竜の国のご都合主義?

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アカデミー

アカデミー生活開始です。(レイナルド)

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いつも通りの日常に、時々伝わる弟の情報。
やっと出逢えた可愛い弟の愛しい『番』と接する事が出来ると喜んでいた。
あの子の『番』が幼すぎて、直ぐには側にいてやれない、接する事の制限があることにもどかしく、不便に思っていた。後もう少しで…そんな時に飛び込んできた情報。
我が子達の事も大切であるが、歳の離れた弟の大切な『番』を狙っての犯行。

阻止は出来たようだが、また狙ってくる事はわかっていた。
過去の…そう、あの時も色々と手を…

人としてどうかと思う犯罪行為を平気で行う者達。
しかも、同じ理由で行うのは…どんだけ執着しているんだ!!

まぁ、それらも踏まえ、情報を集めながら、護衛対象もしっかりと指示を出しておいた。
出していたが、その護衛対象自体も問題を起こしているようだ。
もう、親子で問題を起こすって?
本人達は悪くは無いよ。
ただ、狙われるよね。
はぁ…………

それ以外にも、この国、この世界で問題が起こりかけている。
過去の問題とよく似た現象。
少し起こるのが早い気もするが…

報告書を眺めながら、対策を捻り出している時に、弟から連絡が来た。
念話だ。
すぐさま段取りをして、了承を伝える。

「あの子の好きな菓子と、そう、あの茶葉。あとは、夕食と、ついでに仕事も頼んで滞在時間を引き伸ばそう」
「相変わらずだな」

側に控えているレイルが呆れたように口を挟んだ。

「そういうお前だって、あの子の執務室に連絡を入れているじゃないか」
「使える者は使う主義なので」
「そう言いながら、今頼んだのは何だよ。あの子の執務室に茶葉と菓子の指定とかもしてたの聞こえたぞ」

レイルがポケットから数枚の魔法陣を出して指示を飛ばしている。
各部署の責任者に飛ばしてるのはわかっているけどね…
あの子がこの城から辞して、与えられた領地に篭ったのは数十年前。
城の者達は残念がっていたが、理由がわかっているから、しばらくはと我慢していた。

もう、この城を拠点に執務してもいいんじゃないかな?
その方が利便性もいいしさ。
竜体になれば、領地にも直ぐに行けるんだし…
あっと、その逆もされるかも…
まぁ、その件も今後の課題としておこうか…


そろそろ…着いたようだ。
気配を感じながら待ち侘びる。
そして、入ってくる弟に声をかけた。

「来たか。待っていたよ」

そう言って、いつも通りを意識する。
弟は昔と変わりない。
見た目が二十代前後だがな。姿は関係ない。

歳が離れているから、結構可愛がってきた。
というか、可愛いのだ。
自分の後ろについてまわっていた時も、膝に乗せたり、肩車だってしてやっていた。
それ以外にも色々と…

従来、他国の皇族や王族は、継承権とかで周りが揉めたり、兄弟の間でも揉めたりと良く聞く。だが我ら種族、『竜人族』の場合はそういう揉め事がほとんどない。絶対とは言い切れないが、『番』の事もあるし、種族がら子供ができにくいのもある。私の場合は例外だった。他にも例外はいるな…
よって、親族愛もすさまじい。『身内に優しく外に厳しい』感じでな。

「お久しぶりです。急な訪問を許可していただ…」

バンと思いっきり背中を叩いて、ぎゅーって抱きしめた。
声もやっぱり本物が良い。吹き込みとか念話とかでなく、直ぐ側で聴こえるのが…
そして、この…

「ディよ。兄にそのように…冷たいではないか?」

ゆっくりと離しながら、おい!レイル!それで私を叩こうとしないでくれ。
持っているポットの中、湯が入ってるだろ?
近くに置いている書類が濡れたら…後で他の者達に怒られる。
叩くのも勿論ダメだからな!!

「レイナルド様、ジャディール様とお会いできて嬉しいのはわかりますが、落ち着ください」

コイツは幼馴染で学友。親友でもあるレイル。
王族であるから、護衛兼筆頭執事のコイツがいつも側にいる。
コイツも弟を可愛がっていたのは知っているが…
私の扱いひどくないか?
王様なんだけど、とりあえず…

『ほらほら、さっさと座る』って、どんだけだ。

まぁ、コイツでなければ許さないんだけどな…

「ジャディール様もお座りください」

そう言って、茶菓子も準備し出した。
うん、それは弟の好物だったお菓子だな。
幼少時代の…
今も好物なのは知っている。

促され、素直に私の向かい側に弟が腰掛ける。
その背後の壁側には、彼の執事が立っている。
弟信者と言っても良い男だ。

「お前の好きだった物を準備しているから、まぁ食べなさい。で、」

私は座って前に置かれたカップを取り、一口を飲んだ後、『どうした?』聞いてみた。

目が細まり、一瞬独特の雰囲気を醸しだしてしまっているだろう。
全てをきちんと話しなさいって感じでだ。

今現在わかっている範囲だけと前置きして、弟が説明していく。

「なるほどね…」

指で顎を支える。真剣に思案している癖だ。
内容が内容だしな。
弟の大切な者に関しての…

「で、お前はどうしたい?私はお前もだが、その者も全力で守り護るよ。私の家族であり、守り護るべき国民だからね。私個人として自分の持てるもの全てでだ。まぁ、その子自身、かなり特別な者でもあるしね。」

