兄様達の愛が止まりません!

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悪役令嬢回避

とりあえず、頑張る…(ギルベルト)

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部屋を後にした僕は、直ぐに父に話をしたいと念話で伝えた。
父ほどでは無いが、この屋敷、敷地内ぐらいなら今の僕の魔力で念話が可能なんだ。

父から了承を得て、歩くスピードを早める。

貴族である自分達は、よほどのことで無い限り邸宅内などの建物内は走ったりはしない教育を受けていた。

父の執務室のドアをノックする前にそっと開けられる。
ドアを開けたのは、父の側にいつもついているレイモンド・グレニクス。
父の専属執事であり、護衛も兼ねている。しかも、父とは幼馴染らしい一才歳上の男性だ。
年齢よりも多少若く見られる男。

「どうぞお入りください。」

そう言って父の側に案内され…
あぁ、父はかなりお忙しいようだ。
机の上には山のような書類が置かれ、側には数人の側近達が執務の補助を行なっていた。

「父上、お忙しいところ申し訳ありません。」

そう言って頭を下げる。

「いゃ、大丈夫だ。すまないが皆席を外してもらえるか?終われば声をかける。」

そう言って側近達に仕事を一旦中断して休むように指示を出した。

「ちょうど休憩をしようと思っていたところだ。レイ、お茶を頼んでも。」

そう言って父は椅子から立ち上がり、僕をソファーに座るよう促し、僕の目の前の一人がけのソファーに父が腰を下ろした。
父と僕の前にお茶が置かれ、レイモンドはドアの側の壁際に待機した。

「あぁ、レイも情報を知った方がいいからね。で、何かあったのかな?」

お茶を一口飲んで僕にそう促してきた。
僕も一口だけ口にしてテーブルの上に置く。

「父上、あの子達、レイチェルとエドワルドの事で…」
「あぁ、あの能力を使ったのか?あの能力は我が家の秘匿しているものだから、無闇に使ってはいけないよ。で、何が見えた?」

僕達の家系に秘匿されている能力。それを使って僕と弟アシュレイがあの子達の過去を探ったんだ。
あの子達が見た視点ではなく、何故か多方面から観察するようぬ見える能力。魔力などによって能力の差はあるが…例えば映像のみだとか、色がない白黒に世界に見えるとか、かなり短時間しか見えないとか…
僕と弟は魔力量が多いのか、望むもの全て見ようと思えば見る事もできるし、音のしっかり聞こえてくる。しかも、それを自分の中で整理して相手に見せ伝える事も…
ただ、大勢の者に見せる事はできないけれど…

これは、特殊な能力であるから、国家にも知らしていない。我が一族秘匿能力。一族全てが使えるわけではないが、何故か我が家に多くその能力者が生まれ、そに力は能力を持つ者、もしくは領主のみに伝え導く事になっていた。
幼少時には特殊な契約魔法で間違っても漏らさないように徹底してだ…

父はもちろんこの能力の事は知っているし、使用できる。
よって、僕達二人は父から教えられたんだ。

「父上、それでは手を…」
「あぁ、お前もこっちに来なさい。」

ドア側の壁際に待機していたレイモンドが父に呼ばれ…

「レイモンドはこの事を知っていた方が良いからな。」

レイモンドが我が家にとって特殊な位置にいる事は以前教えられていたから…

右手を父と左手をレイモンドと繋いだ。父とレイモンドも手を繋ぐ。
まるで手を繋ぎサークルを作る感じだ。
僕の魔力で見た事聞いた事全てを父の方に流し込む。それがそのまま繋いだ手を通してレイモンドに流れて、僕の方に帰ってくるのだ。よって、うまく情報が伝わっているのかも確認できる。
映像の送り手と受け手は目を閉じてその映像などに集中して…

僕はあの情報を一部整理して流した。
二人の傷の原因である映像や、その中で問題の男が伯父を殺害した事。その理由や方法を好き勝手に自慢するように呟き、好き放題しているものを…

どのくらい時間がかかったのだろうか…

映像全てを伝え終え、閉じていた瞳を開けて手を離す。
話した途端、ソファーに腰掛けて、苦々しい顔をした父。レイモンドも空いている場所に腰掛けていた。
うん、青筋を立てている。
当たり前だ。あんな情報を得て怒りが湧かないはずがない。
直ぐに探し出して、抹殺したいぐらいだ。
いゃ、あの子達の受けたもの全てを返し尽くすように…

室内の温度が下がり、隅の方でパキパキと…

「父上、お怒りはわかりますが…」
「あぁ、すまない…」

父から溢れ出た魔力での暴走はすぐに収まった。
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