77 / 269
アカデミー
アカデミー生活中です。(ジャディール)
しおりを挟む
前日から兄である国王からの呼び出しで、城に訪れていた。
例のあの者の情報と、それ以外。
自分の子飼いの者達にも調べさせているし、見張らせている。
僅かな怪しい動きも見過ごすことのないように。
友人であり、あの子の父親や家族も勿論同じようにしている。
それでも、国としての事もある。
何と言っても、あの集団の中に隠れ込んでいる奴ら。特に中心人物である奴は前回で後一歩のところで逃げられた。
その理由の一つが、そう、奴があのロザリアン神聖国の王族に繋がる者であった事。
あの国の王位継承権を持つ条件の一つとして、『ヒト族』である事とされていた為、奴は王族ではあるが継承権は持っていなかった。母親が側室で、ディール帝国から嫁いで来た魔人族であったため、『ヒト族』ではなく、『魔人族』として生まれたのだ。
当時の事を知る者はあの国にはいない。
あの時皇太子であった者は、皇王となり、天寿を全うした。
今は彼の子供が即位している。
奴の母親は、あの国独自の決まりで皇王が亡くなる時に、一緒に息を引き取っていた。
ヤツは当時会った時から親類を頼りディール帝国に移住。魔塔の住人となり、当時から魔力や実力で頭角を表せていた。それだけで大人しくしていれば良かったが、奴の興味は『聖女の力』と『異世界人の生態と能力』だった。その執着が問題となり…大変だった。
捉えて幽閉となったはずだが逃れ、また魔塔に潜伏。今回に至る…
研究熱心な事は悪くない。が、その内容が非人道的なのだ。
普通の感覚ではあり得ない。
しかも、その執着。
今回の対象が愛しい者である。
許せるはずがない。
今度こそ奴を捕らえるだけでなく、葬り去る必要性がある。
でなければ、何度でも繰り返される…
兄からの話が終わり、帰ろうとしたら、また仕事を押し付けられた。
待ち構えていた者達に、次々と書類を持ってこられ、今に至っていた。
今日はアカデミーは半日。
愛しい者を誘い出かけたかったが…
『友人と出かけて来ます』と伝達魔法が飛ばされて来たから、今何をしてるのか想像できる。
自分が共に行きたかっただけだ。
「これも早く渡しておくべきか…」
自分と同じ色の特別な石。
自分の魔力を込めた物を渡しておきたくて、探していた。
つい最近見つけて、しっかりと魔力を流し、多種多重の魔法陣を刻みつけた。
普通に見る分にはそのような物が刻まれているとは判らないようにまでしてだ。
やっと納得のできる物ができて…
「ん??」
気になる物を感じ取る。
愛しいあの者に密かに付けた物が反応する。
が…
「大丈夫なようだ。」
ホッとため息をついた。
気になる気配を、離れた場所で感じ取れるのは、『番』である者に関してのみ。
あの者に直接付けているものが反応したから。
あの時のように、遠方操作まではしなくても大丈夫と判断して、つけている者達に任せることにした。
今直ぐ行きたいが…
無理そうだ…
「これらが終われば、出ていくからな!!」
机に盛られた書類の山を指差す。
これ以上はしないと敢えて言っておく。
そうでなけれだ、新たに書類を持ってこられそうだ。
冗談ではない。
私は国政から手を引いたはずなんだが!?
