オメガ転生。

学園生活

そんな事が…

「あぁ、やっとだ。孝之が欲したあの子を、私が手に入れる事ができた」

例の地下の特別室に案内すると、彼の方がはそう呟かれた。
ほぅ…とため息をついた後、ゆっくりと側に行き、つながれた特別な人にそっと触れる。
頬を撫で、肩や腕に手を這わせ、確認していく。

虚な表情でこちらを見てきた愛しく、愛らしく…扇情的な…

口には猿ぐつわをあえてしているから、愛らしい声は聞く事は出来ないが、瞳は…驚愕のものを見るように見開かれた。

「う～～っ、う～～う～～」

「そんなに驚きですか？ふふっ、私と孝之は双子だからね。そう、君を求めて…残念な結果になった…私の兄だ。まぁ、爪が甘くて、今では隣国に嫁いでしまった。お陰で私が君を手に入れる事ができるんだ。私達は好みがよく似ているからね」

そう言いながら、首筋に舌を這わせ、反応を見る。

「可愛い。本当になんて可愛いんだ…」

逃れようと身を捩ったりするが、鎖で繋がれているため、ガチャガチャと鎖が擦れる音がするだけだった。

「さて、このまま連れて帰り、婚儀を行おうと思うんだけど…良いですよね」
「えっ…でも、お約束は…」
「なにを言っている？この子は特別だから、ここでは直ぐにあのもの達に…だから、私の屋敷に連れて帰るよ。葛城、例のものを」

そう、この方は、あの当時この子を手に入れ損ねた彼の方がとは違う。彼の方よりも…
そう、藤原　孝之様の弟である孝信(たかのぶ)様は…逆らえば…

私も命は大切だと…
逆らえば…有無を言わず刈り取られる…