異世界で囲われた?!

文字の大きさ
上 下
37 / 46
異世界生活

護衛騎士の事情

しおりを挟む
そんな感じで草原や湿地帯のような場所を通りすぎ、今は砂漠手前に差し掛かる町に到着した。
ここで馬車は待機だ。
特殊な馬車ではあるが、砂漠にはどうしても不適合。よってここからは騎馬となる。

この町の騎士団駐屯所に馬車を預け、先行していた部下から情報を得る。
後、再度荷物の確認をして、不足分はここで補充だ。
あらかじめ準備はされているが、予想外の必需品というものもある。
その時々での確認を厳かにして、英二を危険なめに合わせるわけにはいかない。

ここから目的地までは何もない砂漠なのだから。
魔道具を利用して進行方向は確認できるから、迷う事はないが…

安全面も考慮して選んでおいた近くの宿泊場所に行き、今日はここで泊まると伝えた。
英二からたえず「ありがとう」と言う感謝の言葉をもらう。
そう言ってもうあえて心がポカポカした。

彼は見てきたこととか聞いた事は、しっかりとメモをとっていた。
馬車の中でもよく質問してきたから、できるだけわかりやすく答え、彼の反応を楽しんだ。
今までになかった充実感を感じた時間をしっかりと楽しんだ。
もっと彼に近づきたい。彼に自分の思いの全てを打ち明けたいとも思ったが、そこはまだその時ではないと我慢した。
だが…可愛いんだよなぁ~。
いかんいかん…

英二が部屋に行く前に土埃を被ったりした衣服をパタパタさせて払い、室内に入っていく。
部屋で身体を清潔にしたいだろうと、湯をもらいに行く。
彼は城ではほぼ毎日入浴をしていた。過去の者達も入浴を好まれている事は知られている。よって入浴習慣が結構な地域で普及されていた。清潔に対してのメリットや、入浴することに対してのメリットをよく訴えられていたからと…よって、この世界には風呂というものはある。ただ、この地域のような場所では水自体がかなり貴重なものであるから、どうしても入浴をする習慣はない。生活魔法の一つで浄化魔法で身体を綺麗に保つか、濡れた布で拭くぐらいだとか。
だからせめてもと、宿に頼んで準備したのだ。

階段を上がって英二の部屋に向かうと、膨大な魔力を感じた。
急足で向かい扉を開けると…

濡れ鼠の様になっている英二の姿。そして、そそくさと隠れるように室内の隅に移動するバカ猫…
本来ならバカ猫と言ってはいけないのはわかるが、英二に関してはどうしても心が狭い俺…

「大丈夫ですか!?」

そう言ってすぐさま魔法をかけて水気を飛ばし乾燥させる。
その後、せっかくだからと、運んできた湯に足を入れさせ足湯として疲れを癒した。
身体自体はさっきの濡れ鼠状態で綺麗になっていたからだ。

そっとお茶の準備もして、せっせと世話を焼く。
さっきの状態は驚いたが、そんな事も出来るのかとも驚いた。
そして、あの時の英二の表情が何とも愛らしくて、一瞬危なかった俺。
特に俺の息子の反応が…
すぐに騎士としての精神力で押さえ込んだが…

バカ猫はそそくさと外に出て行ったが、まぁ可愛らしい姿を堪能させてもらったから今回は許そう。
そう、次はないからな!
そう心に刻んだ俺だった。
もちろん、英二には気づかれないように気をつけてだ。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

自己評価下の下のオレは、血筋がチートだった!?

トール
BL
一般家庭に生まれ、ごく普通の人生を歩んで16年。凡庸な容姿に特出した才もない平凡な少年ディークは、その容姿に負けない平凡な毎日を送っている。と思っていたのに、周りから見れば全然平凡じゃなかった!? 実はこの世界の創造主(神王)を母に持ち、騎士団の師団長(鬼神)を父に持つ尊い血筋!? 両親の素性を知らされていない世間知らずな少年が巻き起こすドタバタBLコメディー。 ※「異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ」の主人公の息子の話になります。 こちらを読んでいなくても楽しめるように作っておりますが、親の話に興味がある方はぜひズボラライフも読んでいただければ、より楽しめる作品です。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

いじめっこ令息に転生したけど、いじめなかったのに義弟が酷い。

えっしゃー(エミリオ猫)
BL
オレはデニス=アッカー伯爵令息(18才)。成績が悪くて跡継ぎから外された一人息子だ。跡継ぎに養子に来た義弟アルフ(15才)を、グレていじめる令息…の予定だったが、ここが物語の中で、義弟いじめの途中に事故で亡くなる事を思いだした。死にたくないので、優しい兄を目指してるのに、義弟はなかなか義兄上大好き!と言ってくれません。反抗期?思春期かな? そして今日も何故かオレの服が脱げそうです? そんなある日、義弟の親友と出会って…。

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた

やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。 俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。 独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。 好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け ムーンライトノベルズにも掲載しています。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている

迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。 読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)  魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。  ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。  それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。  それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。  勘弁してほしい。  僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。

処理中です...