57 / 269
アカデミー
アカデミー生活開始です。(ジャディール)
しおりを挟む
「来たか。待っていたよ」
そう言って気さくに話しかけてくる兄は、昔と変わりない。
見た目が二十代後半だが、いいお歳の子供がいるんだよな…
アカデミーに在籍している子供もいたか…
兄とは歳が離れているから、俺自身結構可愛がられていた。
皇族は、王位継承権とかで周りが揉めたり、兄弟の間でも揉めたりと良く聞くが、俺達『竜人族』の場合はそういう揉め事がほとんどない。絶対とは言い切れないが、まず、『番』の事もあるし、種族がら子供ができにくいのもあるらしい。親族愛もすさまじい。
子供の数は、例外もいるんだがな…
友人の子供とか…兄上の所も多い方に入る。
そして、『身内に優しく外に厳しい』感じなんだよね。
「お久しぶりです。急な訪問を許可していただ…」
バンと思いっきり背中を叩かれ、ぎゅーって抱きしめてくる。
苦しいって…
「ディよ。兄にそのように…冷たいではないか?」
ゆっくりと離してくれる兄は相変わらずだった。
「レイナルド様、ジャディール様とお会いできて嬉しいのはわかりますが、落ち着ください」
そう言ってお茶の準備をしてくれるのは、兄の護衛兼筆頭執事のレイルだ。
『ほらほら、さっさと座る』みたいに兄を促す様は流石だ。
コイツでなければ無理だな…
兄の親友であり、幼馴染でもあるんだから…
「ジャディール様もお座りください」
そう言って、茶菓子も準備し出した。
うん、それは俺の好物だったお菓子だな。
幼少時代の…今も好物ではあるが…
俺のことも良く知っているから、何故か逆らえない。
促され、素直に兄の向かい側に腰掛ける。
私の背後の壁側には、私の執事が立っている。
「お前の好きだった物を準備しているから、まぁ食べなさい。で、」
座って一口茶を飲んだ後、兄が聞いてくる『どうした?』と。
目が細まり、一瞬独特の雰囲気を醸し出す。
こういう時は、全てをきちんと話さないといけない。
『今現在わかっている範囲だけ』と前置きして、兄に説明していく。
「なるほどね…」
指で顎を支える動作は、兄が真剣に思案している癖だ。
内容が内容だ。
俺の大切な者に関しての…
そして、下手すれば国際問題にも…
「で、お前はどうしたい?私はお前もだが、その者も全力で守るし護るよ。私の家族であり、守り護るべき国民だからね。私個人として自分の持てるもの全てでだ。まぁ、その子自身、かなり特別な者でもあるしね。」
脚を組み替えし
「あぁ、間違えないようにね。国のために酷使するつもりは全然ないよ。必要もない。子供に全てを負わせるようなことはあり得ないからね。この世界でもだ。あのバカ達以外は」
「兄上…」
「早速あの国に連絡を入れるようにしよう。レイル頼んだよ」
「はい、お任せください」
「それにしても、『英霊召喚』と、『精霊王と妖精王召喚』ね。アカデミーでの授業で召喚したのは『アイリーナ』か、緑の妖精王だったか?すごいね私の義理の弟となる者は。授業の召喚の儀式で呼び出した?どれだけの魔力と精霊や妖精に愛されし者なんだろうね。しかも、日頃は可愛い手のひらサイズの妖精の姿でそばにって、可愛すぎるだろうね。くっ…ふふふふっ」
「あの子が可愛いのも、素晴らしいのも私にとっては当たり前の事ではありますが」
「ぷっ…ハハハっ…もうしっかり骨抜きだね。あのディが。」
バンバン机を叩き出した。
そこまで笑う必要はないだろう。真剣に悩んでいるんだから!!
