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お互いを知ることから……
とりあえず
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カイルの執務室へと訪れた。
忙しいであろうに、喜んで迎え入れてくれる。
喜びすぎのようにも感じるが…
抱きしめて口づけられた。
「あなたの方から来てくれるなんて……嬉しいですが、何かありましたか?」
「カイル、この屋敷にただ何もせず置いていただくのも申し訳ないので、私に出来る仕事はありませんか?」
「気にしなくても良いのに。アキはただ単に私の側にいてくれるだけで充分です。」
「そう言われても…では、外に仕事を探しに行った方が良いでしょうか?いつまでもここに居るわけには……」
最後まで言わせてもらえなかった。
思いっきり強く抱きしめられ、息が苦しい……
「そのような事を考え言われるなら、あなたを閉じ込めて、全てを奪い尽くします。壊してしまうかも知れませんよ。良いのですか?」
「カ……カイル……苦しい……」
カイルの胸を押すもびくともしない、やはり力の差か……
カイルが私の顔を覗き込むように訴える。
「私にはアキが必要です。アキがいるから、私の力が暴走しなくて済む。以前もお話ししましたよね。それに、愛しているのです。これ以上私に我慢させるなら………」
「ですが……」
はぁ…………と大きくため息をつかれた。
「わかりました。では、私の執務の手伝いをして下さい。書類の整理や分類です。それなら、私も安心できるし、嬉しい。きっと白銀も手伝ってくれますよね」
私の側で、人の形になっている白銀。
「主人の手伝いはするわ。それに、亜紀様もここの方がいいと思うし。」
白銀も反対か…外に出て、仕事は無理そうだ。
まぁ、それは想定内だったけど……カイルの仕事の手伝いか……
「アキ?嫌なのですか?」
「いいえ、カイルの邪魔にならないかと思っただけです。もし良かったらすぐにでも……」
「今日は大丈夫です。ほぼ終わりましたから……明日からお願いします。そうそう、父と弟から招待状が届いていて、アキを連れてくるようにと……私的にはまだ会わせたくなかったのですが仕方ありません。向こうで宴を催すらしくて……アキはマナーは勉強していたはずですが、ダンスは……」
「すみません、踊れません。」
「そう言われると思って、こんな物を作ってみたんです」
そう言って、カイルが箱を持ってきた。
「これは?」
箱を開けると上下の服が入っていた。
動きやすそうな生地でしたてられた少し軍服にも似た服。
「この服の素材に魔石の粉を混ぜて魔力を注ぎ込んだ魔道具です。ダンスの時の動作を半強制的に着た者に伝えて動かすようなしくみです。これを着続けて練習すれは身体が覚えるでしょうから……スタートボタンとストップボタンはここに。だから、踊り続けて止まらない……という事はありませんから、大丈夫ですよ。」
「もしかして、私は実験体ですか?」
「アキで実験なんてあり得ません。そんな危険な事は部下にさせてますから……彼らは魔力が有りますから、多少の危険は自分で回避出来ますので……」
「そうなのですね……」
では、使わせてもらおう。
せっかく作ってくれたのだから……カイル に恥をかかせたくない……
「練習には勿論私も付き合いますから」
と、笑顔で言ってきた。
「亜紀様、私も付き合いますよ。勿論ですとも。」
胸を張って宣言する白銀。可愛い。
「白銀は無理しなくていいですよ」
ぽそっと呟くカイルに、「主人の手伝いをするのは当然」といいかえしていた。
思わずふふっと笑ってしまう。
カイルに抱きこまれた。
「そんな可愛い顔を誰にでも見せないでください。虫が付く……」
「虫ですか?」
「虫です!」
余りの真剣さに笑いが止まらない。
カイルも白銀も笑った。久しぶりに笑った気がする。
ここの生活もだいぶと慣れてきた。気を良くしてきたためだろう。
