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悪役令嬢回避
ギル兄様学園に
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やっとエル兄様のお風邪が治り、体調もまずまず戻ったみたい。
だけど、父様や医師からは、「しばらくは散歩などの運動で体力アップしてから!」って言われてしまったんだ。
「せっかくの僕のポニー。何とか乗れる様になったのに…。」ってボヤいてたんだ。
久しぶりの皆んなでの朝食の席で、父様にそう言われてしまい、ガッカリされていた。
それは仕方ないと私的には思うんだけど、エル兄様の気持ちもわかるから、複雑な気持ちだ。
アシュ兄様が、そっとエル兄様の背中をポンポンしていた。
「エル。こんなに痩せてしまったんだ。体力が減ってしまったら、またベッドに逆戻りになっても困るだろ?散歩とかは僕も付き合うから。ね。体力がついたら、一緒に遠乗りに行こう。この前行った湖でも良いし、他にも良いところはあるんだよ。」
「良いなぁ~。私も兄様達と一緒に行きたいな。」
エル兄様達と遠乗りなら、私も一緒に参加したいと強く思ってしまったんだ。
「そうだな。じゃあ、来月一緒に遠乗りに行こう。その頃なら私も学園生活に少し慣れてる頃だろうし、ちょうど学園の休みもあるからね。」
「えっ、ギル兄様。学園休みって?」
「あぁ、エルやレインは知らなかったね。学園祭があるんだ。上級生とかが企画して、新規に入った生徒との交流の場と実力確認みたいな感じでね。それが終われば三日ほど休みなんだよ。」
「兄様、その学園祭は、一般の者も見学できるんですか?」
「ん?外部から入るのは商人達だ。ちょっとした店が出るからね。見学は基本は学生の家族だけなんだけれども、親類の者も、見学に来る事もあると聞いている。後は皇族だな。学園の高額出資は国なんだ。だから視察も兼ねて来られる。皇王自らだったり、御子息やご令嬢方がな。王弟殿下の時もあるか?まぁそんな感じだ。後は~。そうだな、騎士団の団長とかが見に来られるんだ来客として。後、騎士の方が模擬戦を披露してくれるのも見ものだと聞いている。音楽祭は外部から来るんだ。それを鑑賞するのも良いと思うよ。」
学園祭は、いろんなイベント盛りだくさんなのね。エル兄様の前世のゲームや小説でもよく出ていた?
それともアレは私が見た未来視?
そこら辺はあやふやなんだけれども…。
聖女の女生徒を連れてだけれど…。後は…何かあった様な気がするけれど、それはエル兄様がよく言われるゲーム開始後…。アシュ兄様も学園に入られている高等部での出来事で、今じゃないんじゃないかなぁ~。
「エル、それならそれまでに十分体力をつけないとな。なら、ほら食べて。あ~ん。」
アシュ兄様が、フォークで刺さったお肉をエル兄様のお口に…。
エル兄様も、素直にお口を開けてもぐもぐしていた。
思わず見入っていた私に…。
「ほらレインも食べないと。これ美味しいよ。ほらあ~ん。」
兄様からのあ~ん。私もされてしまったんだけれども…恥ずかしいけれど嬉しいと思ってしまう。
ううううう~っ、恥ずかしいよ~。でも嬉しいよ~。
「クククッ、朝から仲が良いことは良いことだ。だが、アシュも勉強があるだろう?鍛錬もある。だから、レイ、確かもう決まっているんだったよな。」
食事を食べながら、側にいるレイに父様は声をかけた。
「はい。エドワルド様の講師兼護衛騎士二名、選抜できています。一人は剣技を含めた武術を。もう一人は魔術の方です。」
「だそうだ。エルは今日から、その先生と一緒に体力をつけながら魔法操作を頑張りなさい。良いね。」
そっか。エル兄様は男の子だものね。剣技も必要よね。
私は護身ぐらいでも良いって父様が言っていた。
魔法はしっかり教師をつけると言っていたから、エル兄様と一緒にかもしれない?
