番だと言われて囲われました。

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愛おし過ぎて……

鳥籠

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私は自分の執務室で仕事をしていた。

「ふふっ、アキの寝顔は可愛らしかった……」

思わず呟いて、にやけてしまう。

こんな感情は初めてで、戸惑うことも多い。

過去の『番』に対しての執着はどの文献も凄まじいものが書かれていたが……
あの時は呆れたり、笑い飛ばしていたのだが………
いざ自分自身になると………なるほどな………と思ってしまった。

些細な仕草が、香りが、温もりが……
全てが愛しく感じ、とにかく囲い込んで逃したくないと強く願ってしまう。

自分自身、少し呆れるが、仕方がない。
まぁ、アキを壊さないようにだけは注意しよう。

ふとアキが目覚めた気配を感じる。

とりあえず、ベットから起き上がり、着るものを探しているようだ。
何となく、そんな感じがする。

服を着替え、窓辺から何かを見ている。

何を見ているのだろうか ……

何処か一箇所に意識が集中しているようだ。
そんなに気にしているものは何??

移動し始めた。
護衛の者たちに念話で命じる。
しばらく静観せよと……

危険な場合は行動を許可するとして……

私の大切な者に対し、護衛もなしでそばを離れることはありえない。
優秀な彼らは、アキに気づかれることもないだろう。

それに、アキの首にはあれがある。

今のアキは魔力が無いため、アレを通して私の魔力を与え、貯めて少しは使えるようになっている。
日常生活での最小限だが……
その件に関しては気がついていないだろう。

気がつかないようにしているのだから……

何とか城の建物から抜け出たようだ。

人に合いそうな時は柱や家具の影に隠れたり、極力人に会わないように、そしてとりあえずのどこかの目的地につくようにしているようだ。

「この私から逃れる気か?ふふっ、無駄なのに……逃すはずがない。」

そうして何とか建物から抜け、幌馬車の方に向かっているのか……
とりあえずここまでは順調だと安心しているのか……

あまいなぁ~~ふふっ……

この城に一体どれぐらいの人がいるのかわからないだろうが、たまたま多くの人に会わなかったのかもと思っているのだろうか……部下たちが上手く誘導しているのにね……

多分、あの幌馬車に乗り込もうと考えているのだろう。
だから、そこまでたどり着けれるようにした。

うまく乗り込めば、見つからずにこのまま出れるのでは…………と、甘い期待をしているのかもしれないが……

ふふっ、上手く隠れているのか心配しているようだが……まぁいい。
幌馬車が動き出す。
ドキドキしているようだ。
執務室の窓辺から下の景色を見る。
そう、アキの乗る幌馬車を……アキの姿を……

そろそろ捕らえて良いだろうか。

その城壁周辺は私の魔力で結界を敷いてある。
この城を守るためのものと、アキを閉じ込めるもの。

私がいない時に何かあっては困るから。
まぁ、私と共なら出られるけどね……

ふふふっ………まるで大きな鳥かごだ……

勿論、本人には内緒だが……

あぁ、城壁の結界が作動し始めたな…
それに加えて、転送の魔法陣を展開させる。
私の元に戻るように……

急に淡い光がかがやき、幌馬車にいるアキの足元に展開し出す。

アキは慌てて飛び降りてしまったようだ。
しかし、その魔法陣は追いかけていくようにアキの足元に展開した。
光に包まれる。
抜け出せれないよ。

私の元にお帰り。愛しい君。


 





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