番だと言われて囲われました。

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お互いを知ることから……

少し散歩して

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城の中をぶらぶらと散歩する。
城の外へは出れないが、多少の散歩は許された。

この世界は本当に不思議だ。
前の世界と同じものもある。

カイルも少し落ち着いたのか、相変わら側にいるが、前よりは離れていても大丈夫そうだ。
まぁ、就眠時などでは側により、その日のことなど聞いては来るけど………

執務と何やら研究もしているようだ。
遠目でみたが、執務や研究中のカイルは私と接している時と違う。
部下達に慕われ、凛々しい感じがする。
本来はあの姿なんだろうが……

城の敷地内に少し樹々の多いところがある。
池?湖?
気になる……
スタスタと歩いて行く。
他の庭園とはまた違う趣だ。

小鳥が舞っている。
さえずりも聞こえてくる。
落ち着く……
ん?何かの石碑?それとも遺跡?
少し変わったものが見えた。
そこまでは行けるのだろうか……

護衛の者達もついてくるだろう。
カイルから護衛をつける事は話されていた。
付かず離れずの距離で守られているのだろう。
カイルの城だから……
他所でなら、すぐ側にいるだろうが………

水辺にたたずんで、考える。

この世界に来て、自分は何ができるのだろうか……
ただ単にカイルの側にいるだけか………

図書室の重要書籍の中に『番』に関してのものが数冊あった。
信じられない内容の物もあった。

この国発祥の歴史のような物。
日本にも神話はある。
この国とは違うが、神も仏も信仰がある。
この国にも信仰があり、この国建国の歴史に、神話のようなものがあった。

****************

争いなどの混沌とした世界に、1人の人が神に祈り、聞き届けられた。
その人は神と1つとなり、子をもうけ、その子が建国の祖となったが、神の力が大きく、人の体に神の力は負担が大きすぎて、やがて暴走するようになる。何代もすると、その血は薄まり、他者よりは強いが……程度で落ちつくものの、時折祖に近い力を持つものが生まれ、その者は成長につれてやがて暴走する。神はそんな哀れな者のために魔力のないものを異世界からつれてこられ、暴走する魔力をそのものに注ぎ込む事により落ち着かせた。その魔力の有しない者を『番』とし、番は相手の魔力をを吸収し、使って生活を行う。魔力が無いから、貯めることが出来ない。番の体を通して流れて行くが………

***************
そんな事が書かれていた。
「番」がいない場合の暴走。
過去に数人それに近い状態になった者達がいたようだ。

ある者は殺害され、ある者は自殺し、ある者は自爆した………

だとしたら………カイルの恐怖は……

この事は幼少時に知ったと言っていた。
自分のせいで、国を滅ぼすかも知れない恐怖があったとも……

彼の恐怖は計り知れなかっただろう。
だからといって、全てを受け入れるのは………今は……

もう少し待って欲しい。
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