「はい。ありがとうございます。僕、頑張りますね。そして、ギル兄様の学園祭でのお姿を見て、応援したいです。きっと剣に魔力を込めた魔道騎士の様に、炎を纏わせるのですよね。剣を振るいながらそのお姿。カッコよすぎです。魔塔の人達が作り上げた…確か土魔法の人が生徒用の競技場?闘技場?を建てられたんですよね。円形で、座席も沢山ある。で、多重結界が張られているから、どの様な衝撃にも耐えられて、客席も守られている。観ている方は大迫力なんですよ。確か兄様達が高等部に進まれた時の大会だったと思うんですけれども、でも、中等部であっても…えっと?」
「うん、エル。後で僕とお話ししようね。」
「高等部でのギル兄様の炎の剣ですよね。アシュ兄様の氷の槍も素敵ですよね…あれ?」
「レインも後で話そうか!?」
私は、以前夢で出てきた事をエル兄様にお話ししたことがあって、それはエル兄様の記憶にリンクしたのもあるって思っていたから、ついつい口に出てしまい…。
私達二人は少し興奮して喋りすぎた様です。
父様と母様がものすごく真剣に相談し合い、レイは目が笑ってないです。
ギル兄様もアシュ兄様も、私達二人を逃がしてくれそうになく…。
「「はい。兄様…。」」
二人でそう返事するしかなかった。
食後の予定はもちろん変更されて、エル兄様と私は、兄様達に、あのお部屋に連行されたんだ。
この前四人でお話しした部屋。あの後、エル兄様と私はそれぞれのお部屋に連れて行かれて、しっかりとお話し合いをしたんだよ。まさにそのお部屋に連れて行かれ、侍従達がテーブルにお茶を置いてスッと出て行ったんだ。
「とりあえず、エルは病み上がりだからね。体調に変化があれば直ぐに言うんだよ。まぁ僕が気にしておくから大丈夫なんだけど。」
「レインも直ぐに言って良いからね。まぁ私が気に留めているから大丈夫だけどね。で、さっきの話だけど…。」
そう言って、じっと見つめられたら…言うしかないよね。
ただし、エル兄様と私が知っているのは高等部の事で…
あれ?兄様の記憶で見たのか、私のスキルで見たのかあやふやだけど、中等部のモノもあった。
あったけれど、アレはまだ起こらないはずだよね?ん?
「エル?」
エル兄様が難しいお顔をされたから、兄様達がそちらに注目されたけれど…
ギル兄様には私の表情でバレたかもしれない。
でも、エル兄様から聞くのがベストと判断されたのだろう…。
「えっと…それでは僕が知っている事から良いですか?僕が知っているのは、まだ時期的に早いんですが、絶対とは言い切れないんです。僕の知らない事も実際に起こったし…。」
そう、私達が知らなかった事。それは私が関わった。『主様と妖精のイタズラ事件』だ。そんなイベント、兄様の記憶の中にもなかったと思うし、私もスキルで見たことがなかったんだ。しかも、その結果、妖精や精霊と契約したり、精霊王のお二人が出てきたんだから。私達のお屋敷のあの温室に。密かに道も出来てるみたいだし…。
それに、お茶会準備の買い出しとかで、街に出かけた時に起きた事は時期が早い。あれは、聖女が関係する事で、それも兄様達が高等部に進学して学ばれている時だ。
あれは私のスキルが発動して、エル兄様が引っ張られるかたちになったんだ。しかも、兄様の前世の記憶も混ざって…。私のスキルの中で、兄様が教えてくれたという不思議体験もしたんだ。
最後に気になったのは、父様に保護していただいた獣人の子供二人だ。今はレイの実家で勉強中だと言っていた。
私は気になるぐらいの気持ちから、エル兄様にリンクしたんだけれどもね。
どちらかの一人が聖女と関わるんだけど、もう一人は関わる以前に命を落としていたんだ…。そのどちらか一人でなく、二人とも、本来なら我が家に迎える事もない。
二人ともが闇に生きて、聖女と関係する前に一人は命を落とし、一人は関係してくるけど、それはもう現実としては無いんじゃないかって勝手に思ったんだ。
今まで、色々やらかしてるような~。うん、ごめんなさい。
そんな私達を、こんなに受け入れてくれているこの家族に感謝だし、屋敷の者全てに感謝してる。
いつもありがとうって。
で、話は大いにズレたけれどだ。
エル兄様の話では、ギル兄様とアシュ兄様が中等部の在学中の学園祭で起こる事だと言っていた。
私はその話と、私の中の記憶とで確認していったんだ。
それは何かというと、学生一人が勝ちにこだわりすぎた結果、魔力暴走を起こすんだ。
魔術講師や剣術講師。在中の騎士団などと、生徒会指示のもと高等部生達が避難誘導を行うの。
ギル兄様は中等部の生徒副会長として対応され、高等部生にも的確な指示を出し行動した事で、高等部生に一目置かれるんだ。「中等部生から進級した時には、直ぐにでも是非高等部で生徒会に入って欲しい!」と言われるの。
アシュ兄様は入学して直ぐとも言えたから、生徒会にはまだ入っていない。だけれども、秋には生徒会一員となられる。この事故の時の対応が素晴らしいと、評価されたのが大きいと思う。迅速に暴走した生徒から他の生徒を守り切ったのだから。もちろん、成績も素晴らしいけれどもね。
この時には、まだ聖女はいないので、神殿から緊急で数名応援に来られたんだよ。
それだけ大きな事故と言っても良い、学園においては、今後の対応課題の一つともなったんだ。
起こした生徒は、先生達から、きつく怒られはしたけれども、学園側の設備問題等も考慮する必要性があるとされて、学園を去るまでにはならなかったんだ。
その事も踏まえて、話してくれて、私はウンウンと頷いていたんだ。
聖女がこの世界に来るのは、何度も言うが、兄様達が高等部在学中だ。
私とエル兄様は、ギル兄様がおられる時に、同じ学園の中を歩きたいと、頑張って中等部にスキップ入学したんだ。
一年でも二年でもって…。
ちょっとでも自分達を観て欲しい。相手にして欲しいって気持ちもあったんだと思うよ。
今の私ではなくて、未来視した私達であり、ゲームと言うものの中の私達がだ。
で、かなり学術は頑張ってた。魔力量は十分だと判断されていたのもある。
兄様達には、最後まで相手にされてなかったけれどもね…。
入学に関しては父様にはゴリ押ししたのもあるんだ。
父様は、相手にするのも面倒だと判断したんだろうね…。
かなりの我儘に育ってたから…。その私達は…。
まぁ、実力がなければ、そんな我儘は通されなかったんだろうけれど、そこは~、ほら、悪役として登場する必要性があるからだよね。悲しいけれど、その世界の私達は…。
その辺りもエル兄様がお話したら、兄様達はものすごく悲しそうなお顔をさせてしまったんだ。
そんな顔をさせるつもりなんて全然なかったんだ。
「「兄様…御免なさい」」
二人で謝ったんだ。
私は悲しすぎて、もう大粒の涙が溢れるのを止めることができなかったんだ。
だって、あの映像は…、辛すぎるもの…。
私達二人はとにかく悪役になりくない。多分、父様も兄様達も、家族みんなが、そう思ってくれてると思うんだ。そうさせないって。
で、家族皆んな及び、領内の人々や、この世界まで幸せになる事を望んでいるんだ。
どこまでそれが可能かは、今の私達にはわからないけれど…。
そう思ってか、つられてなのか、エル兄様も涙が崩壊するように、溢れ出てしまっていた。
兄様達は慌てたように抱きしめてくれたんだ。
その後、私達は、それぞれのお部屋に連れて行ってもらって…。
