番だと言われて囲われました。

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時は過ぎ

亜希子とアルフォンス

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亜希子がカイルと共に城に着く。

「亜希子」
「兄様。久し振りです。」
「ほぼ毎日話してるのにね。疲れただろうから、先に部屋に案内するね。」

私はにこやかに笑いながら出迎えたのだが……何か様子が変だ。

「ん??どうしたの??」
「…………………」

亜希子に声かけるもすぐに返事がない。

「元気がないね。もしかして、カイルが何かやらかした?」

亜希子を覗き込むようにして話しかけてみる。
もしかして、亜希子を迎えに行った時、ナディル殿下ともめたのか……もしくはカイルがナディル殿下に何か言ったのか……

思わず考えてしまい、カイルの方に視線を向けると、クスクス笑うカイルがうかがえる

「カイル?何かしたの?」
「別に……ナディルに、アキコは私の妹でもあるから安心して仕事に向かうように言っただけだよ。」


本当にそれだけだろうか……
じと~~~~~っとカイル を見つめてしまった。

「言わなくて良いことを言ったのですね。良いおもちゃだとでも思ったのですか?」

大きくため息をついたあと、カイルが私を抱きしめてきた。
妹の前での抱擁は………目の毒です。やめて欲しい……

亜希子が赤面して、キョロキョロしている。
視線のやり場に困っているようだ……

「カイル、離してください」
そう小声でお願いしてカイルから離れ、少し照れながら亜希子を部屋に案内した。

「亜希子、疲れただろうから、お風呂でも入ってゆっくりして。何かあればメイドや執事達に言うんだよ。後でお茶でもしながら話をしよう」
そう話し、メイド長にに亜希子を頼んだ。
彼女は信頼おける素晴らしい女性だ。
きっと亜希子ともあうだろう。特に雰囲気が母に似てるから安心できるだろう……

亜希子と別れ、暫くして玄関が騒がしくなった。
息子が帰ってきたようだ。
亜希子のために呼んでおいたのだが……

「父上に父さん。戻りました。」
そう言って現れたのは、今年40歳になった息子だ。

「お帰り。今日は無理言ってすみませんね」

そう言うと、ニコニコしながら

「大丈夫ですよ。我が家にとっても嬉しい事ですからね。まぁ、初め聞いた時は驚きましたが……まさか、父さんの妹が現れるなんてね。父さんが幸せならと家族で言ってたんです。でも、本当は姪ではなく娘に欲しかったのですが…兄夫婦も家族にと望んでいるのでしょう………残念」

そうおどけて答えてくれた。


暫くして、メイド長に案内されて亜希子がやってきた。

室内にやってきた亜希子は私の顔をみて微笑んでくれたが、息子であるアルフォンスをみて驚いていた。
そりゃそうかも知れない。お城で数回見たことがある人物がいたら驚くよね。
取り敢えず、わたしから紹介しないとね…

「亜希子この子はアルフォンス。私達の子供だよ。」
「…………兄様………え!?」

「誤解のないよう言っとくけど、いくら魔力がある国でも、私は産めないからね!」
「産めたらいいね。」

カイルが楽しそうに会話に入ってくる。

「無理だから!」

即座に否定した。いくらジョークでも、そんな真剣な表情で言わないで欲しい……
顔を少し引きつらせてしまう。眉間がピクピクいっているのが感じ取れる。

話が脱線しそうだ……心を引き締める。

「養子だよ。」
「そうなの?」
「そう……」

ニコニコ顔と笑顔で説明する。

少し苦笑いしてしまった所で、アルフォンスが声をかけてきた。

「初めてアキコ。私はアルフォンスです。父達に養子として私と兄、妹の3人が引き取られているんですよ。だから、血は繋がってはいませんが、親族です。よろしくお願いしますね。」

穏やかに笑いながら挨拶している。
亜希子も笑顔で答えていた。

「よろしくお願いします。」
「兄と妹は夕方こちらに来ますから、その時に紹介しますね。」
「はい。」

そう言って、取り敢えず席につこうと声をかけ、お茶にした。
アルフォンスと亜希子が楽しそうに話をしている。
亜希子の子供の頃の話から、この頃の話までだ。

仲良くなってもらう事はいいことだ。今後の計画にも必要だから……
そう感じていた。
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