「兄上!」
「レイナルド様、笑いすぎですよ」
そう言って、レイルが兄を制してくれるが、生暖かい目で見ないでくれ…
「すまんすまん。まぁ、これは種族の特性とも言えるし、我ら一族の特性かもな。うん。私もそうだった。なぁ、レイル」
「そうですね。大変でしたね。後でお教えしますね」
「いゃ、教えるのはやめてくれ、私の黒歴史を弟には…」
おっと、兄が慌てている。これはこっそり教えてもらっとこう。いざという時に…
いゃ、それよりも、今の問題だが…
流れが変な方向に向かいそうになり、修正をっと…
「ディ。アイリーナの件もだが、その他、そう、あの者達の事はディール帝国にも協力してもらおうと思う。あの女帝ならこちらの要請に協力的になるはずだ。理由は…わかるだろ?」
「例の事ですね」
「そうだ。その事もあり、協力は絶対だ。だから大丈夫。この際あの愚かな者達には…な?」
「はい。そう願います」
「それに、もう一つの問題が浮上してきた。これも厄介なんだが、もちろん協力してくれるよな」
「それは勿論です。愛しい者と住むこの世界に関係しますから」
「なら良し。その時は要請する」
『よし!』と掛け声と同時にパンと大きな響くように手を叩き、展開していた魔法陣を解除した。
「今日は泊まって行くだろ?ぜひ泊まっていけ。決定だ。夕食はお前の好物を準備させているからな。お前の部屋もそのままだ。ついでに仕事もしていけよ。お前の執務室もそのままにしているし、今頃書類も積まれてるだろうしな」
「兄上?」
「頼んだぞ。では後で」
そう言われると、もうこの話は一旦終わりだ。
それより仕事ってどういう事だ?
俺のここでの仕事は無いはずなのに…
いつのまにか廊下で待つ文官達に囲まれて、仕方なく昔使っていた自分の執務室に向かう。
部屋は…
昔のままに、いつでも仕事ができるようにって、しかも書類そんなにか?
諦めて椅子に腰掛ける。
「お願いします」
「待っていました」
そう言って、集められていた部下達に促されしぶしぶ…
兄上、こっちがもしかして主だったのでは?
そう考えながら、サクサクとこなしていった。
そう言って気さくに話しかけてくる兄は、昔と変わりない。
見た目が二十代後半だが、いいお歳の子供がいるんだよな…
アカデミーに在籍している子供もいたか…
兄とは歳が離れているから、俺自身結構可愛がられていた。
皇族は、王位継承権とかで周りが揉めたり、兄弟の間でも揉めたりと良く聞くが、俺達『竜人族』の場合はそういう揉め事がほとんどない。絶対とは言い切れないが、まず、『番』の事もあるし、種族がら子供ができにくいのもあるらしい。親族愛もすさまじい。
子供の数は、例外もいるんだがな…
友人の子供とか…兄上の所も多い方に入る。
そして、『身内に優しく外に厳しい』感じなんだよね。
「お久しぶりです。急な訪問を許可していただ…」
バンと思いっきり背中を叩かれ、ぎゅーって抱きしめてくる。
苦しいって…
「ディよ。兄にそのように…冷たいではないか?」
ゆっくりと離してくれる兄は相変わらずだった。
「レイナルド様、ジャディール様とお会いできて嬉しいのはわかりますが、落ち着ください」
そう言ってお茶の準備をしてくれるのは、兄の護衛兼筆頭執事のレイルだ。
『ほらほら、さっさと座る』みたいに兄を促す様は流石だ。
コイツでなければ無理だな…
兄の親友であり、幼馴染でもあるんだから…
「ジャディール様もお座りください」
そう言って、茶菓子も準備し出した。
うん、それは俺の好物だったお菓子だな。
幼少時代の…今も好物ではあるが…
俺のことも良く知っているから、何故か逆らえない。
促され、素直に兄の向かい側に腰掛ける。
私の背後の壁側には、私の執事が立っている。
「お前の好きだった物を準備しているから、まぁ食べなさい。で、」
座って一口茶を飲んだ後、兄が聞いてくる『どうした?』と。
目が細まり、一瞬独特の雰囲気を醸し出す。
こういう時は、全てをきちんと話さないといけない。
『今現在わかっている範囲だけ』と前置きして、兄に説明していく。
「なるほどね…」
指で顎を支える動作は、兄が真剣に思案している癖だ。
内容が内容だ。
俺の大切な者に関しての…
そして、下手すれば国際問題にも…
「で、お前はどうしたい?私はお前もだが、その者も全力で守るし護るよ。私の家族であり、守り護るべき国民だからね。私個人として自分の持てるもの全てでだ。まぁ、その子自身、かなり特別な者でもあるしね。」
脚を組み替えし
「あぁ、間違えないようにね。国のために酷使するつもりは全然ないよ。必要もない。子供に全てを負わせるようなことはあり得ないからね。この世界でもだ。あのバカ達以外は」
「兄上…」
「早速あの国に連絡を入れるようにしよう。レイル頼んだよ」
「はい、お任せください」
「それにしても、『英霊召喚』と、『精霊王と妖精王召喚』ね。アカデミーでの授業で召喚したのは『アイリーナ』か、緑の妖精王だったか?すごいね私の義理の弟となる者は。授業の召喚の儀式で呼び出した?どれだけの魔力と精霊や妖精に愛されし者なんだろうね。しかも、日頃は可愛い手のひらサイズの妖精の姿でそばにって、可愛すぎるだろうね。くっ…ふふふふっ」
「あの子が可愛いのも、素晴らしいのも私にとっては当たり前の事ではありますが」
「ぷっ…ハハハっ…もうしっかり骨抜きだね。あのディが。」
バンバン机を叩き出した。
そこまで笑う必要はないだろう。真剣に悩んでいるんだから!!
