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悪役令嬢回避
ギル兄様学園へ
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サーカスを観に行った日は、父様達のお帰りは結構遅かったんだ。
私達は結局先に寝てしまい、翌日の朝、父様にちょこっとだけ呼ばれたんだ。
あの子達は、結局父様が引き取る事になって、現在勉強と訓練予定なんだって。
侍従としてのマナーの勉強とか、護衛とかもできた方がいいからと訓練も兼ねて、レイの御実家の方に行っているんだって。身体検査や怪我の治療とかは、きちんとしておいたから、安心するようにとも言われたんだ。
父様がそう言われるなら、間違いないだろうって安心したんだ。
父様の書斎の方に呼ばれたから、このお話の後、父様は執務室のある別館へ行くとも言っていた。
「兄様、レイのお家って?」
「あぁ、領の北西部に位置する場所にあるんだよ。昔から我が家の家令や執事などの仕事をしてくれている家系なんだ。」
「そうそう、兄上の侍従の一人や僕の侍従の一人も、レイの甥っ子だったよね。」
「そうだね。レイはまだ独身だからね。確かレイの姉と弟の子供だと言っていた。」
そうなんだ…。
レイが独身なのも驚いたけど、まぁ、父様の側にいつもいるしね…。
でも、父様より一つ年上で、美形なんだよ。本当に。絶対モテモテで、奥様とか、会った事ないお子さんとかいそうだって思ってたんだ。
銀髪のアイスブルーの瞳で、しかも良く気がつくんだものね。頭もキレるし、頼りになると思うのよ。
家令であるから、当たり前と言われれば当たり前かも知れないけれど、でもなぁ~。
個人の自由ではあるんだけど…。
レイはニコニコしながら、微笑んで、私とエル兄様は誤魔化されてしまったんだ。
「そう言えば、ギルはもう学園の準備は出来ているのか?この所いろいろあったからね。」
「はい。もう五日後ですが、大丈夫です。」
「そうだったな。当日はギルは早めに出るんだったか?」
「はい。その前に、一度学園の方に行く予定です。」
「ギル兄様は、早めに家を出て行かれるんですか?入学式のお時間の関係?」
「入学式前にも行かれるんですか?」
エル兄様と私は不思議に思った事を、ギル兄様にお伺いしたんだ。
「あぁ、エルもレインも知らなかったな。入学前に一度試験があるんだ。クラス分けを決めるためにね。それが確か先週だったか?レイがギルについて出かけた時があっただろう?その日が試験日だ。で、成績優秀者が代表として挨拶する事になっている。その内容確認に一度学園に赴くんだ。当日は挨拶などの都合で他の生徒よりも先に行くんだよ。」
そう言えば、エル兄様の記憶の上で、ギル兄様は成績優秀者だった。
生徒会役員とかもしていたと思うの。その生徒会役員には皇族の方が多くいて、その側近候補もいたと思う。
エル兄様がよく言う『ゲーム』の中で、生徒会長をされているのも、確か第二皇子殿下だったと思う。ギル兄様は、その補助的な役職で、副会長の時もあれば、書記という時もあったような…。アシュ兄様も優秀で、ただ同年代に第二皇子殿下がいらっしゃるから、入学式とかでの代表で話す事もなければ、生徒会に入っても、会計や書記と言った役職だったと思う。よくは覚えていないんだけれども…。聖女であるヒロインは役職はなかったけれど、よく生徒会室に出入りしていたんだ。聖女という特別な存在だから?
で、ギル兄様が今回の代表…。
だんだんエル兄様の記憶の『ゲーム開始』に近づいて行く感じが、恐ろしくもある。
確か、『ゲーム開始』は高等部での設定とも言っていた。
まだ時間は十分にあるとは思うのだけれども、エル兄様の不安が私の方に流れてくる。
ゲーム開始前に、色々起こったりして、今後が少し思いもよらない方に向かいそうで怖かったりもするのよ。
私もエル兄様も、『悪役』というレッテルを貼られたくないんだ。
そして、家族みんなが幸せに。そして、他の人達も幸せになってほしい。
自分や家族が幸せでないと、きっと周りの人の幸せを願えないと思うのよ。
「入学式には、家族みんなでは…ちょっと無理だから、私とレイ、アシュ、エルとレインとで参加だな。母様は アルベルトがまだ小さいから、乳母だけでは無理だろうしね。ギルには悪いが、入学式の映像は撮るつもりだから、それを母様に見せよう。」
「ん?」
「どうした?エル、そんなびっくりした顔で?」
「えっと、映像、撮れるんですか??」
「あぁ、この前、友人から試作品をもらったんだ。長時間録画はまだ無理なんだがね。」
そう言って見せてくれたのは小さな球体。見た目は小さな水晶。大きさは、スープ用のスプーンに乗りそうなぐらいだった。これに魔力を送ると録画。魔法陣が描かれた台座に設置すると、壁に映り出す感じだと教えてくれた。
録画時間は十分ぐらい。
それが凄いことかどうかは私にはよくわからないけれど、エル兄様が興奮しているから、凄いことなんだと思ったんだ。
でも、スピーチ全部撮って、入場と退場を撮るとしたら?