カイルや他の城の者達のおかげかも知れない。
心から感謝しよう。ありがとう…
忙しいであろうに、喜んで迎え入れてくれる。
喜びすぎのようにも感じるが…
抱きしめて口づけられた。
「あなたの方から来てくれるなんて……嬉しいですが、何かありましたか?」
「カイル、この屋敷にただ何もせず置いていただくのも申し訳ないので、私に出来る仕事はありませんか?」
「気にしなくても良いのに。アキはただ単に私の側にいてくれるだけで充分です。」
「そう言われても…では、外に仕事を探しに行った方が良いでしょうか?いつまでもここに居るわけには……」
最後まで言わせてもらえなかった。
思いっきり強く抱きしめられ、息が苦しい……
「そのような事を考え言われるなら、あなたを閉じ込めて、全てを奪い尽くします。壊してしまうかも知れませんよ。良いのですか?」
「カ……カイル……苦しい……」
カイルの胸を押すもびくともしない、やはり力の差か……
カイルが私の顔を覗き込むように訴える。
「私にはアキが必要です。アキがいるから、私の力が暴走しなくて済む。以前もお話ししましたよね。それに、愛しているのです。これ以上私に我慢させるなら………」
「ですが……」
はぁ…………と大きくため息をつかれた。
「わかりました。では、私の執務の手伝いをして下さい。書類の整理や分類です。それなら、私も安心できるし、嬉しい。きっと白銀も手伝ってくれますよね」
私の側で、人の形になっている白銀。
「主人の手伝いはするわ。それに、亜紀様もここの方がいいと思うし。」
白銀も反対か…外に出て、仕事は無理そうだ。
まぁ、それは想定内だったけど……カイルの仕事の手伝いか……
「アキ?嫌なのですか?」
「いいえ、カイルの邪魔にならないかと思っただけです。もし良かったらすぐにでも……」
「今日は大丈夫です。ほぼ終わりましたから……明日からお願いします。そうそう、父と弟から招待状が届いていて、アキを連れてくるようにと……私的にはまだ会わせたくなかったのですが仕方ありません。向こうで宴を催すらしくて……アキはマナーは勉強していたはずですが、ダンスは……」
「すみません、踊れません。」
「そう言われると思って、こんな物を作ってみたんです」
そう言って、カイルが箱を持ってきた。
「これは?」
箱を開けると上下の服が入っていた。
動きやすそうな生地でしたてられた少し軍服にも似た服。
「この服の素材に魔石の粉を混ぜて魔力を注ぎ込んだ魔道具です。ダンスの時の動作を半強制的に着た者に伝えて動かすようなしくみです。これを着続けて練習すれは身体が覚えるでしょうから……スタートボタンとストップボタンはここに。だから、踊り続けて止まらない……という事はありませんから、大丈夫ですよ。」
「もしかして、私は実験体ですか?」
「アキで実験なんてあり得ません。そんな危険な事は部下にさせてますから……彼らは魔力が有りますから、多少の危険は自分で回避出来ますので……」
「そうなのですね……」
では、使わせてもらおう。
せっかく作ってくれたのだから……カイル に恥をかかせたくない……
「練習には勿論私も付き合いますから」
と、笑顔で言ってきた。
「亜紀様、私も付き合いますよ。勿論ですとも。」
胸を張って宣言する白銀。可愛い。
「白銀は無理しなくていいですよ」
ぽそっと呟くカイルに、「主人の手伝いをするのは当然」といいかえしていた。
思わずふふっと笑ってしまう。
カイルに抱きこまれた。
「そんな可愛い顔を誰にでも見せないでください。虫が付く……」
「虫ですか?」
「虫です!」
余りの真剣さに笑いが止まらない。
カイルも白銀も笑った。久しぶりに笑った気がする。
ここの生活もだいぶと慣れてきた。気を良くしてきたためだろう。
カイルや他の城の者達のおかげかも知れない。
心から感謝しよう。ありがとう…
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