兄様達の愛が止まりません!

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悪役令嬢回避

嫌な予感…その家族は…

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儀式自体は厳かに行われた。
そして、彼らしい子供達の事を考慮しての鑑定判定を告げられた。

妹のレインの方だったか…
何となくそんな気はしていたんだが、だが二人は双子であるから、リンクしてエルの方にも未来が見えたりしている可能性もある。不測の事態に備える必要性があるな…。
これは、私達…そう、大人の仕事だ。まぁ、後々は息子達が頑張るだろうが…

「グレン、ちょっとだけ良いか?」
「あぁ、今日は本当にありがとう。で、良いが何だ?」
「あぁ、子供達がいない時で、早い方がいいのだが…」
「あぁわかった。じゃぁ声をかけるよ。とりあえずこの後、食事会を準備しているんだ。参加してくれるだろう?」
「勿論。フィンレイの料理長達の食事は、昔から美味いからな…」


友人から声をかけられて、そう答えた。
彼の顔は笑っているが、目が笑っていない。
これはかなり重要な事だろう。

レイに指示を出し、とりあえずはこの場にいる者達と楽しんだ。
せっかくの祝いの場だ。しっかりと祝ってやらないといけない。

『準備ができました。』

レイからの念話で、友人を誘いそっとその場を抜ける。
昔の悪戯の賜物か、隠匿も得意になっているんだ。
レイには通用しなかったけれど…

二人でいつもの密談の部屋に入り、多重結界を張る。カルロスがそれに重ね付けするように神聖結界も張った。

「で、要件は?」
「あぁ、さっきの儀式で渡した鑑定書を開いて見てくれ。」

そう言われて、私の空間魔法でしまっていた書巻を二つ取り出し、広げる。

「こっちがエドワルド・フィンレイ。そしてこっちがレイチェル・フィンレイのだ。あの場で説明した通りのものが書かれているのがわかるだろう?」
「あぁ、そうだな…」
「これは知っての通り、彼らの魔力がこの紙に文字として写し出されているんだ。」
「あぁ…」
「で、ここだ。このエドワルドのこの部分…」

指をさされた場所に書かれたもの。
模様なものが書かれていた。が、これには本来文字しか書かれていないはず…

「多分、何かの文字だろうが、俺にはこの文字は読めない。見た事もない文字だ。」
「あらゆる言語を習得したお前が読めない?」
「あぁ、古代文字でも神聖文字でもない。この世界の言葉や文字はその二つ以外は共通言語だ。ただ、一つだけもう一つあるにはある。だがそれを読める者はまずいない。それに似ているようにも思えるが…絶対とも言いきれん。禁書庫にある書物で、一度しか俺は目にしていない。」

「どうしたら…」
「あくまで私の感だが、あの子自身は読めるような気がする。理由はわからない。もしかしたら、神が私にそう伝えているのかもしれないが…」

こいつは昔からこういう事が時々あった。『神に愛されし者』のスキルのおかげかもしれない。
神から全てを啓示される事もあれば、何となくみたいな、『感』のようなもので感じ取る事もあるんだ。

「わかった。本人に聞いてみよう。」
「あぁ、そうしてくれ。俺の力が必要な時は協力は惜しまん。ただ…余程のことでなければ私にこの結果は伝えなくても良い。全てを知っているのと、少しだけ知っているのでは、他の者から追及された場合の対応がな…」
「あぁ、王族がらみか…」
「そうだ。まぁ、上手く回避して見せるが、アレもなかなかのタヌキだ。」

現皇王とは歳が同じで、友人候補や側近候補とかで、昔からよく呼び出されて知っていた。
友人達もだ…
側近は、最終的には断ったんだがな。
領地経営が忙しかったんだ。他にも色々と…
侯爵として、国から命令とも言える頼まれごとは仕方なく対応しているが…
爵位持ちは、多少は国の仕事を言いつけられる。

友人の一人、ジーク事ジークリヒト・グリーンヒルデは…家柄や実力で近衛騎士団長であり、騎士団筆頭に上り詰めたから、関わるようになってしまったがな…

だが、私達と向こうと、どちらかを取るとしたら…こっちを取る形になる。
もう一人の友ももだ。

学園時代もに密かにそういう盟約の秘術を試して成功したんだ。
これにはレイに散々怒られた。
言い出したのは、魔法研究一家の一員であり現在の当主。
しかも、数少ない賢者の称号を持つ者。レナルド事、レナルドルフ・ガイヤスだ。
ガイヤス伯爵家当主である彼が、学園生の時、実家の屋敷奥から見つけてきたと言う魔法書を持ってきて、密かに試して発動した。

まぁ、これのおかげもあってな…
もしかしたら、あれを見つけれたのも、実行し成功したが、散々レイに怒られはしたが…あれらも神の導きだったのか…。ふとそんなことを考えた。

「ありがとう。助かるよ。」

そう言って、部屋からみんなのもとに戻った。
戻った途端、神殿から迎えがきて、友人は渋々帰って行ったんだがな…。
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