竜の国のご都合主義?

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アカデミー

アカデミー生活中です。(ジャディール)

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仕事を終わらせ、友の屋敷に着いた。
兄からもらった情報と、城で得た情報を共有するためだ。

友であるセイクリオン公爵家執務室では、慌ただしく情報をかき集めていた。
以前から、彼の長男であるルキウスに、ほぼ公爵領の仕事を任せ、友の妻と優雅に暮らしたいとよく言っていた。
そう、彼の年齢からしたら、まだ引退は早いと言われ続けていたが、子供達も優秀で、『もう十分仕事したよねって、彼女と…』なんてふざけた事をよく言っていた。
それだけ、世の中は落ち着いていたんだ。
当時のあの事を知っている自分としては、理解できる。
自分も、兄上の子供達が国政に関与するようになったから、自分は離れていきだしていたんだ。

もう良いだろって…

そして、運命の時が訪れた。

私の愛しい者が、友人の子として生まれてくれた。
ただ、問題もあった。
私の番は、黒髪•黒い瞳のヒト族男子。
『ヒト族』としての特性もだが、魔力が特に多いとされる黒髪•黒い瞳。
しかも、産んだ母親が、当時『聖女召喚の儀式』で聖女と共に異世界を渡った者。
知っている者は少ないが、ヤツは彼女のその事を知っていた。
そして、奴の興味からの執着。


あの混沌の世に堕ちる脅威があった当時、瘴気問題が勃発し、魔獣の凶暴化なども関係して『扉』の脅威があった。
『聖女巡礼』おおかげで、なんとか脅威が去ると、ヤツの執着がさらに酷くなり、別の混乱が起こったんだ。
あの時捕らえ、幽閉したが、魔塔に逃げ込まれた者が、また狙う恐れがある。

その脅威はあったが、愛しい者が生まれた当時は、多少の魔獣被害はあったが、落ち着いた平穏の世の中だった。そして、『運命の番』である者に対しての竜人族の執着は凄まじく、常に自分の側におき、離れがたく、触れておきたいと考えてしまうのが、その子はまだ赤子だ。だから、成人するまで側を離れて見守る事にした。
側にいたら、我慢できなくなる。そう言い切れる自分を自覚したから。

兄である国王も、それに関して理解を示し、領地に引き篭もる事になった。

それが、前回仇となった。
あの子が奴に狙われた。
普通に黒目•黒髪の『ヒト族』ならそこまではなかったかも知れない。
が、それと共に、彼女の子供だから狙われた。
予想はしていたから、注意はし、自分の者達にも警護させていた。

友人も予想はして、注意もしていたのに、結果が前回の拉致未遂事件。
友人の屋敷に奴の仲間が入り込み、本人に劣等感を刻みつけ…

見つけ出した奴の仲間は、トカゲの尻尾切りのように切り捨てられていた。

あの後、友人とその子供達。彼の屋敷の者達、領にいる者達。私と共にさらなる策を練った。
あの子がアカデミーに入学する事は決まっていたから、それも利用した。
私もアカデミーに行こうと。
この際、ちょうど誘われていたのを利用する事にした。

自分が知っていた愛しい子の能力。そして、友人の者達の情報から、尚更奴には渡せないと思った。
その後、あの子自身が友人に話したとも聞いた。

『その能力に驚きがあったのであろう。どう伝えたらいいのか悩んでいた様子も窺い知れた。そんな愛しい私の家族。我が子をこの国や他国に奪われ、能力を搾取させる気もない。』と言っていた。私も同感だ。
国家に対しては私が兄上に報告してどうにかする。
自分の全てを賭けてだ。

何とかあの子がアカデミー生活に慣れ出したと思った矢先に起こった事。
あの時に感じた違和感はコレか…


当事者であるあの子から『友人と出かけた先で、怪しい者達に尾行され、その服装や種族からして、大陸北側に位置する魔人の国、ディール帝国の者。拉致未遂事件の者達と同じ可能性が高いとだけ今は報告します』私の元に届いた。
ちょうど執務を終えて、城を出ようとした時だ。
急いでこの屋敷に赴き、この状態。
友人から、あの子から報告がきたと聞き、内容が同じであった事で更なる不安に襲われた。
そして、この中に加わったんだ。


「父上!」

部屋に入って来たこの屋敷の次男、リカルトは肩で息をしていた。
城勤めの『ヒト族』であるから、かなり急いで疲れが出ているのだろう。
彼には何度か会った事がある。
甥っ子である兄の子の側近として勤めていたはずだ。
色んな場面も観ているが…
それは、今はいいだろう…

元城で勤務していた確か長女か?リリアナだったはず。彼女は夫が止めるのを拒否して飛び出し、夫婦でここに来たようだ。
次男と三男の双子、ルシウスとシリウスもいるな。長男のルキウスは向こうの領内の館から通信機を使用して会話中か。
家族に愛されている愛しい者に対して、それぞれが必死なのだろう。
勿論、私もだ。
さっきまでいた例の彼女。友の妻は体調が思わしくなく、執事命じて部屋に下がらせたようだ。
あの時の恐怖を思い出したのかも知れない。

ここでの情報は十分得た。
あの子が心配だ。
友人に声をかけて、この屋敷を飛び出した。

この後に来た珍客に関しては、気を利かせた執事が録画してくれた物を見せてもらい驚くことのなった。



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