兄様がどの順番で入場するのかもお聞きすればきっと大丈夫かな?
「父上、これは何度も録音再生が可能なんですか?後、何処かに録画したものを保存とかは?」
「今は一度の録画だけで、再生は何度も出来るらしい。何処かに録画をしたものを保存して、これ自体が何度も録画が出来るように研究中だと言っていたな…。」
そう聞いて、エル兄様のおめめがキラキラしだした。「是非是非研究したい!」多分こんな感じだろう。
魔法陣とか魔道具、魔石もお好きだものね。
「まぁ、これの使用方法は要検討だとは思っているよ。」
父様が当然という様に話されて、ちょっと怖くも思ったんだ。
良いものであるけれど、悪用される恐れがあるって事だよね。
父様のご友人だから、多分あのおじ様だ。
研究が大好きって感じで、あの時も色々と助けてくださったんだものね。
あのおじ様だったら、悪用されない様に、何か仕掛けも…。
そんな気がする。
「さぁ、今日も講義があるんだろう?頑張りなさい。そうそう、エルとレインにプレゼントが明日の午後に届くんだ。楽しみにしておいで。」
「ありがとうございます。でも、誕生日は過ぎましたよ?」
「ありがとうございます。何かありましたか?」
私達はとりあえずお礼は言っておいたんだけど…
明日のお楽しみだといわれれば、明日まで待つしかない。
でも、特にイベントごとはないはず…。
ギル兄様とアシュ兄様はご存知そうで、ニコニコしていた。
まぁ、楽しみにしとこう。うん。
その後、兄様達を手を繋いで、部屋を出たんだ。
私とエル兄様は同じお部屋で、兄様達は別々のお部屋で勉強、講義であるから、そこまでね。
私達は結局先に寝てしまい、翌日の朝、父様にちょこっとだけ呼ばれたんだ。
あの子達は、結局父様が引き取る事になって、現在勉強と訓練予定なんだって。
侍従としてのマナーの勉強とか、護衛とかもできた方がいいからと訓練も兼ねて、レイの御実家の方に行っているんだって。身体検査や怪我の治療とかは、きちんとしておいたから、安心するようにとも言われたんだ。
父様がそう言われるなら、間違いないだろうって安心したんだ。
父様の書斎の方に呼ばれたから、このお話の後、父様は執務室のある別館へ行くとも言っていた。
「兄様、レイのお家って?」
「あぁ、領の北西部に位置する場所にあるんだよ。昔から我が家の家令や執事などの仕事をしてくれている家系なんだ。」
「そうそう、兄上の侍従の一人や僕の侍従の一人も、レイの甥っ子だったよね。」
「そうだね。レイはまだ独身だからね。確かレイの姉と弟の子供だと言っていた。」
そうなんだ…。
レイが独身なのも驚いたけど、まぁ、父様の側にいつもいるしね…。
でも、父様より一つ年上で、美形なんだよ。本当に。絶対モテモテで、奥様とか、会った事ないお子さんとかいそうだって思ってたんだ。
銀髪のアイスブルーの瞳で、しかも良く気がつくんだものね。頭もキレるし、頼りになると思うのよ。
家令であるから、当たり前と言われれば当たり前かも知れないけれど、でもなぁ~。
個人の自由ではあるんだけど…。
レイはニコニコしながら、微笑んで、私とエル兄様は誤魔化されてしまったんだ。
「そう言えば、ギルはもう学園の準備は出来ているのか?この所いろいろあったからね。」
「はい。もう五日後ですが、大丈夫です。」
「そうだったな。当日はギルは早めに出るんだったか?」
「はい。その前に、一度学園の方に行く予定です。」
「ギル兄様は、早めに家を出て行かれるんですか?入学式のお時間の関係?」
「入学式前にも行かれるんですか?」
エル兄様と私は不思議に思った事を、ギル兄様にお伺いしたんだ。
「あぁ、エルもレインも知らなかったな。入学前に一度試験があるんだ。クラス分けを決めるためにね。それが確か先週だったか?レイがギルについて出かけた時があっただろう?その日が試験日だ。で、成績優秀者が代表として挨拶する事になっている。その内容確認に一度学園に赴くんだ。当日は挨拶などの都合で他の生徒よりも先に行くんだよ。」
そう言えば、エル兄様の記憶の上で、ギル兄様は成績優秀者だった。
生徒会役員とかもしていたと思うの。その生徒会役員には皇族の方が多くいて、その側近候補もいたと思う。
エル兄様がよく言う『ゲーム』の中で、生徒会長をされているのも、確か第二皇子殿下だったと思う。ギル兄様は、その補助的な役職で、副会長の時もあれば、書記という時もあったような…。アシュ兄様も優秀で、ただ同年代に第二皇子殿下がいらっしゃるから、入学式とかでの代表で話す事もなければ、生徒会に入っても、会計や書記と言った役職だったと思う。よくは覚えていないんだけれども…。聖女であるヒロインは役職はなかったけれど、よく生徒会室に出入りしていたんだ。聖女という特別な存在だから?