「そうなのですか?まだ…」
残念そうに呟かれるが、そんな事は知らん。
「兄上や、皇太子達に回せておけ。向こうの仕事だろ?私は国政に携わらいと言っておいたはず。今回は兄上にお願いしておいた事の礼として手伝っただけだ。」
「そうですか…」
肩を落としてそんな表情をしても無駄だ。
こっちにの大切な用事があるのだから。
さっさと終わらすか…
ペンを走らせ、書類をさっさと終わらせるように奮闘した。
例のあの者の情報と、それ以外。
自分の子飼いの者達にも調べさせているし、見張らせている。
僅かな怪しい動きも見過ごすことのないように。
友人であり、あの子の父親や家族も勿論同じようにしている。
それでも、国としての事もある。
何と言っても、あの集団の中に隠れ込んでいる奴ら。特に中心人物である奴は前回で後一歩のところで逃げられた。
その理由の一つが、そう、奴があのロザリアン神聖国の王族に繋がる者であった事。
あの国の王位継承権を持つ条件の一つとして、『ヒト族』である事とされていた為、奴は王族ではあるが継承権は持っていなかった。母親が側室で、ディール帝国から嫁いで来た魔人族であったため、『ヒト族』ではなく、『魔人族』として生まれたのだ。
当時の事を知る者はあの国にはいない。
あの時皇太子であった者は、皇王となり、天寿を全うした。
今は彼の子供が即位している。
奴の母親は、あの国独自の決まりで皇王が亡くなる時に、一緒に息を引き取っていた。
ヤツは当時会った時から親類を頼りディール帝国に移住。魔塔の住人となり、当時から魔力や実力で頭角を表せていた。それだけで大人しくしていれば良かったが、奴の興味は『聖女の力』と『異世界人の生態と能力』だった。その執着が問題となり…大変だった。
捉えて幽閉となったはずだが逃れ、また魔塔に潜伏。今回に至る…
研究熱心な事は悪くない。が、その内容が非人道的なのだ。
普通の感覚ではあり得ない。
しかも、その執着。
今回の対象が愛しい者である。
許せるはずがない。
今度こそ奴を捕らえるだけでなく、葬り去る必要性がある。
でなければ、何度でも繰り返される…
兄からの話が終わり、帰ろうとしたら、また仕事を押し付けられた。
待ち構えていた者達に、次々と書類を持ってこられ、今に至っていた。
今日はアカデミーは半日。
愛しい者を誘い出かけたかったが…
『友人と出かけて来ます』と伝達魔法が飛ばされて来たから、今何をしてるのか想像できる。
自分が共に行きたかっただけだ。
「これも早く渡しておくべきか…」
自分と同じ色の特別な石。
自分の魔力を込めた物を渡しておきたくて、探していた。
つい最近見つけて、しっかりと魔力を流し、多種多重の魔法陣を刻みつけた。
普通に見る分にはそのような物が刻まれているとは判らないようにまでしてだ。
やっと納得のできる物ができて…
「ん??」
気になる物を感じ取る。
愛しいあの者に密かに付けた物が反応する。
が…
「大丈夫なようだ。」
ホッとため息をついた。
気になる気配を、離れた場所で感じ取れるのは、『番』である者に関してのみ。
あの者に直接付けているものが反応したから。
あの時のように、遠方操作まではしなくても大丈夫と判断して、つけている者達に任せることにした。
今直ぐ行きたいが…
無理そうだ…
「これらが終われば、出ていくからな!!」
机に盛られた書類の山を指差す。
これ以上はしないと敢えて言っておく。
そうでなけれだ、新たに書類を持ってこられそうだ。
冗談ではない。
私は国政から手を引いたはずなんだが!?
「そうなのですか?まだ…」
残念そうに呟かれるが、そんな事は知らん。
「兄上や、皇太子達に回せておけ。向こうの仕事だろ?私は国政に携わらいと言っておいたはず。今回は兄上にお願いしておいた事の礼として手伝っただけだ。」
「そうですか…」
肩を落としてそんな表情をしても無駄だ。
こっちにの大切な用事があるのだから。
さっさと終わらすか…
ペンを走らせ、書類をさっさと終わらせるように奮闘した。
0
お気に入りに追加
136
あなたにおすすめの小説
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします。……やっぱり狙われちゃう感じ?
み馬
BL
※ 完結しました。お読みくださった方々、誠にありがとうございました!
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、とある加護を受けた8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 独自設定、造語、下ネタあり。出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。
★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。
2023/04/06 後日談追加
謎の死を遂げる予定の我儘悪役令息ですが、義兄が離してくれません
柴傘
BL
ミーシャ・ルリアン、4歳。
父が連れてきた僕の義兄になる人を見た瞬間、突然前世の記憶を思い出した。
あれ、僕ってばBL小説の悪役令息じゃない?
前世での愛読書だったBL小説の悪役令息であるミーシャは、義兄である主人公を出会った頃から蛇蝎のように嫌いイジメを繰り返し最終的には謎の死を遂げる。
そんなの絶対に嫌だ!そう思ったけれど、なぜか僕は理性が非常によわよわで直ぐにキレてしまう困った体質だった。
「おまえもクビ!おまえもだ!あしたから顔をみせるなー!」
今日も今日とて理不尽な理由で使用人を解雇しまくり。けれどそんな僕を見ても、主人公はずっとニコニコしている。
「おはようミーシャ、今日も元気だね」
あまつさえ僕を抱き上げ頬擦りして、可愛い可愛いと連呼する。あれれ?お兄様、全然キャラ違くない?
義弟が色々な意味で可愛くて仕方ない溺愛執着攻め×怒りの沸点ド底辺理性よわよわショタ受け
9/2以降不定期更新
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる