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学園生活
事件です
しおりを挟む雅貴さんは自分を膝の上に乗せたまま話し出した。
「数年前の雨の日、仕事で車での移動中、急に感じるものがあっのですよ。どうしてもそこに行かないといけない…そんな気がしたんです。いてもたっても居れず、すぐさま車を停め、雨の中感じるままに足を運びました。そこにいたのは、涙に濡れ、何か悲しい事があったのか、悲観に暮れた人の子でした。」
淡々と過去の出来事を話し出す雅貴さん。
その表情は穏やかで、大切な思い出を語り出してくれたのがわかるが…何故今?という気持ちもあった。
「常日頃の自分なら、そのような者に目もくれず、勿論相手にもしないのですが、まさに運命的な出逢いでね。雷が落ちたかのように、強く惹きつけられるものがあり、胸の鼓動も早くなった。その者から感じられるフェロモンも、愛おしくてたまらない…そんな感じでした」
雅貴さんは上位のアルファだ。しかも妖だったはず。
人とは違う瞳がそう語る。
何の妖かは聞きそびれたのと、調べてもいなかったからわからないけど…
瞳がまるで…いゃ、そんな事は今はどうでもいい…
「すぐさま、悲しみに暮れている愛しいその子を抱きしめ、車に乗せ、自宅に連れ帰りました。その場に置いていきたくなかったんです。それに、身体が熱く、顔色も悪く感じ、長雨に打たれ続けたせいで、風邪をひいてしまったように感じましたから…」
そう言いながら、頬や頭、背中などをさすられる。
何故そんな事をされながら話を聞かされるんだろうとも思ったが…
ん?その話、何処かで…
「急ぎ着替えさせ、屋敷の医師に診せました。屋敷には医師免許を持った者もいますからね」
普通、家に医者はいないだろう。それだけ財力があり、必要性があったということかなぁ??
でも、でも、でも…
「衣服には学生証が入っており、その者の名前など直ぐにわかりました。このまま、この屋敷の部屋に囲い込みたいとも思いましたが、まだ相手は未成年でしてね。いくら番いでも、未成年者を保護者の許可なく囲う事は、余程のことがない場合違法とされてますので、残念ですがその子の自宅に連絡し、少し体調が落ち着いたてからお送りしました」
膝の上にいる自分を抱き締めるようにし、頬に唇にそっと唇を滑らされた。
それって、思いっきり身に覚えのある事だけど…
でも、きっと別の誰かだ。
同じような出来事が、他者にだってあるはずだ。きっとそうだ…
そう思い、上目遣いで見上げてしまった。
「可愛らしいですね。ふふっ…貴方との出逢いですよ。翔。私の運命の番。覚えていますか?」
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