そこからはあやふやなんだ。
泣き疲れて寝たのかもしれないけれどもね。
だけど、父様や医師からは、「しばらくは散歩などの運動で体力アップしてから!」って言われてしまったんだ。
「せっかくの僕のポニー。何とか乗れる様になったのに…。」ってボヤいてたんだ。
久しぶりの皆んなでの朝食の席で、父様にそう言われてしまい、ガッカリされていた。
それは仕方ないと私的には思うんだけど、エル兄様の気持ちもわかるから、複雑な気持ちだ。
アシュ兄様が、そっとエル兄様の背中をポンポンしていた。
「エル。こんなに痩せてしまったんだ。体力が減ってしまったら、またベッドに逆戻りになっても困るだろ?散歩とかは僕も付き合うから。ね。体力がついたら、一緒に遠乗りに行こう。この前行った湖でも良いし、他にも良いところはあるんだよ。」
「良いなぁ~。私も兄様達と一緒に行きたいな。」
エル兄様達と遠乗りなら、私も一緒に参加したいと強く思ってしまったんだ。
「そうだな。じゃあ、来月一緒に遠乗りに行こう。その頃なら私も学園生活に少し慣れてる頃だろうし、ちょうど学園の休みもあるからね。」
「えっ、ギル兄様。学園休みって?」
「あぁ、エルやレインは知らなかったね。学園祭があるんだ。上級生とかが企画して、新規に入った生徒との交流の場と実力確認みたいな感じでね。それが終われば三日ほど休みなんだよ。」
「兄様、その学園祭は、一般の者も見学できるんですか?」
「ん?外部から入るのは商人達だ。ちょっとした店が出るからね。見学は基本は学生の家族だけなんだけれども、親類の者も、見学に来る事もあると聞いている。後は皇族だな。学園の高額出資は国なんだ。だから視察も兼ねて来られる。皇王自らだったり、御子息やご令嬢方がな。王弟殿下の時もあるか?まぁそんな感じだ。後は~。そうだな、騎士団の団長とかが見に来られるんだ来客として。後、騎士の方が模擬戦を披露してくれるのも見ものだと聞いている。音楽祭は外部から来るんだ。それを鑑賞するのも良いと思うよ。」
学園祭は、いろんなイベント盛りだくさんなのね。エル兄様の前世のゲームや小説でもよく出ていた?
それともアレは私が見た未来視?
そこら辺はあやふやなんだけれども…。
聖女の女生徒を連れてだけれど…。後は…何かあった様な気がするけれど、それはエル兄様がよく言われるゲーム開始後…。アシュ兄様も学園に入られている高等部での出来事で、今じゃないんじゃないかなぁ~。
「エル、それならそれまでに十分体力をつけないとな。なら、ほら食べて。あ~ん。」
アシュ兄様が、フォークで刺さったお肉をエル兄様のお口に…。
エル兄様も、素直にお口を開けてもぐもぐしていた。
思わず見入っていた私に…。
「ほらレインも食べないと。これ美味しいよ。ほらあ~ん。」
兄様からのあ~ん。私もされてしまったんだけれども…恥ずかしいけれど嬉しいと思ってしまう。
ううううう~っ、恥ずかしいよ~。でも嬉しいよ~。
「クククッ、朝から仲が良いことは良いことだ。だが、アシュも勉強があるだろう?鍛錬もある。だから、レイ、確かもう決まっているんだったよな。」
食事を食べながら、側にいるレイに父様は声をかけた。
「はい。エドワルド様の講師兼護衛騎士二名、選抜できています。一人は剣技を含めた武術を。もう一人は魔術の方です。」
「だそうだ。エルは今日から、その先生と一緒に体力をつけながら魔法操作を頑張りなさい。良いね。」
そっか。エル兄様は男の子だものね。剣技も必要よね。
私は護身ぐらいでも良いって父様が言っていた。
魔法はしっかり教師をつけると言っていたから、エル兄様と一緒にかもしれない?