で、ギル兄様が今回の代表…。
だんだんエル兄様の記憶の『ゲーム開始』に近づいて行く感じが、恐ろしくもある。
確か、『ゲーム開始』は高等部での設定とも言っていた。
まだ時間は十分にあるとは思うのだけれども、エル兄様の不安が私の方に流れてくる。
ゲーム開始前に、色々起こったりして、今後が少し思いもよらない方に向かいそうで怖かったりもするのよ。
私もエル兄様も、『悪役』というレッテルを貼られたくないんだ。
そして、家族みんなが幸せに。そして、他の人達も幸せになってほしい。
自分や家族が幸せでないと、きっと周りの人の幸せを願えないと思うのよ。
「入学式には、家族みんなでは…ちょっと無理だから、私とレイ、アシュ、エルとレインとで参加だな。母様は アルベルトがまだ小さいから、乳母だけでは無理だろうしね。ギルには悪いが、入学式の映像は撮るつもりだから、それを母様に見せよう。」
「ん?」
「どうした?エル、そんなびっくりした顔で?」
「えっと、映像、撮れるんですか??」
「あぁ、この前、友人から試作品をもらったんだ。長時間録画はまだ無理なんだがね。」
そう言って見せてくれたのは小さな球体。見た目は小さな水晶。大きさは、スープ用のスプーンに乗りそうなぐらいだった。これに魔力を送ると録画。魔法陣が描かれた台座に設置すると、壁に映り出す感じだと教えてくれた。
録画時間は十分ぐらい。
それが凄いことかどうかは私にはよくわからないけれど、エル兄様が興奮しているから、凄いことなんだと思ったんだ。
でも、スピーチ全部撮って、入場と退場を撮るとしたら?
兄様がどの順番で入場するのかもお聞きすればきっと大丈夫かな?
「父上、これは何度も録音再生が可能なんですか?後、何処かに録画したものを保存とかは?」
「今は一度の録画だけで、再生は何度も出来るらしい。何処かに録画をしたものを保存して、これ自体が何度も録画が出来るように研究中だと言っていたな…。」
そう聞いて、エル兄様のおめめがキラキラしだした。「是非是非研究したい!」多分こんな感じだろう。
魔法陣とか魔道具、魔石もお好きだものね。
「まぁ、これの使用方法は要検討だとは思っているよ。」
父様が当然という様に話されて、ちょっと怖くも思ったんだ。
良いものであるけれど、悪用される恐れがあるって事だよね。
父様のご友人だから、多分あのおじ様だ。
研究が大好きって感じで、あの時も色々と助けてくださったんだものね。
あのおじ様だったら、悪用されない様に、何か仕掛けも…。
そんな気がする。
「さぁ、今日も講義があるんだろう?頑張りなさい。そうそう、エルとレインにプレゼントが明日の午後に届くんだ。楽しみにしておいで。」
「ありがとうございます。でも、誕生日は過ぎましたよ?」
「ありがとうございます。何かありましたか?」
私達はとりあえずお礼は言っておいたんだけど…
明日のお楽しみだといわれれば、明日まで待つしかない。
でも、特にイベントごとはないはず…。
ギル兄様とアシュ兄様はご存知そうで、ニコニコしていた。
まぁ、楽しみにしとこう。うん。
その後、兄様達を手を繋いで、部屋を出たんだ。
私とエル兄様は同じお部屋で、兄様達は別々のお部屋で勉強、講義であるから、そこまでね。
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