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異世界生活
護衛騎士の事情
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英二が姉君である沙也加様に今現在わかっている事を目の前で伝えている。
愛しい人のご家族はできるだけその方の母国での発音で名前を呼んで差し上げたい。
その執念で覚えた。まぁ、英二以外はいいかなっとも思ったんだが、その方が印象も良いだろう。
ただ、時にはこの国の発音でサヤカ様とか聖女様とか呼んでしまうのだが。
テーブルに広げられた地図を熱心に二人で覗き込むようにして確認していた。
俺の方でもある程度確認しているし、既に選別隊を先に送り込んでいる。
自分達が行く先々でスムーズに事が運べるようにだ。
ただ、この所魔物被害が出ている場所が数箇所。目撃証言が多発している場所も数箇所ある。
英二を危険に晒したくはないので、その辺りは…
まぁ、俺や信用できる部下達がいるから大丈夫だと思うが…
自分達は他の部隊とはやや違うからなぁ…
あくまでこの国においては…と言うだけだが。
他国では…まぁ、個々の国で違うから一概に言えないか…
上層部の者達達には既に英二の希望は報告済み。承認も得ているが、やはり姉である沙也加様は「自分も行く!」と息巻いておられた。そこは予想範囲であり、しっかりと却下されて不貞腐れていた。
女性であり、聖女認定もされているから許可はされないのはわかるが、少しだけお可哀想にも思えた。
俺の口からは言えないが。
この姉弟は結構行動派だと思う。だから、できたら自分達で確かめたかったのだろう。
兄や妹の痕跡を探して…
だが、この国の上の方がそんな事を許す訳ない。
特に神殿関係が…
英二が言い出す前に既に荷づくりは整っている。
だが、あえて「お任せを!」と言っておいた。資料を集める際に予測はしておいたのだから。
で、途中までは馬車で。その後は馬での移動が出来るようにした事を伝えた。
この世界に来られたばかりの英二が、この世界の旅なんてした事ないのは当たり前だ。自分達が…この俺が熟知しているのだから、頼ってもらえるのは嬉しい。それ以外でもどんどん頼ってほしいと願う。
お金の価値とかは、ある程度は教えておいた。だが、わずかな時間で習得した知識が旅の途中で出会う商人相手に通じるかっていうと…多分無理だろう。
ぼったくられるのがオチだしな。そこも俺の出番だろう。
「英二様、準備が出来ました。」
そう言って英二を馬車に乗せ、自分も向かいの席に座っていた。
本当は隣に座りたいが、あくまで今は護衛の騎士であり執事だ。
英二が私が一緒に乗り込むと少し不思議そうにした。
私の相棒の愛馬が馬車を引くのを見て少し不思議そうにしていたから、多分その事だろう。
「あぁ、私の相棒は私以外を乗せるのは基本嫌がりますので、私が馬車に乗るなら頑張って引いてくれますよ。もう一頭の方も操縦する者の相棒です。この二頭は兄弟で仲が良いんですよ。馬車から馬上に変更する時にも便利ですからね。」
「そういうものなのか?まぁ、本人と馬達がそれで良いのなら良いんだけど…もう追求するのはやめよう。俺にはわからん事だ。」などとぶつぶつ小声で呟いていた。本人は心の中で呟いているつもりなのだろう。うん、可愛い。
その後直ぐに考え直してそっと窓から外の風景を楽しむように眺め出していた。
周りには数人の部下が周りを囲むように駆け出した。
「この者達は私の部下ですから大丈夫ですよ。」
「そうなのか?」
「はい。情報収集や護衛。何でもお任せください。」
「旅に出る騎士って感じではあるけれど…うん、かっこいいな。」と呟いたのには少しだけイラッと嫉妬した。
その気配を察知したのか、部下達が身震いしているようだが…
竜人族の者は、自分の番に対して心がどうしても狭くなる。その事は部下達も十分理解しているから直ぐにいつもの状態に戻っていた。
俺ももう少し気をつけないといけない。