「兄上!」
「レイナルド様、笑いすぎですよ」
そう言って、レイルが兄を制してくれるが、生暖かい目で見ないでくれ…
「すまんすまん。まぁ、これは種族の特性とも言えるし、我ら一族の特性かもな。うん。私もそうだった。なぁ、レイル」
「そうですね。大変でしたね。後でお教えしますね」
「いゃ、教えるのはやめてくれ、私の黒歴史を弟には…」
おっと、兄が慌てている。これはこっそり教えてもらっとこう。いざという時に…
いゃ、それよりも、今の問題だが…
流れが変な方向に向かいそうになり、修正をっと…
「ディ。アイリーナの件もだが、その他、そう、あの者達の事はディール帝国にも協力してもらおうと思う。あの女帝ならこちらの要請に協力的になるはずだ。理由は…わかるだろ?」
「例の事ですね」
「そうだ。その事もあり、協力は絶対だ。だから大丈夫。この際あの愚かな者達には…な?」
「はい。そう願います」
「それに、もう一つの問題が浮上してきた。これも厄介なんだが、もちろん協力してくれるよな」
「それは勿論です。愛しい者と住むこの世界に関係しますから」
「なら良し。その時は要請する」
『よし!』と掛け声と同時にパンと大きな響くように手を叩き、展開していた魔法陣を解除した。
「今日は泊まって行くだろ?ぜひ泊まっていけ。決定だ。夕食はお前の好物を準備させているからな。お前の部屋もそのままだ。ついでに仕事もしていけよ。お前の執務室もそのままにしているし、今頃書類も積まれてるだろうしな」
「兄上?」
「頼んだぞ。では後で」
そう言われると、もうこの話は一旦終わりだ。
それより仕事ってどういう事だ?
俺のここでの仕事は無いはずなのに…
いつのまにか廊下で待つ文官達に囲まれて、仕方なく昔使っていた自分の執務室に向かう。
部屋は…
昔のままに、いつでも仕事ができるようにって、しかも書類そんなにか?
諦めて椅子に腰掛ける。
「お願いします」
「待っていました」
そう言って、集められていた部下達に促されしぶしぶ…
兄上、こっちがもしかして主だったのでは?
そう考えながら、サクサクとこなしていった。
17
お気に入りに追加
156
あなたにおすすめの小説
すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。


悪役令嬢と同じ名前だけど、僕は男です。
みあき
BL
名前はティータイムがテーマ。主人公と婚約者の王子がいちゃいちゃする話。
男女共に子どもを産める世界です。容姿についての描写は敢えてしていません。
メインカプが男性同士のためBLジャンルに設定していますが、周辺は異性のカプも多いです。
奇数話が主人公視点、偶数話が婚約者の王子視点です。
pixivでは既に最終回まで投稿しています。
博愛主義の成れの果て
135
BL
子宮持ちで子供が産める侯爵家嫡男の俺の婚約者は、博愛主義者だ。
俺と同じように子宮持ちの令息にだって優しくしてしまう男。
そんな婚約を白紙にしたところ、元婚約者がおかしくなりはじめた……。
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜
ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。
そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。
幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。
もう二度と同じ轍は踏まない。
そう決心したアリスの戦いが始まる。
今世はメシウマ召喚獣
片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。
最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。
※女の子もゴリゴリ出てきます。
※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。
※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。
※なるべくさくさく更新したい。
【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。
桜月夜
BL
前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。
思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる