竜の国のご都合主義？

アカデミー

アカデミー生活中です。

「はぁ…………、僕、無事でよかった…」

ディの腕の中で呟いた。
僕の顔を覗き込み、悲しそうな顔をしている。
心配してくれているのはよくわかる。
知り得る全部を僕はディに話してはいない。
家族にもだ。

この世界、前世の概念はある。
過去に現れた聖女達が伝えたらしい。
それまではなかったんだ。

聖女達は、いわゆる『転移者』
こことは違う別の世界。そう、日本の女子高生や、大学生。または一般。
まぁ、当時の設定年齢が十六歳から二十五歳前後にしていたから、多分そのぐらいの年齢の女性達だろう。
日本人設定だから、黒髪の黒い瞳の女性設定。
大学生以上だと、カラーコンタクトやヘヤカラーで色の設定ありかもという意見もあったけど、そこはスポンサーの意見が押し通ったからその設定。
あのゲームと同じなら、間違いないだろう。

ディに伝えたほうがいいだろう。
伝えるなら今かもしれない。
逃せば…とんでも無い事が起こりそうだ。
そして、うまく伝える自信も…

ならば…

大きく深呼吸する。
全てを話せなくても、できるだけ全部、今話そう。
そう心に決めて

「ディ…ジャディール•アステード様。聴いて欲しい事があります」

そう言って、腕の中から離してもらい、詳しく説明しようと思った。
姿勢を正して、本当の事を…
僕の事を正確に伝え知ってもらおうと…
だから、腕の中でもがきながら、敢えてそう声をかけたのに、離してもらえなかった。

「このままで聴こう」

一瞬驚いた表情をしたが、穏やかに笑顔で…でも、目が笑っていない。

「わかりました。実は…」

そして、僕はディの膝の上で腕に抱き締められた状態のまま説明しだした。