竜の国のご都合主義?

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驚きは急にやってくる

そろそろアカデミー?(ジャディール)

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僕の愛しい人は、どんどん可愛らしく、愛らしくなって心配だ。
あの日以来、触れることは出来ていない。
触れてしまえば、もう手放せなくなってしまうのが目に見えていた。

『竜人族』は、『番』に対しての執着心が強い。
常に側にいたいと思ってしまうし、場合によっては監禁してしまう事もある。
誰にも触れささず、『自分だけを…』という感じで…

自分の膝の上に座らせるのも当たり前だし、食事も食べさせたい。
いつも目の届くところに置いて、いざという時、何者からも護り通す。

『ヒト族』からしたら、かなり『重い執着心』となるのは理解している。
だから、自分が現在出来る『自分の印』。いわゆるマーキングを魔力を使って相手に刻み、どこにいるのか確認している。

小さかった愛しい人に送った印。
初めは小さな印を刻みつけるから、ちょっとした見た目には一瞬『あざ』だと思うだろう。
そして、婚約で少し大きい印を刻みつける。
もちろん、同じ場所にだ。
さらに、結婚によって、まるで命の共有のように、魔力でもっと強く刻みつけ、繋げてしまう。

この行為はどの種族(ヒト族以外)は、よく似ていたはずだ。
基本、『ヒト族』の寿命は、他の種族より短いのだから…
そして、『ヒト族』は、他の種族のように、『番』の感知が鈍い。
全く無いまでは言わないが…

普通、『番』の見分け方は、相手からの匂いや、魔力感知でわかる。
お互いの魔力を流すことでの理解できるんだ。
『番』でない者から魔力を流されれば、痛みや不快感が強く出る。
だが、『ヒト族』の魔力は澄んでいて、どの種族にも馴染みやすいという、『欠点のような利点』がある。
『ヒト族』から魔力を流されると、違和感を感じないのだ。
逆の場合は、『番』でない他種族から魔力を送られれば、他の種族と同じ拒否反応が出るのだが。

この『欠点のような利点』の能力で、誤解が生じてトラブルが起きた事例も多く報告されている。
違法な行為や事例も多い。
それ以外には、その能力を使っての治療師や薬師。魔力を使って作られるポーションを作成するのに『ヒト族』が多い。
魔力量や能力にもよるけれど…

話はズレてしまったが、私の愛しい者は、彼が生まれた時に気配を感じた。
これは、自国であったから、感じ取れたものだ。
他国に生まれ落ちていたら、その国に行かなければ分かりにくかっただろう。
国境の障壁のせいで、魔力感知がしにくいのだ。
これは、国を守るために必要なものであり、また、瘴気が増えての魔獣被害にも関係してくる。
くわいい事は、各国の治めるもの達により秘匿される内容ではあるが…

その障壁により、『番』が成人すれば、他国でも微かに分ったりするのだが、成人前は全くと言って良いほど感知できないという事実。
よって、大慌てで探しに行って、運が良ければ『番』になれる感じになる。

まぁ、とても残念な事に、時々『番』が他の者。そう、ヒト族が番の場合、ヒト族同士で見つける前に婚姻を結んでしまうという事もある。
そうなれば、かなり焦燥感が強くでて、場合によっては…という事も無いとは言えないが、基本はその者が幸せになる事を見守り、生涯独身を貫く。
『番』がヒト族以外なら、そう問題にはならないのだが…

それからすると、自分はラッキーだったと思う。
出逢うまでの時間はかなりあったが…この世に生まれ出てくれて良かった。
しかも、自国にだ。

愛しい者には、小さなマーキングを贈ってあるから、他の者にとられる事はまず無いだろうと確信に近い思いこみがあった。そして、成人するのを待ち侘び続けた。
影の者を使って、些細な出来事を報告させた事もあった。
密かに贈り物もしてみた。
自分が贈るものを身につけて欲しくて…
そして、自制しながら遠くから見守る事に…

本当は、常に側にいて、自分の屋敷に…
そうなったらいけないと、離れる事を決意し、自制していた…

それが、裏目に出るように、あの事件が起こった。
まぁ、無事に戻ったが…

あの後の調べで、やはりあの国のアイツが関与していた事がわかった。
まだ懲りずに狙っていたのか…

アイツが狙っているのならと、もう見守るだけという事はやめにした。
愛しい者の側にいる。
どんな事をしても、守り抜く。
そう守り護ると心に決め、友人でもある愛しい者の父親、友人に告げ、了承を得た。
あの事件は、あの者達、そう、愛しい者の家族にも衝撃的なものだったからだ。

そうでなければ、まだ約束の日まで…

入浴を終え、晩酌用に準備された酒を夜空を眺めるようにして嗜む。
グラスの氷が少しずつ溶け出し、時に音がなるのも、心地良い。

「今日の衣装選びの時は、可愛らしかった。布地を当てがうようにして肌に触れ…相変わらず良い匂いだったなぁ…」

照れながら、頬を染めていた愛しい者の姿を思い出す。
自分の腕の中にスッポリと入ってしまうような背丈や体型。
身体の線も…

自分が付けたマーキングの印も確認した。
もっと…しっかりと付けたい衝動を抑えるのに必死だった。
勿論、他の者には悟らせない。
友人がその場で居れば、バレていたかもしれないが…

クスクスと笑いがでる。
テーブルには、愛しい者の映像を録画した魔道具がある。
手のひらサイズの魔道具に魔力を送り、映像を浮かび上がらせる。

魔法操作で変装して、ダンス講師やマナー講師に扮して側についた。
練習とはいえ、初めてのダンスの相手を他の者にくれてやる事は…ありえない…
考えただけで嫉妬で狂いそうだ…
まぁ、ダンス練習相手として、ずっと自分が相手をしたかったんだが…そうなると、我慢が出来なくなる可能性がある。それに、他の者と踊る事も経験した方が良いだろうと、愛しいものの父親であり、友人でもある彼から指摘され、愛しい者の兄弟に任せた。

「女性パートばかりと、頬を膨らませたのは、何とも言えなかった…顎をとらえて、口づけし、貪りたいほどに…」

映像を観ながら、次々と思い出す、
あの顔が映っていないのは残念だった。
まぁ、他の者に見せてはいないし、見せたくないが…


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