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悪役令嬢回避
嫌な予感
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夕食後、いつもと同じようにギル兄様に連れられてお部屋に戻った。
ただ、いつもと違うのは、今日は少し家庭教師から出された宿題が多いらしく、いつもの時間におやすみの挨拶ができないかも知れないと寂しそうに言っていた。
兄様はもう少ししたら学園に通われる。
学園中等部に入学されて、中等部の時は通学で、高等部に行かれる時には寮に入られるのだとか。
貴族社会を勉強するに際しても模擬社会としての勉強や、一人でもある程度の事ができるようにとの事らしい。
ただ、令嬢の場合は一人だけ侍女がつくらしいのだ。
男子生徒と女子生徒はそこの辺りが違うらしい。
平民の場合は、学園主催のダンスパーティでドレスを着ることもあるからと、学園から契約されている侍女が一定期間だけ付くのだとか。それも学費の中に入っているんだそうだ。
令嬢でも、連れて来た侍女が体調不良の場合は、学園の侍女が派遣される仕組みだからだとか…
それは良いとして、とにかく兄は忙しいのだ。なら、私の事は…って思うのだけれども、それをお伝えすると、ものすごく悲しまれるから、絶対に言えない。
私も兄達の事は大好きなのだ。
父様も母様、屋敷の者達全ての人達が。
最初の頃は戸惑いもあったけれど、『悪役令嬢回避!』を掲げているから…
双子の兄からリンクして得た情報だと思っていたものは、どうも私のスキルだったらしい。
兄の方に私が見たものがリンク?
よくわからないけれど、多分そう言う事だろう。あの鑑定結果から知った事だけれど…
でも、他人に知られないようにした方が良いのは理解したから、そこは十分注意して…
そう思って、いつもより早い入眠となった。
そこで見た夢は…
夢の中ではあるけれど、これは私のスキルではないと思った。
そう、私が見るスキルとは、理由は説明できないけれど、でも…なんとなく違うと、そう強く感じてしまう。
これは兄、エルの夢だ。
なら、あの時気に留めなかったが…兄は鑑定されなかったが、時魔法のスキルとは別の、同じようなスキルを持っているんだろうと思う。
あの時の神官様は言われなかったけれども…
そして、多分、私は兄の夢に…そう、双子の能力の一つとして、兄の夢を覗き見ているのか?
今見えているのは、学園に通う兄の姿。
ギル兄様ではなく、エルでもなく、アシュ兄様の方。
絵として認識される場所は…学園の図書室か、もしくは別館の図書館か…
そこで本を広げて調べ物をしている所に、ヒロインが現れる…。
なぜその女生徒がヒロインとして認識されるのか…それはエルがヒロインとして認識しているから…。
ヒロインに、実の弟がいなくなってしまった事と、母親の死。私達二人というお荷物のような家族がいて、しかも、そのような辛い事が過去にあったからこそか、『妖精のイタズラ』に興味を持ち、それに関して色々と調べまくったと話していた。今もと…。
ヒロインが、どうしてそんなに『妖精のイタズラ』に関してこだわるのかと質問されたからだ。
なんとデリカシーに欠ける相手なのだろうか、信じられないと思った。
「研究者達や過去の記録などで、少し変わったものを見つけたんだ。連れ攫われそうになったのは、小さな妹。それを阻止したのは兄らしい。兄は緑の魔法を持っていた。そして、その両親、確か母親だったか?小さな妹は、妖精からの誘いを断るなどの判断がしにくい年齢だった。楽しい誘いならついて行ってしまう年齢だ。一歳から三歳ぐらいだろうか…もっとかも知れないが、兄の年齢が六歳の魔属性判定を行ってまなしだとあったから、六歳になってしばらくしたぐらいだ。で、妹は妖精に誘われて、連れ去られそうになっていた所、兄が見つけて魔法を発動。ちょうど場所が温室だったらしい。植物の枝や蔓が兄の魔力に応じて妖精を妹から遠ざける事にとりあえず成功した。大きな音がして親が駆け込み、妹を抱きしめていた息子共々抱きしめて妖精に懇願。結果諦めてくれたらしい。妹はその後、『妖精の愛子』として、妖精達に助けられたりして、余生を無事に幸せに生きたとされている。この事を知っていたら…」
そう入って涙したところを、ヒロインに慰められて、そこからヒロインとアシュ兄様…アシュレイ・ダルク・フィンレイとの関係性が深まる…
アシュレイルートなのだと…ルートとは?って思うのだけれども、何となく理解できてしまうのは、エルの意思が理解できてしまうから…
『僕の推しになんて事言うんだ!』って思っているとも…なぜかこのような時、エルは『俺』とよく言う。いつもは『僕』なのに…
見慣れない光景…と言うか、見たことのない物に囲まれた状態が見えたからなのかも?
父様のこのお屋敷に無いものばかりだから、尚更だ。
高位貴族である父が持たないものは、基本この世界に存在しないんじゃないかって、何となくだけれど。で、自分の中にストンと落ちる。もう一人のエル…今のエルとは違う姿だが、その人がエルだと私は思う。その人はこのシーンで、あまりヒロインの事が好きでなくなったようだ。さらにかも知れないけれど…
とにかくフラフラしすぎだろうって…
過去にも見たもので、アシュ兄様の事を『推し』と言っていた。その推しが好き過ぎていたのもあったのかも知れないけれど…
そこで夢が覚めた。
ゆっくりとベットから起きあがろうと思ったら…
なぜか、兄、ギル兄様に抱き枕にされていた。
何で??
