聖獣と聖女と黒騎士と

出逢い

大丈夫かなぁ…

治療をしたけど、もしかしたら熱が出るかも…

そう不安になり、今晩は付き添う事にした。
浄化魔法で身なりは綺麗にはしたけれど、治癒魔法はあまり使った事がない。
母に少しは習ってはいたものの、そんなに使う場面が、私自身にはなかったから…
だから、あえて薬をつけたんだけど……

母からは、治癒魔法のかけ過ぎは良くないと、いつも口すっぱく言われていた。
やり過ぎると、人間本来の治癒能力が低下するかららしい。
何事も程々が大事なんだとか…

でも…………


しばらくして、熱が出だしたか、少し苦しそうだ。
はぁはぁと息遣いが荒い……

「少しは楽になった方がいいよね…」

そう呟きながら、彼の手をそっと触りながら、「ヒール」と唱え発動させる。
横たわる彼が光に包まれ、霧散する。
思った以上に光が強かったが、あまり使った事がなかったからか？なんて軽く考えてしまった。

寝息が整い、安心する。
これならそっとしておいても大丈夫かもしれない…
そう考え直して、起こさないように、そっとそばを離れ、自室に戻る。

「明日の朝、何か美味しくて、栄養になる物を作ってあげた方が良いかな？」

そんな事を考えて、眠りについた。