異世界で囲われた?!

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異世界生活

護衛騎士の事情

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英二がある程度くつろいだ時、部下から夕食の準備ができたと知らせが来た。
それを伝えて、テーブルに置いた茶器を片付ける。

この旅をはじめた当初は「せっかくだからと、他の騎士達と食を一緒にしたいと思う」と英二が部下の一人に告げた。部下達からは恐縮されて断られたようだがな…。
たまたま席を外していた俺は後で報告を受けたのだが、英二はそれは寂しそうにしていたらしい。だから、せめてもと私が相席させてもらった。部下は異世界から来た貴賓に対しては恐縮してしまうのは理解できる。それに、俺がどう思うかも考慮したのだろう。理解できるが、残念そうに食べている英二が…寂しそうにしているのは、番である自分には心が刺さる。
よって、部下達によく言いきかせて、今では時間が合う者達とは一緒に食べれるようになっていた。
少数で食べるより、多くの者と食べる方が楽しいからな。


「英二様?」
「あぁ、大丈夫。これ美味いな。」
「それはこの地域でよく食べられているものですよ。調理によっては保存も効きます。」

そう言って英二の好みそうな物を大皿から取り分け渡す。
他の者との接触を許しても、全てを許せそうにない自分の心の狭い自分がついつい出てくる。
夕食事の席では多少の酒は付きものだ。ただ英二には飲ませない。
城で口にした時の妖艶な雰囲気を他の者達には見せたくなかったから、あの時以後は私以外の前では決して飲まさないことに決め、英二にも言いきかせておいた。
理由は適当に言っておいた。
彼自身も何となく身に覚えがあるようで理解してくれたが、その身に覚えに対してはかなり気になった。いつか確認したいと思う。

他の者達は「せっかくだ!」と飲んでいた。
飲むとやはり陽気になっていくわけで…

英二が楽しそうにしているのは嬉しい。

「ユークリックス様…」

ゼムが近づく報告してくるのに対して耳打ちしていく。

「その方向で…」

そう指示出して英二の方に振り向くと、顔を赤て側に近づきコソコソ話をしてくる者がいた。
いくら英二の希望でできるだけ親しく食事を楽しむように指示を出していたとはいえ…
アルコールが入っているからと言っても、そこまでして良いわけがない。

威圧すると、すぐさま顔色を赤から青に、さらに白に変えて離れていくが、それだけで許すはずがない。
視線でガルロに英二の側を任せて、英二に触れていた部下を外に出す事にする。

「英二様の国では砂漠ってなかったんですか?」
「俺の国には、砂丘と言われている場所はあったけど、砂漠は無いなぁ。別の遠い国にはあるんだけど、実際に見た事はないなぁ。だから、砂漠でどう言う行動をしたら良いとかは知らないんだ。もしかしたら迷惑をかけるかも知れないけれど、その時は教えてくれ。」
「そうなんですか?」

そんな感じの談笑を背に、英二に必要以上に触れていた者達を外に連れ出して…
そう、一人だけではなかった。実際に触れた者。そして、酔った勢いで怪しい視線を送った者…

「お前達、わかっているだろうな~」

ビクビクした部下達にしっかりと教育を行う。
こいつらは後でゼムにこき使わそう。

英二には知られないように、何とも言えない悲鳴が響き渡る。

「準備できました。後はこちらで…」

ガルロから連絡をもらったのであろうゼムが引き取り、俺は英二の側に急ぎ戻ったのだった。
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