竜の国のご都合主義？

驚きは急にやってくる

家族会議

普通の『ヒト族』に比べて、『竜人』の親を持つ『ヒト族』は長寿だ。

竜人族自体が平均年齢1000歳ぐらいだから、その影響を受けているのだろう。
竜人族は、生まれて100年ぐらいまでは多少の違いはあるが、大型犬ぐらいの小竜の姿で育つ。
そして、ほぼ100歳になると人の姿になれる。
その時は、人で言うと10歳児ぐらいだ。その後徐々に成人となり、ある年齢になると姿が一定になる。
そして、寿命が近くなると、一気に加齢の姿になるんだ。
魔力量が関係してるのだろう。

そして、竜人を親に持つヒト族は、300歳が平均だ。
まぁ、相手である番によって年齢が変わるから、一概には言えないが…

我が家は、竜人族とヒト族との間での子供であり、相性もかなり良かったのか子沢山の方だ。

そんな我が家の末っ子。
そう、100年ぶりに生まれた『ヒト族』の男の子。
家族が可愛いがるのも仕方ない。
目に入れても痛くないほどに可愛いのだ。

そんな我が子が、突然姿を消したから、家族が大騒ぎだった。
城での仕事や討伐。その他の仕事で家族がちょうど出払っていた。
そんな時、屋敷から急ぎの連絡が届いた。
屋敷の庭を散歩していた末っ子の姿が消えたと…

竜人の国であるアステード王国の公爵家の庭からだ。
公爵家だから、屋敷にはそれなりに人がいるというのに…
護衛を兼ねている者達が気が付かないなど…
普通はありえない…

もしかして…誘拐か？？？？？？
『ヒト族』が誘拐されたと言う事件は、他の国では聞いた事がある。
まさか…

そんな不安で、家族全員が慌てて屋敷に戻った。
先に戻った双子が、末っ子の魔力や匂いを辿り、見つけたのは、屋敷から離れた森の石碑の近くだった。
周囲は小さな光の粒子が側を飛び交っていたらしい。
そして、カルはリリアンの花畑によこたわっていた…
特に気になる外傷は無く、抱いて連れ帰ったと言っていた。

屋敷に着いた途端に高熱を出した。
急ぎ医師を呼んで薬を飲ませ、癒しの魔力を注ぎながら側につき介護してくれていたとの事だった。

何故あの場所に居たのか、カル本人に確認したいが、室内を覗いた限りでは、よく覚えていない感じだった。
さて、どうするべきか…

居間のソファーに末っ子以外の家族が揃い座る。
侍女の入れてくれた飲み物をそれぞれ手に取り一息つく。
さぁ、家族会議で情報を共有しよう。