ただ、いつもと違うのは、今日は少し家庭教師から出された宿題が多いらしく、いつもの時間におやすみの挨拶ができないかも知れないと寂しそうに言っていた。
兄様はもう少ししたら学園に通われる。
学園中等部に入学されて、中等部の時は通学で、高等部に行かれる時には寮に入られるのだとか。
貴族社会を勉強するに際しても模擬社会としての勉強や、一人でもある程度の事ができるようにとの事らしい。
ただ、令嬢の場合は一人だけ侍女がつくらしいのだ。
男子生徒と女子生徒はそこの辺りが違うらしい。
平民の場合は、学園主催のダンスパーティでドレスを着ることもあるからと、学園から契約されている侍女が一定期間だけ付くのだとか。それも学費の中に入っているんだそうだ。
令嬢でも、連れて来た侍女が体調不良の場合は、学園の侍女が派遣される仕組みだからだとか…
それは良いとして、とにかく兄は忙しいのだ。なら、私の事は…って思うのだけれども、それをお伝えすると、ものすごく悲しまれるから、絶対に言えない。
私も兄達の事は大好きなのだ。
父様も母様、屋敷の者達全ての人達が。
最初の頃は戸惑いもあったけれど、『悪役令嬢回避!』を掲げているから…
双子の兄からリンクして得た情報だと思っていたものは、どうも私のスキルだったらしい。
兄の方に私が見たものがリンク?
よくわからないけれど、多分そう言う事だろう。あの鑑定結果から知った事だけれど…
でも、他人に知られないようにした方が良いのは理解したから、そこは十分注意して…
そう思って、いつもより早い入眠となった。
そこで見た夢は…
夢の中ではあるけれど、これは私のスキルではないと思った。
そう、私が見るスキルとは、理由は説明できないけれど、でも…なんとなく違うと、そう強く感じてしまう。
これは兄、エルの夢だ。
なら、あの時気に留めなかったが…兄は鑑定されなかったが、時魔法のスキルとは別の、同じようなスキルを持っているんだろうと思う。
あの時の神官様は言われなかったけれども…
そして、多分、私は兄の夢に…そう、双子の能力の一つとして、兄の夢を覗き見ているのか?
今見えているのは、学園に通う兄の姿。
ギル兄様ではなく、エルでもなく、アシュ兄様の方。
絵として認識される場所は…学園の図書室か、もしくは別館の図書館か…
そこで本を広げて調べ物をしている所に、ヒロインが現れる…。
なぜその女生徒がヒロインとして認識されるのか…それはエルがヒロインとして認識しているから…。
ヒロインに、実の弟がいなくなってしまった事と、母親の死。私達二人というお荷物のような家族がいて、しかも、そのような辛い事が過去にあったからこそか、『妖精のイタズラ』に興味を持ち、それに関して色々と調べまくったと話していた。今もと…。
ヒロインが、どうしてそんなに『妖精のイタズラ』に関してこだわるのかと質問されたからだ。
なんとデリカシーに欠ける相手なのだろうか、信じられないと思った。
「研究者達や過去の記録などで、少し変わったものを見つけたんだ。連れ攫われそうになったのは、小さな妹。それを阻止したのは兄らしい。兄は緑の魔法を持っていた。そして、その両親、確か母親だったか?小さな妹は、妖精からの誘いを断るなどの判断がしにくい年齢だった。楽しい誘いならついて行ってしまう年齢だ。一歳から三歳ぐらいだろうか…もっとかも知れないが、兄の年齢が六歳の魔属性判定を行ってまなしだとあったから、六歳になってしばらくしたぐらいだ。で、妹は妖精に誘われて、連れ去られそうになっていた所、兄が見つけて魔法を発動。ちょうど場所が温室だったらしい。植物の枝や蔓が兄の魔力に応じて妖精を妹から遠ざける事にとりあえず成功した。大きな音がして親が駆け込み、妹を抱きしめていた息子共々抱きしめて妖精に懇願。結果諦めてくれたらしい。妹はその後、『妖精の愛子』として、妖精達に助けられたりして、余生を無事に幸せに生きたとされている。この事を知っていたら…」
そう入って涙したところを、ヒロインに慰められて、そこからヒロインとアシュ兄様…アシュレイ・ダルク・フィンレイとの関係性が深まる…
アシュレイルートなのだと…ルートとは?って思うのだけれども、何となく理解できてしまうのは、エルの意思が理解できてしまうから…
『僕の推しになんて事言うんだ!』って思っているとも…なぜかこのような時、エルは『俺』とよく言う。いつもは『僕』なのに…
見慣れない光景…と言うか、見たことのない物に囲まれた状態が見えたからなのかも?
父様のこのお屋敷に無いものばかりだから、尚更だ。
高位貴族である父が持たないものは、基本この世界に存在しないんじゃないかって、何となくだけれど。で、自分の中にストンと落ちる。もう一人のエル…今のエルとは違う姿だが、その人がエルだと私は思う。その人はこのシーンで、あまりヒロインの事が好きでなくなったようだ。さらにかも知れないけれど…
とにかくフラフラしすぎだろうって…
過去にも見たもので、アシュ兄様の事を『推し』と言っていた。その推しが好き過ぎていたのもあったのかも知れないけれど…
そこで夢が覚めた。
ゆっくりとベットから起きあがろうと思ったら…
なぜか、兄、ギル兄様に抱き枕にされていた。
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