兄様達の愛が止まりません!

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悪役令嬢回避

とりあえず、頑張る…(ギルベルト)

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この世界は、基本は異性との婚姻が推奨される。
同性同士でも婚姻は可能で、子孫ももちろん残せるのだが、同性同士よりも異性の方が妊娠率も高く、出産率も安定しているからだ。

僕が求めるのはこの子と決めた。
弟も決めたようだ。

我が家の男性は、伴侶と求める者に対しての執着心が強い。
それは父自身が経験している事であるからして…僕達の反応を見て…
何ともいえない表情を示していた。

それよりもだ。神官達が治癒魔法などで治療してくれた子供達。僕や弟にとって大切な者達の身体の何と言うか…

二人の名前は知っている。
男の子がエドワルド・アルガスト。女の子がレイチェル・アルガスト。
直ぐに父が手続きするから、二人ともアルガストからフィンレイに姓は変わるが…

神殿からも書類が司法局に提出されるから、アルガスト伯爵領主代理がどんな事を言ってきても、こちらの言い分が通り、養子縁組に支障は起こらないだろう。と言うか、起こらせない。
現在、アルガスト伯爵領は混乱状態にまで陥っており、父達が今後介入しても、国がどう指示してくるかで領主不在にするか、他と併合させるか、もしくは我が家が関係してくるから我が家が治めるかとなるだろう。
多分後者だ。国も助力してこっち任せにした方が国庫を減らさずに済むしな…
そこは父上の力量と、後継である僕が後々関与してくる事だろう…

今は父上にお任せだ。

で、二人の身体に残された傷…
綺麗にはなったが…
どれだけ傷が残るような…
後で…そう、後で僕と弟の能力で確認して、父に報告しよう。
多分だが…いろんなものが見えてくるだろう…
だが、それを見ない事には、この愛しいと感じた者の心を守ってやる事が出来ない気がしたんだ。


治療が終わり、母から渡されておいた寝衣に着替えさせられている二人を連れ帰る。
神殿側からは、自分達の方でと何度も言われた。
余りにも酷い傷から、精神的なものも考慮して、神殿預かりにと考えたのだろう。
神を信仰し、仕えていくことで、心身穏やかにと…。
別の最もあるかもしれないが、このもの達からはそのような邪な感情はないと判断した。が、そうなると、この子達は神官職となり、余程でなければ自分の伴侶として求められなくなる。

その辺りも父上は考慮したのだろう。丁寧に断りを入れて連れ帰る事が出来たのだ。

二人から離れられない僕達は、父上に願い出て、二人が目覚めるまで簡易ベットを置いてもらい、ずっと側で手を握り続けて魔力をを譲渡した。
譲渡しながら、この子達の…この子の身の上に起きた事を覗き見る。

それは悍ましい内容だった。

アスガルド伯爵家に、エドワルドとレイチェルの専属メイドとして勤めていたエレイン。当時、彼女はオズワルド伯爵家三女であり、彼女の祖父とアスガルド前伯爵が親友であったため、専属として務め続けれたようだった。あの代理と称する愚か者が手が出せない程…
だが、彼女の目を掻い潜り、彼女が目を離すしかない時、そう、メイドとして仕事をしているのだから、四六時中ついているわけにはいかない。その不在の時に………あったようだ。

僕達の能力は、相手の記憶を覗き見る事ができる。それは、治世を治める上では有用な能力ではあるが…
僕や弟のような能力は、極秘であるが、我が家では持って生まれるものは多い。
能力の差はあるが…
で、僕達は、別視点に切り替えても見れたりするから…

代理と名乗り出た男は、伯爵夫妻を殺害指示出した犯人だと断定した。そして、実行にも…そう、直接関与していたんだ。
僕達の能力で見ただけで、悔しいけれど状況証拠がなければ司法で裁けないが…

遠い親族である男は、僕達の叔母である夫人に以前から恋慕していた。夫人からは拒否され続け、前伯爵からも婚約の打診を拒否され続けていたようだ。それは、男が常に叫んでいたからそう理解できた。
父上からの情報もあるが…。
で、叔父の能力やそれ以外色々と勝手に妬み、憎悪して事故を装って殺害。夫人は殺害するつもりはなかったようだが、その時の何かが気に入らず、逆上しての殺害となったようだけどだ。

叔父達伯爵夫妻が亡くなった事で、前伯爵は体調を崩したのだろう。
手出しさせないように迅速に屋敷内に乗り込んで、代理と称して全権を奪い取った。

子供達を別邸に追いやってだ。

自分のストレスの捌け口に、兄であるエドワルドに行った事。妹であるレイチェルにもだ。それ以外にもあったようだ。彼女の方は傷跡が少ない。そして、少し覚えていない事もあるようなのだ…

二人の心だけでも護りたいと、闇属性持ちでもあったエレインが忘却の魔法を使用して、心が壊れないように蓋をしたり、傷の手当てを行ったりしてくれていたようだ。光魔法までは治療はできないが、闇魔法でも治癒魔法は存在するのだ。ただ、直ぐには治療できない事もあり、結果があれなんだろう。今は全て綺麗になったが…。

僕…苛立った時には俺とついつい言ってしまうが、怒り心頭で直ぐにでも見つけだして、惨たらしい死を与えてやりたい…いゃ、直ぐに死など与えてやるものか、苦痛に苦痛を重ね続けてやりたい!

弟も同じ思いだろう。

「兄上から父上に報告してもらっても良いですか?俺は…余りの怒りで上手く伝えれそうにない」

奥歯を噛み締めながら、弟も僕ではなく俺と言い、怒り心頭だ。
それを無理やり抑え込みながら、繋いだ手にもう片方の手を寄せて包み込むようにしていた。

「何で…何でその時、俺はエドワルドの…エドの側にいてやれなかったんだろう…。レイチェル…レイの側にいてやれなかったんだろう…」
「それは俺も同意見だ。だが過去の事だ。どうしようもない。時間の巻き戻し魔法なんてものは存在しないのだから…なら、これからの未来を俺達で守ったら良い。」
「そうだな。そうだよな…」

そう頷きあって、レイチェルの手を弟に託した。
弟は器用に二人の手を取り魔力を少しづつ流していく。
俺は見た事を、弟の分まで説明に父上の所に…

そう考えて部屋を出た。
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