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色々と

ウィルが帰ってきた。

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翌朝、クロさんからの伝言が届いた。

ウィルが戻ってきた。

嬉しすぎて、どう反応したのかわからない。
シロさんが止めるのも聞かず、ウィルの部屋に駆け込んだ。

ちょっとタイミング間違ったのかもしれないけど、そんなの関係ない。
父上達も、同じ考えが過ぎった感じだけど、そんなの関係ない!!

「ウィル~~~~~~」

いつも勝気な私だけど、それだけ嬉しかったんだ。涙目でウィルに飛びついた。

グヘッ…

勢い良すぎて、ウィルから変な声が出た。
でも、そんなの気にしない。ウィルだウィルだ!!

「ウィル、もう死んだかと思ったんだよ!もう逢えないって……人に心配させて!!うわ~~~~ん」
「ごめん。リリィは怪我とかしてない?大丈夫?」

そっとウィルが私の涙を拭ってくれる。
こんなに私を悲しませたんだから、わかってるの??

お互いに身体を確認して、再度抱き合った。

「ウィル。もうあんな事しないで!約束だよ!」
「わかったよ。ごめんね。」

ウィルの事だ。絶対しないとは……言い切れないだろう。でも、だからこそ、今度はそうならないように私達で、今後全力で回避しよう……

「リリィ様。大丈夫ですよ。私がその時は全力で止めますから。今度こそ。ね、ウィル。」
「う……うん、そうだね。」

クロさんの黒い笑みが怖い……
もしかして、ウィルの心の声を読んだ??
ウィルの考えそうな事。
私が考えた事…

ウィルと共に、一瞬顔を痙攣らせたが、お互い笑顔に戻す。

「あれ?ウィル…これ…」

ウィルの左手首にある紋様が……
これって、ゲームで見た番い契約の紋様?
それがウィルの左手首についてある。
そ~っとクロさんの左手首を見ようにも、服の袖で見えないが、きっと同じ紋様があるのだろう。

よくある小説や漫画のようにくっきり噛み跡が残るのはどうか……と考えていたが、このゲームはそこの辺が少し違う。
契約時に噛む行為は同じなんだけどね…噛んだ相手と同じ模様がお互いの手首に出るようだ。
少し愛おしそうに、ウィルがその場所を撫でている。
満更でもないんだ。
ウィルが良いなら良いけど……

「ふ~ん、そう言う事。なるほどね……ふふっ、良いんじゃない。クロさん、ウィルの事これからもよろしくねっと。父上、母上、兄上達も、そう言う事みたいですよ。」

ドアの入り口の方を振り向いて、声かける。
同じように駆けつけたけど、私の方が早かったんだよね。

ギギィ~とドアが開き、両親と兄達が入ってきた。
父は少し困った顔。母は満面の笑み。兄達は……怖っ……
黒いよ、黒い笑みだ……

「直ぐに入りたかったんだけどね、入りにくそうだったから少し待ってたのよ。」

いつもいる警護の者達は、父達の側から離れていてよかった。
でないと、ウィルが恥ずかしがって、逃げそうだ…

父達が近づいて来て、ウィルは抱きしめられた。

「訃報を聞いて、どんな思いをしたのかわかっているね。」
「そうよ、もう、あんな事はやめてね。」

満面の笑みの母だが、眼は真っ赤だ。散々泣いてたものね。

「ウィル。少しは僕達を信用して、無理はしないように。昔からよくできた子だったけど、今回はやり過ぎだ。必要に迫られたのかも知れないけど、違う打開策があったかも知れないしね。」

「すみません。」

何も言えないよね。本当そうよ。

あの時は、あれが最前だと思ったんだろうけど…
今もそう思っているんだろうけど…秘密…
後が怖い……

「葬儀中止の手配、全て行いましたが…どうしましょうか?」

クロさんの事を言ってるんだろうね。

「ふむ。契約したのなら、離すわけにもいかないしな。父上、彼にそれなりの爵位を授与しないと。」
「そうだな。」
「婚儀の準備もしないとね。ふふっ」

兄上達と父上が何か相談し始め、母上は嬉しそうだ。

「父上、母上達も…。ウィル。体調大丈夫?その……」

あぁ……なんとも言えない…
穴があったら入りたいぐらいに恥ずかしいって顔だ。
ウィルはやっぱりウィルだ。
可愛い。

「皆さま、ウィル様がお疲れのようなので」
「そうね。ウィル!また後で来るわね!」

クロさんの一言で、私は皆んなをつれて部屋の外にでた。

「クロさん、ウィルをよろしく。夕方また来るわね。」

そう言って、ドアは閉じてみる。
嵐は去ったけど……

今頃、『みんなにバレた』と思ってるんだろうなぁ。

何か、クロさんの策略のような気もするけど…まぁ良いか。


これから2人が幸せになるなら……

でも待て、まだイヤ~なイベントがあったような…
そして、私の問題もあった……

まぁ、今はウィルが戻ってきた事でよしとしよう……
はぁ…………





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