「はい。ありがとうございます。僕、頑張りますね。そして、ギル兄様の学園祭でのお姿を見て、応援したいです。きっと剣に魔力を込めた魔道騎士の様に、炎を纏わせるのですよね。剣を振るいながらそのお姿。カッコよすぎです。魔塔の人達が作り上げた…確か土魔法の人が生徒用の競技場?闘技場?を建てられたんですよね。円形で、座席も沢山ある。で、多重結界が張られているから、どの様な衝撃にも耐えられて、客席も守られている。観ている方は大迫力なんですよ。確か兄様達が高等部に進まれた時の大会だったと思うんですけれども、でも、中等部であっても…えっと?」
「うん、エル。後で僕とお話ししようね。」
「高等部でのギル兄様の炎の剣ですよね。アシュ兄様の氷の槍も素敵ですよね…あれ?」
「レインも後で話そうか!?」
私は、以前夢で出てきた事をエル兄様にお話ししたことがあって、それはエル兄様の記憶にリンクしたのもあるって思っていたから、ついつい口に出てしまい…。
私達二人は少し興奮して喋りすぎた様です。
父様と母様がものすごく真剣に相談し合い、レイは目が笑ってないです。
ギル兄様もアシュ兄様も、私達二人を逃がしてくれそうになく…。
「「はい。兄様…。」」
二人でそう返事するしかなかった。
食後の予定はもちろん変更されて、エル兄様と私は、兄様達に、あのお部屋に連行されたんだ。
この前四人でお話しした部屋。あの後、エル兄様と私はそれぞれのお部屋に連れて行かれて、しっかりとお話し合いをしたんだよ。まさにそのお部屋に連れて行かれ、侍従達がテーブルにお茶を置いてスッと出て行ったんだ。
「とりあえず、エルは病み上がりだからね。体調に変化があれば直ぐに言うんだよ。まぁ僕が気にしておくから大丈夫なんだけど。」
「レインも直ぐに言って良いからね。まぁ私が気に留めているから大丈夫だけどね。で、さっきの話だけど…。」
そう言って、じっと見つめられたら…言うしかないよね。
ただし、エル兄様と私が知っているのは高等部の事で…
あれ?兄様の記憶で見たのか、私のスキルで見たのかあやふやだけど、中等部のモノもあった。
あったけれど、アレはまだ起こらないはずだよね?ん?
「エル?」
エル兄様が難しいお顔をされたから、兄様達がそちらに注目されたけれど…
ギル兄様には私の表情でバレたかもしれない。
でも、エル兄様から聞くのがベストと判断されたのだろう…。
「えっと…それでは僕が知っている事から良いですか?僕が知っているのは、まだ時期的に早いんですが、絶対とは言い切れないんです。僕の知らない事も実際に起こったし…。」
そう、私達が知らなかった事。それは私が関わった。『主様と妖精のイタズラ事件』だ。そんなイベント、兄様の記憶の中にもなかったと思うし、私もスキルで見たことがなかったんだ。しかも、その結果、妖精や精霊と契約したり、精霊王のお二人が出てきたんだから。私達のお屋敷のあの温室に。密かに道も出来てるみたいだし…。
それに、お茶会準備の買い出しとかで、街に出かけた時に起きた事は時期が早い。あれは、聖女が関係する事で、それも兄様達が高等部に進学して学ばれている時だ。
あれは私のスキルが発動して、エル兄様が引っ張られるかたちになったんだ。しかも、兄様の前世の記憶も混ざって…。私のスキルの中で、兄様が教えてくれたという不思議体験もしたんだ。
最後に気になったのは、父様に保護していただいた獣人の子供二人だ。今はレイの実家で勉強中だと言っていた。
私は気になるぐらいの気持ちから、エル兄様にリンクしたんだけれどもね。
どちらかの一人が聖女と関わるんだけど、もう一人は関わる以前に命を落としていたんだ…。そのどちらか一人でなく、二人とも、本来なら我が家に迎える事もない。