脚を組み替えし、さらに

「あぁ、間違えないようにね。国のために酷使するつもりは全然ないよ。必要もない。子供に全てを負わせるようなことはあり得ないからね。この世界でもだ。あのバカ達以外は」

そう、その者の能力が例え国の利益だとしても、利用する気はない。
そんな事しなくても、私が、私達がキチンとどうにかする。
そんなの当たり前だ!と、私は考えてるんだがね。
この城の者達も同じ考えのはずだ。
だが、利用しようと考える者もいるのは事実だ。
それだけの価値は十分にあるのだから…

「兄上…」
「早速あの国に連絡を入れるようにしよう。レイル頼んだよ」
「はい、お任せください」

あの国を巻き込もう。
あの国も大いに関係してるのだから、きっと喜んで絡んでくるはずだ。


「それにしても、『英霊召喚』と、『精霊王と妖精王召喚』ね。アカデミーでの授業で召喚したのは『アイリーナ』か、緑の妖精王だったか?すごいね私の義理の弟となる者は。授業の召喚の儀式で呼び出した?どれだけの魔力と精霊や妖精に愛されし者なんだろうね。しかも、日頃は可愛い手のひらサイズの妖精の姿でそばにって、可愛すぎるだろうね。くっ…ふふふふっ」

「あの子が可愛いのも、素晴らしいのも私にとっては当たり前の事ではありますが」

弟が嫉妬で拗ねている。
良いものを見せてもらっている。
これだけでも、頑張る気が起きる。

「ぷっ…ハハハっ…もうしっかり骨抜きだね。あのディが。」

バンバン机を叩いてしまう。
『そこまで笑う必要はないだろう。真剣に悩んでいるんだから!!』みたいに思っているのだろう。
この辺りは、幼少時と変わらない。
可愛いな…

「兄上!」
「レイナルド様、笑いすぎですよ」

おっと、やりすぎた。レイルがおい、それは武器だからな。十分武器だ。
トレーで叩こうとしないで。
そして、生暖かい目で見ないでくれ…

「すまんすまん。まぁ、これは種族の特性とも言えるし、我ら一族の特性かもな。うん。私もそうだった。なぁ、レイル」
「そうですね。大変でしたね。後でお教えしますね」
「いゃ、教えるのはやめてくれ、私の黒歴史を弟には…」

やばい。私の過去を弟にバラさないでくれ…
確かに色々とやらかしたよ。
でも、弟の前ではカッコよくしたいから、辞めてくれ~~~

流れが変な方向に向かいそうになり、修正をっと…そうだ!

「ディ。アイリーナの件もだが、その他、そう、あの者達の事はディール帝国にも協力してもらおうと思う。あの女帝ならこちらの要請に協力的になるはずだ。理由は…わかるだろ?」
「例の事ですね」
「そうだ。その事もあり、協力は絶対だ。だから大丈夫。この際あの愚かな者達には…な?」
「はい。そう願います」
「それに、もう一つの問題が浮上してきた。これも厄介なんだが、もちろん協力してくれるよな」
「それは勿論です。愛しい者と住むこの世界に関係しますから」
「なら良し。その時は要請する」

前の『聖女』の件がある。しかもだ…
他にも問題が浮上しているんだ。

『よし!』と掛け声と同時にパンと大きな響くように手を叩き、展開していた魔法陣を解除した。

「今日は泊まって行くだろ?ぜひ泊まっていけ。決定だ。夕食はお前の好物を準備させているからな。お前の部屋もそのままだ。ついでに仕事もしていけよ。お前の執務室もそのままにしているし、今頃書類も積まれてるだろうしな」
「兄上?」

「頼んだぞ。では後で」

そう言って、もうこの話は一旦終わりだと告げた。

『それより仕事ってどういう事だ?俺のここでの仕事は無いはずなのに…』みたいに考えてるな。
大丈夫。しっかり準備はしてある。
特にレイルがな。
あの問題のも書類で紛れ込ませているだろうから、嫌でも…

廊下で待つ文官達に囲まれて、連れて行かれたようだ。
部屋は…昔のままに、いつでも仕事ができるようにって、整えているんだ。
命じなくても、あの子を慕っている部下達が率先して…

さて、では次か…

国同士の緊急連絡などで使う魔法具を準備させる。
さて、やりますか…

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