そんな事を思いながら、外に景色を堪能している英二の姿を堪能し、今後の事を頭の中で計画を練って行った。
愛しい人のご家族はできるだけその方の母国での発音で名前を呼んで差し上げたい。
その執念で覚えた。まぁ、英二以外はいいかなっとも思ったんだが、その方が印象も良いだろう。
ただ、時にはこの国の発音でサヤカ様とか聖女様とか呼んでしまうのだが。
テーブルに広げられた地図を熱心に二人で覗き込むようにして確認していた。
俺の方でもある程度確認しているし、既に選別隊を先に送り込んでいる。
自分達が行く先々でスムーズに事が運べるようにだ。
ただ、この所魔物被害が出ている場所が数箇所。目撃証言が多発している場所も数箇所ある。
英二を危険に晒したくはないので、その辺りは…
まぁ、俺や信用できる部下達がいるから大丈夫だと思うが…
自分達は他の部隊とはやや違うからなぁ…
あくまでこの国においては…と言うだけだが。
他国では…まぁ、個々の国で違うから一概に言えないか…
上層部の者達達には既に英二の希望は報告済み。承認も得ているが、やはり姉である沙也加様は「自分も行く!」と息巻いておられた。そこは予想範囲であり、しっかりと却下されて不貞腐れていた。
女性であり、聖女認定もされているから許可はされないのはわかるが、少しだけお可哀想にも思えた。
俺の口からは言えないが。
この姉弟は結構行動派だと思う。だから、できたら自分達で確かめたかったのだろう。
兄や妹の痕跡を探して…
だが、この国の上の方がそんな事を許す訳ない。
特に神殿関係が…
英二が言い出す前に既に荷づくりは整っている。
だが、あえて「お任せを!」と言っておいた。資料を集める際に予測はしておいたのだから。
で、途中までは馬車で。その後は馬での移動が出来るようにした事を伝えた。
この世界に来られたばかりの英二が、この世界の旅なんてした事ないのは当たり前だ。自分達が…この俺が熟知しているのだから、頼ってもらえるのは嬉しい。それ以外でもどんどん頼ってほしいと願う。
お金の価値とかは、ある程度は教えておいた。だが、わずかな時間で習得した知識が旅の途中で出会う商人相手に通じるかっていうと…多分無理だろう。
ぼったくられるのがオチだしな。そこも俺の出番だろう。
「英二様、準備が出来ました。」
そう言って英二を馬車に乗せ、自分も向かいの席に座っていた。
本当は隣に座りたいが、あくまで今は護衛の騎士であり執事だ。
英二が私が一緒に乗り込むと少し不思議そうにした。
私の相棒の愛馬が馬車を引くのを見て少し不思議そうにしていたから、多分その事だろう。
「あぁ、私の相棒は私以外を乗せるのは基本嫌がりますので、私が馬車に乗るなら頑張って引いてくれますよ。もう一頭の方も操縦する者の相棒です。この二頭は兄弟で仲が良いんですよ。馬車から馬上に変更する時にも便利ですからね。」
「そういうものなのか?まぁ、本人と馬達がそれで良いのなら良いんだけど…もう追求するのはやめよう。俺にはわからん事だ。」などとぶつぶつ小声で呟いていた。本人は心の中で呟いているつもりなのだろう。うん、可愛い。
その後直ぐに考え直してそっと窓から外の風景を楽しむように眺め出していた。
周りには数人の部下が周りを囲むように駆け出した。
「この者達は私の部下ですから大丈夫ですよ。」
「そうなのか?」
「はい。情報収集や護衛。何でもお任せください。」
「旅に出る騎士って感じではあるけれど…うん、かっこいいな。」と呟いたのには少しだけイラッと嫉妬した。
その気配を察知したのか、部下達が身震いしているようだが…
竜人族の者は、自分の番に対して心がどうしても狭くなる。その事は部下達も十分理解しているから直ぐにいつもの状態に戻っていた。
俺ももう少し気をつけないといけない。
そんな事を思いながら、外に景色を堪能している英二の姿を堪能し、今後の事を頭の中で計画を練って行った。
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