二人ともが闇に生きて、聖女と関係する前に一人は命を落とし、一人は関係してくるけど、それはもう現実としては無いんじゃないかって勝手に思ったんだ。
今まで、色々やらかしてるような~。うん、ごめんなさい。
そんな私達を、こんなに受け入れてくれているこの家族に感謝だし、屋敷の者全てに感謝してる。
いつもありがとうって。
で、話は大いにズレたけれどだ。
エル兄様の話では、ギル兄様とアシュ兄様が中等部の在学中の学園祭で起こる事だと言っていた。
私はその話と、私の中の記憶とで確認していったんだ。
それは何かというと、学生一人が勝ちにこだわりすぎた結果、魔力暴走を起こすんだ。
魔術講師や剣術講師。在中の騎士団などと、生徒会指示のもと高等部生達が避難誘導を行うの。
ギル兄様は中等部の生徒副会長として対応され、高等部生にも的確な指示を出し行動した事で、高等部生に一目置かれるんだ。「中等部生から進級した時には、直ぐにでも是非高等部で生徒会に入って欲しい!」と言われるの。
アシュ兄様は入学して直ぐとも言えたから、生徒会にはまだ入っていない。だけれども、秋には生徒会一員となられる。この事故の時の対応が素晴らしいと、評価されたのが大きいと思う。迅速に暴走した生徒から他の生徒を守り切ったのだから。もちろん、成績も素晴らしいけれどもね。
この時には、まだ聖女はいないので、神殿から緊急で数名応援に来られたんだよ。
それだけ大きな事故と言っても良い、学園においては、今後の対応課題の一つともなったんだ。
起こした生徒は、先生達から、きつく怒られはしたけれども、学園側の設備問題等も考慮する必要性があるとされて、学園を去るまでにはならなかったんだ。
その事も踏まえて、話してくれて、私はウンウンと頷いていたんだ。
聖女がこの世界に来るのは、何度も言うが、兄様達が高等部在学中だ。
私とエル兄様は、ギル兄様がおられる時に、同じ学園の中を歩きたいと、頑張って中等部にスキップ入学したんだ。
一年でも二年でもって…。
ちょっとでも自分達を観て欲しい。相手にして欲しいって気持ちもあったんだと思うよ。
今の私ではなくて、未来視した私達であり、ゲームと言うものの中の私達がだ。
で、かなり学術は頑張ってた。魔力量は十分だと判断されていたのもある。
兄様達には、最後まで相手にされてなかったけれどもね…。
入学に関しては父様にはゴリ押ししたのもあるんだ。
父様は、相手にするのも面倒だと判断したんだろうね…。
かなりの我儘に育ってたから…。その私達は…。
まぁ、実力がなければ、そんな我儘は通されなかったんだろうけれど、そこは~、ほら、悪役として登場する必要性があるからだよね。悲しいけれど、その世界の私達は…。
その辺りもエル兄様がお話したら、兄様達はものすごく悲しそうなお顔をさせてしまったんだ。
そんな顔をさせるつもりなんて全然なかったんだ。
「「兄様…御免なさい」」
二人で謝ったんだ。
私は悲しすぎて、もう大粒の涙が溢れるのを止めることができなかったんだ。
だって、あの映像は…、辛すぎるもの…。
私達二人はとにかく悪役になりくない。多分、父様も兄様達も、家族みんなが、そう思ってくれてると思うんだ。そうさせないって。
で、家族皆んな及び、領内の人々や、この世界まで幸せになる事を望んでいるんだ。
どこまでそれが可能かは、今の私達にはわからないけれど…。
そう思ってか、つられてなのか、エル兄様も涙が崩壊するように、溢れ出てしまっていた。
兄様達は慌てたように抱きしめてくれたんだ。
その後、私達は、それぞれのお部屋に連れて行ってもらって…。
そこからはあやふやなんだ。
泣き疲れて寝たのかもしれないけれどもね。
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