竜の国のご都合主義?

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アカデミー

アカデミー生活中です

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「今日、ちょっと出かけようぜ!」

そう言って声をかけられ、すぐにみんなで賛同した。
今日は半日。午前講義だったから、講義終了後にいつものメンバーでだ。

アカデミーの近くの学生街だからと、昼の学食をとらず、みんなで歩いて出かけた。
昼食を外で食べて、ぶらぶらしようって話だ。
目的の物もあるけど、見て歩くだけでも楽しい。
もちろん、マジックバックを各自持っているから、買い物をしてもほぼ手ぶら状態だ。
ウエストポーチかボディバックタイプが多いんだよね。みんなが持ち歩いているの。
よっぽど大きな物を入れる場合はまた変わってくるし、格好でオシャレに変えてくる事もあるけど、アカデミーぐらいならこれで十分だったりする。
空間収納魔法陣が施されていて、金額は色々だ。
本来は高額なんだけど、学生には国からの補助で購入できる。
ほんと、学生に手厚いよ。
貴族達は、補助金を使わない事が多いんだけどね。
自分達で子供のために購入できる財力があるから、必要な者にって感じ。
まぁ、貴族によっても財政が厳しい場合は利用してるみたいだけど。

僕の場合は、兄達が買ってくれた物がある。
入学祝いに買ってくれた物。
ディからは、普段の時に使えそうな物を贈ってもらった。
今はアカデミーの帰りだから、兄達が贈ってくれた物だ。

「ちょうど良いとこ見つけたんだ。」

そう言って連れて来られたのは、店舗とオープンカフェが併設されていた。
紅茶やコーヒーにケーキセットみたいな感じで食べている人達もいれば、サンドイッチのような軽食を食べている人もいた。
ランチセットもあるみたいだ。

「どれにする?」
「これもうまそう」
「これ良いかも」

そんな会話をしながら、メニュー表を確認していく。
どれも美味しそうだし、値段も超手頃価格。
アカデミーの近くだからかも。

貴族でも、学生の時は金銭感覚大事って、アカデミー周辺の学生街では高額な商品はあまり置いていない。
魔法道具は物によっては高額になるんだけど、学生が購入する場合、国からの補助で学生価格で表示されている。
一般価格も記載されているから、本来はどのくらいの価格になるのか差額も確認して市場における流通などの勉強にもなるんだ。

相変わらず、シルビィの隣にはカルバンが座って、シルビィが食べきれないのは食べてあげてるみたいだ。
スレインは優雅に食べてるし、グレイドは肉系が多いね。
僕はサンドイッチセットにしておいた。
ランチセットで、デザートにプリンが付いていたんだ。
生クリームがちょこんとのっていて、さくらんぼ付き。

「この後、どこ行く?」
「文具がみたいな。魔道具も」
「魔法陣でも描くの?」

今の僕は、習ったものや、本に載っていた魔法陣を描くのが楽しくなっていた。
特別性のはまだ描けないけど、簡単な物とかは描いていて楽しかったりする。
模様みたいに見える古代文字の羅列とか、近代の文字列とか。
魔法陣の研究は結構されているみたいで、それも踏まえて大賢者であるアルストにも教わり、指摘もされながら密かに研究もしていた。
綺麗に上手く出来たら嬉しくて、兄や父達に渡したりしているんだ。
ディにも今度渡す約束をしているんだよね。
身内だけに渡したことがバレて、大変だった。

ディには『もっと上手く描けるようになったら渡そうと思っていた』と言う事にしている。
まぁ、それは本当の事でもあるんだけど、あそこまで拗ねるとは思わなかった。
うん。大変だったなぁ……

描くのに使う練習用のインクは普通のインク。でも実際に使える魔法陣を描くには特殊インクが必要。
魔力を込めるのに、どうしても普通うのだと上手く馴染まないんだって。
インクの作り方かなぁ?それとも、魔法陣が失敗して暴発を防ぐため?
そうそう、特殊インクで描いても、失敗した場合、魔法陣の用紙は他に引火する事なく燃えるんだ。
ならやっぱり、インク自体にも特殊なモノが施されてるんだ。
うん、すごいね。

きちんとした発動できる魔法陣を描くために、文房具店か魔道具店で購入したいと思っていた。
少し高いけど、学割あるしね。
一回の購入量は決められているけれど、できるだけ多く買いたい。

「僕は本屋。古書も見たいし、薬草の本が欲しいんだ。」
「育てるのか?」
「うん。この前買ったのは上手く育ったんだけど、ちょっと気になることがあってね。知りたいんだ」

シルビィがそう言うと、スレインも欲しい本があると言って、みんなで探しに行く事にした。
本屋は意外と広いからね。みんなで探すと意外と早く見つかったりするし、自分達も興味があるから楽しかったりするんだ。
ここから近いのは文房具と魔道具の店。
その先に本屋がある。

「じゃ、行こうか」

そう言って、みんなで歩き出した。

「ん?」
「どうした?」
「ん~~~何だか誰かに見られてたような~~気のせいか?」

学生や一般の人達が行き交っているから、たまたまそう思ったのかもしれない。
でも、僕の影から…
今何かしたよね。何したの?
でも、それを友人達に知られるわけには行かないし…
少し怪しい動きになりそうだったけれど、僕が怖がっているようにも思ってくれたようだ。
実際、近くにいたシルビィがかなり怖がってるからね。
二人でおどおどしていたら、他の友人がフォローしてくれる。

「特に敵意は感じないが…??」
「そうだね。まぁ、学生街だから、変な人は…まぁ…あんまりいないはずだしね。」
「まぁ、何があるかはわかないしね。この前の変なやついただろ?」

スレインが嫌な顔をしている。
そういえば、女生徒と勘違いされて、付き纏われそうになってぶん殴ったとか言ってたか?
僕が一緒に行かなかった時だけど。

「変な奴がいたら任せろ!」

グレイスがニヤッと笑っている。
カルバンも悪そうな顔だ。
シルビィにちょっかいをかける者がいたらなんて思ってるんだろうな…

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