この世に再び活躍の場を頂いて、皆魔力量も技術も全てが上がっているようだ。
マスターがこの世にいる限りの限定ものではあるが…
でも、それでもマスターのために、強いてはこの世界のために再び活躍できる事は嬉しく感じる。
「その儀式はいつ頃だろうか?次の二つの月の日か?」
「その予定のようだ。あの儀式は『二神のお力が、我らに贈られやすい二つの月が満ちた時に』とされているから」
「なるほど」
皆が頷き納得する。
この国からの参加は…多分王太子か、第二王子辺りか?
王太子が行くとしたら…マスターの兄君も随行するだろう。
多分離さないだろうから…
文官として、それ以外としても…
兄君は逃げているようだが、まぁ時間の問題か。
他は…
あの儀式は多くの魔力が必要だ。
魔道具の開発で、莫大な魔力を時間をかけて溜め込む物も出来ているから、それらも使用するだろう。
教会にある神像がそれだ。
参拝者の魔力を、祈りを通して微量ながら搾取している。
それを溜め込んで、国境の結界に使ったり、いざという時。そう、今回の様な緊急時に使える様に保存しているのだ。
それらを使って、各国の者で…
聖女二人は何とも言えない表情をしている。
お二人の気持ちは理解はできる。
この世界に必要だからと、他の世界から『召喚』と言う『拉致』を行うのだ。
本来、犯罪行為とされている事を正当化させて。
召喚し、この世界で無理矢理『浄化作業』をさせて…いくら高待遇でお守りしようが、こられる前の大切な人達、物、全てを向こうの世界に強制的に引き離され、戻る事がないとなると…
ため息しか出ない。
『巡礼メンバー』とされる者達は、召集された者達の中から現れていた。神から『印』を施されて。
今回はどうだろうか…下手したら、地方に『印』の者が出る可能性もあるだろうか?
人数はたいがい五名。それ以下はないが、時々それ以上はあった。
「そのあたりの事や動きも注意していこう」
その後も、色々と話し合っていった。
『戦闘執事』と称したあの男、ディアブロは現在マスターの影の中に潜んでいる。かなり特殊であるが、マスターに害を与える事はないから、敢えて追求はしていない。今、マスターの影に入ったまま、多分歯軋りしながら待機しているだろう。危機的状態にマスターが陥ったら、何も考えず飛び出てお助けするだろうが。
『運命の番』の相手に関しては、いくらこちらが強くても、束になっても敵わない時がる。
今回もそうだ。
まぁ、愛し愛されている時に邪魔するようなバカはいないがな…
「今後は彼の方、マスターの番である現王弟殿下。ジャディール•アステード殿に協力してマスターをお守りし、お護りするのだが、例の奴はどうだったか?」
「あぁ、結構ヤバイものに手を出したようだ。また混乱が起こりそうだ。」
「そうそう、瘴気が極端に増え出して、あの時みたいに魔獣が凶暴化してるんでしょ?結構頑張ったんだけどね…」
「扉が?」
「今回は、上空ではないようだ。チッ…こんな事は初めてだったから見逃した。まさかあんな所に出現するとは思わないだろう!!」
「場所は?」
「前回と同じディール帝国。エステバン王国との国境近くのアルングスト山脈の洞窟の中だ。」
「洞窟の中って、今までなかったよね?だって全て上空って、私の時もそうだったし、過去の記録が記載されたどの本にもそう載っていたのよ!」
「そうよ、私が聖女で活躍していた時に過去の書物とか類似の書物も頑張って全部読んだから間違いない。初めてよ。」
「まだ扉は開かれてない。まだ…」
「超ヤバイ状態…」
自分自身も調べた。確かに異例の事態だ。
奴が関与しているしか考えられない。
「被害が拡大して、今回特例と言ってもいい。『聖女召喚』の儀式を急ぎ執り行うと決定したらしい。今各国に伝達魔法陣を飛ばしているようだ」
ガラの分身体からの情報だろう。
マスターから魔力を分けてもらい、この世に再び活躍の場を頂いて、皆魔力量も技術も全てが上がっているようだ。
マスターがこの世にいる限りの限定ものではあるが…
でも、それでもマスターのために、強いてはこの世界のために再び活躍できる事は嬉しく感じる。
「その儀式はいつ頃だろうか?次の二つの月の日か?」
「その予定のようだ。あの儀式は『二神のお力が、我らに贈られやすい二つの月が満ちた時に』とされているから」
「なるほど」
皆が頷き納得する。
この国からの参加は…多分王太子か、第二王子辺りか?
王太子が行くとしたら…マスターの兄君も随行するだろう。
多分離さないだろうから…
文官として、それ以外としても…
兄君は逃げているようだが、まぁ時間の問題か。
他は…
あの儀式は多くの魔力が必要だ。
魔道具の開発で、莫大な魔力を時間をかけて溜め込む物も出来ているから、それらも使用するだろう。
教会にある神像がそれだ。
参拝者の魔力を、祈りを通して微量ながら搾取している。
それを溜め込んで、国境の結界に使ったり、いざという時。そう、今回の様な緊急時に使える様に保存しているのだ。
それらを使って、各国の者で…
聖女二人は何とも言えない表情をしている。
お二人の気持ちは理解はできる。
この世界に必要だからと、他の世界から『召喚』と言う『拉致』を行うのだ。
本来、犯罪行為とされている事を正当化させて。
召喚し、この世界で無理矢理『浄化作業』をさせて…いくら高待遇でお守りしようが、こられる前の大切な人達、物、全てを向こうの世界に強制的に引き離され、戻る事がないとなると…
ため息しか出ない。
『巡礼メンバー』とされる者達は、召集された者達の中から現れていた。神から『印』を施されて。
今回はどうだろうか…下手したら、地方に『印』の者が出る可能性もあるだろうか?
人数はたいがい五名。それ以下はないが、時々それ以上はあった。
「そのあたりの事や動きも注意していこう」
その後も、色々と話し合っていった。
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