聖獣と聖女と黒騎士と

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出逢い

家族が増えて

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家族が増えて、少し賑やかになった。
家族と言っても、動物達だ。

数年前の長雨で、体調を崩す人が続々みられ、地面が緩んだのか、土砂崩れや、洪水といった災害に見舞われ、私の両親もその犠牲になった。

幸い兄は、首都で勤務し、姉は隣国に嫁いでいたから、家族全てを失った訳ではなかったけど、そのせいで、現在一人暮らしだ。
兄達は、自分達と一緒に住もうと言ってくれたけど、父と母と過ごしたこの場所を離れる気になれず、何とかこの家に居続けている。
わがままだと思うけど、無理はするな。定期的に連絡をするようにと言われ、一人暮らしを満喫させてもらっている。

村の人たちも、先祖からのこの土地を離れたくないと頑張って復興し、今に至っているし、お互い昔からの知り合いで、仲も良く、協力しているからというのも、留まる理由の一つだ。

ありがたいことに、村には医師がいるし、駐屯地もある為、騎士達もおり、現在治安がいい。

まぁ、森には精霊や、妖精など、不思議な力を持つものがおり、女神にも愛された場所があるから、彼らを害しない限り、安心して暮らせるのもある。

場所によっては、魔物や穢れのある場所もあるらしいが…

森で採ってきた薬草と、畑で栽培していたものを綺麗に洗い一部乾燥させる。
今は亡き母直伝の香料と、残してくれたメモを基に調香したり、新たに作ったりと、お香やポーションを作成する。
身体回復などで用いられるポーションも、癒しや獣避けなどに使えるお香も大切な収入源であり、自分自身の生活にも必要な物だ。


「さてと、今日も良いできだ。マリルさんの所に持っていかなくっちゃ。その後は買い物してっと…」

小さな荷馬車に商品を積み込んで、出かける準備をする。
いつもはハリーが荷馬車を引いてくれるんだけど、どっかの童話で出てくる感じで…でも今はキレウスがいる。
猫のレダはお留守番。
猫と言っても、しっかり留守番してくれる。
この前も、威嚇と引っ掻き攻撃で撃退していた。
ほんとうちの猫は賢いなぁ…

角も翼も隠している白い子馬のキレウスが、早く行こうと急かしてくる。
街について行くのが嬉しいみたいだ。
ハリーもついて行くと言って、そばを離れない。

護衛の騎士って感じかなぁ…

「さてと、行こうかな。じゃ、行ってきます!!」

一瞬家が返事したみたいに光ったけど、気のせいよね。
あり得ないし…うん、気のせいだ。

『ニィーナ、荷台に乗りなよ。僕に乗っても良いよ』
「荷馬車を引いてくれてるのに、私も乗ったら重いよ?」
『大丈夫。ハリーも乗るしね』

ハリー?いつのまにか乗って伏せてるの?

『さぁさぁ、乗って。道案内よろしく!!』

そう言われて、空いている場所に乗り込んだ。
楽ちんではあるけど…

『じゃ、行くよ!!』

ガラガラと車輪の音を響かせて道をかけてった。

「あまり早く言ったら、瓶が割れちゃう!!」
『大丈夫。割れないようにしてるから!』

不思議な状態で生まれ、我が家の一員となったキレウスだから出来ることなのか?
まぁ、世の中色んなものがいるし、起こるから…いっか。

そう楽天的に考えて、目指す街へと進んでいった。

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